オタクが赤松健氏を支持すべきでない理由
自民党内部で規制を食い止めるのは不可能
赤松氏は、自民党に入って党内部で規制を食い止めるとしていますが、はっきり言って無理です。
漫画やアニメの規制は彼らの根源的価値観(イデオロギー)に基づいたものであるからです。
アニメ漫画の規制問題というのは、突き詰めるとそこに登場するキャラクターの問題であり、実際標的とされているのはキャラクターのデザインとそれを愛好するセクシャリティ(萌えやBL)ということになります(キャラクターデザインを巡る確執はすでに戦前からありました)。
このことに対し、赤松氏や”表現の自由の旗手”を自称する氏の盟友・山田太郎議員は正面から向き合ってきたでしょうか?
「表現の自由」という、なんとなくそれっぽい主張でぼかしてはぐらかしてきただけではないでしょうか。
「表現の自由」を日本国憲法は国家の枠を超えた普遍的な権利として保障する一方で、公共の福祉との適合性や権利間の調整などで制限されうることも否定していません。規制の余地も残しているということです(山田議員自身表現には責任が伴うとしばしば言ってます)。
つまり、「表現の自由」というフレーズは、支持者には規制に抵抗してるようにみせることができ、自民党には規制を否定しないというメッセージともなり、双方にいい顔ができる玉虫色の方便でした。
彼らはそうやってずっと支持者を欺き続けてきました。
そんなんでいざという時に本当に規制勢力・自民保守派とやりあうことができるのでしょうか?
自民保守派とも一定の関係を築いておくのは大切だ、という考えもあるかもしれません。しかし自民と赤松氏や山田氏との関係は支配と隷属という関係です。対等な関係ではありません。
彼らは自民党内部で影響力を発揮できるなどと虚勢を張っていますが、実際は逆で、完全に取り込まれ党に顎で使われる存在になってます。完全に自民党のコントロール下に置かれてます。自民党に入るとはそういうことです。
山田氏が進めてきた「こども庁」、党内保守派から名称に「家庭」を加えるべきだという物言いが入り、あっさり通されました。
冒頭記事の、神道政治連盟で配布された冊子には、同じ号にマイノリティへの批判とこども庁への批判が同時に掲載されています。
彼らがその気になれば、規制など朝飯前ということです。
赤松氏が活動のベースとし、また頼みとしてるMANGA議連すらも事実上神道政治連盟の下部組織として機能してます(幹部に神道政治連盟議員がずらり)。
赤松氏はどのような見通しのもとで自民党内部で規制を食い止めるなどという主張をしてるのでしょうか?
夢は国営漫画村?
赤松氏がただ役に立たないだけなら構いません。しかし・・
このMANGA議連(実態は日本会議や神道政治連盟)が進めるメディア芸術ナショナルセンター(MANGAナショナルセンター)、オタクカルチャーの振興だとか言ってますが、民間のコンテンツ資産を取り込んだ上で利活用を謳っており、民間事業の営業妨害にしか思えません。
当然業界のほうからの要請があって進めたものでなく、自民保守派が一方的に強引に進めているものです。
オタクカルチャーを目の敵にする自民保守勢力(日本会議、神道政治連盟)が推進するMANGAナショナルセンターなんてオタクカルチャーの支配権を握りコントロールする以外にありません。ですが山田氏や赤松氏はそんなもののために自民党に尽くすべく奔走しています。支持者にはオタクカルチャー振興に力入れてますという体を装いながら。
MANGAナショナルセンターなんて言ってみれば国営漫画村。
漫画村を強く非難しながら、なんで”国営漫画村”には積極的に加担するのでしょうか。権力には媚びまくりどんな命令にも率先して従う。このような節操のない人物がオタクカルチャーを守れるでしょうか?
過去にはこんなツイートも・・
赤松氏はオタクカルチャーに不利益をもたらしかねない存在
これは山田氏が自民党議員になる前のことですが、よほど自民の公認が欲しかったのか、そこに忖度があったのか、前回の消費増税の際に出版業界が雑誌書籍の軽減税率を強く求めていたのですが、軽減対象になる一般書籍とならない「有害図書」とに選別されるために、表現の萎縮を招く、検閲だとか様々な理屈をこじつけて山田氏は必死にこれを妨害、葬り去りました。出版物売り上げの中でも漫画の類の占める割合は高く、これによりオタク業界は最低でも年間数十億円を国に吸い上げられる形となりました。出版社は同時にアニメの製作委員会に加わることも多く、アニメの製作予算も減ったと推察されます。山田氏はオタク文化に多大な損失を与えました(赤松氏は最近山田氏のこの行為を支持しました)。
アニメーターの待遇もよく話題に上ります。
アニメーターの待遇が劣悪だという指摘がたびたびなされますが、これも慎重に対処しなくてはなりません。
たしかに興行収入数百億円という大ヒット作品がたまに出ますが、一方でアニメの大半は赤字と言われてます。
「アニメーターの待遇改善」という美名のもとに労働規制を強行すれば、製作委員会も製作を支えきれなくなり撤退、結局アニメーター、クリエイターの大量失業、オタク文化の多様性の喪失を招くという本末転倒な結果になってしまいます。
しかし、山田氏や赤松氏は実績づくりの功に逸り「アニメーターの待遇改善」をひたすら声高に叫び続けこの問題に安易に自民保守派を引き込みました。
山田赤松氏サイドにとって「アニメ文化のため」というお題目で支持者を欺き通せる一方、自民保守派にとってもアニメ文化を弱体化させられる好都合な案件です。
MANGA議連はインボイスでは全く動きませんでしたが、「アニメーターの待遇問題」では今後山田氏や赤松氏を使って業界に圧力をかけてくることが予想されます。そういう組織です。
国会議員になると偉くなったと勘違いするのか、業界が自分の所有物になったかのごとく錯覚し仕切りたくなるのでしょうか。
山田氏は
「ちまちま乱立するアニメ制作会社(スタジオ)を統廃合し資本増強せよ」
「海外に売りまくれ」
と思っているようですね。
日本のアニメは独自のやり方で進化してきました。「部外者」にとやかく言われる筋合いはありません。
そもそも「国による干渉」は表現の自由とは真逆の行為ではないでしょうか。
こちらは山田氏の”盟友”小野田氏のツイート。
「業界の在り方を変える」などとは思い上がりも甚だしいです。
オタク業界は実際さまざまな問題抱えてるかもしれませんが、それを含めてのオタクカルチャーです。カオスがダイナミズムを呼び覚まし様々な作品を生み出しているという側面もあります。
これを国主導で一気に浄化したらオタク文化がオタク文化でなくなってしまいます。
規制は直接的なものとは限りません。
オタクカルチャーの振興のためだとか、フレンドリーさを装った、一見規制とはわからないようなやり方でやってくる規制や締め付けもあります。
山田氏や小野田氏がやっているのがまさにそれです。
赤松氏の当選はこうした勢力を補強することにしかなりません。自民党の手駒となりオタクカルチャーに混乱と破壊をもたらすだけです。
オタクが氏を支持するのは自殺行為です。
出版業界は「山田太郎にだけは議員バッジ付けさせるな」とまで言いましたが、山田氏の盟友にして山田氏と瓜二つの赤松氏に対してもオタク業界は相当警戒していることでしょう。
では、赤松氏を支持すべきでないのならいったい誰(どこの政党・会派)を支持したらいいのか。
それについては別の記事にて書いてますので、よろしければそちらもご覧ください。
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