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はじめてのお見合い

私は2年前の秋ごろお見合いを一度だけしたことがある。
今回はこの話について書いていこうと思う。

前々から母からしつこく言われており頑なに拒否していたのだが、言われ続けて根負けしたのと一度くらいお見合いというものをしてもいいのではないかという好奇心でOKすることにした。

皆様はお見合いというとどういったシチュエーションを想像するだろうか?
ステレオタイプなお見合いは豪華な庭がある料亭のような場所で、お互いの家族を含めて対面した後、「あとは若い人同士で・・・」と言われてそこからお見合いの当事者同士でぎこちない会話を始める・・・というケースだろう。

しかし最近は(?)カジュアルなのか、お見合いに指定された場所は実家方面にあるイタリアンレストランだった。

お見合い当日、一応清潔感のある恰好をし「これからお見合いなんだが」というツイートをして出発した。
思いのほか反響があり、たくさんの応援リプもいただいた。ありがたい限りである。

車を走らせ待ち合わせのイタリアンレストランへ向かう。
車を出る頃は緊張が最大に達していたが、意を決してレストランへ向かった。
いたのは母で、相手の到着はまだのようだ。

待つこと10数分・・・相手が到着した。
お相手の女性と、その両親らしき人物。

失礼を承知で言ってしまうが、相手の女性は正直好みではなかった。
40オーバーのおっさんがワガママを言うな!というご意見はごもっともなのだが、自分からグイグイいこうというモチベーションが上がる感じではなかったことを
まず述べたかった。

それはさておき、着席した時の話しぶりで違和感をまず感じた。
お相手の父だと思っていた人物は近所のおじいちゃんで、今回は仲人的なポジションで参戦しているようだ。

テーブルには↓のような位置取りで着席し、そしてこのジジイに終始かき回されるのだった・・・


どうもこのジジイは私とは初対面ではなく、子供の頃に山へ行ったり家族ぐるみでの付き合いをしていたらしい。でも5,6歳の頃の話なので私は覚えていなかった。

そしてよくよく話を聞くとどうやら私の高校の先輩らしく、それは相手方のお母さんも一緒だった。
ちょっと嬉しくなってここで高校の時の話で盛り上がったのが最初の失敗だった。

とにかくこのジジイがよく喋るのである。
相手方のお母さんも適度に相槌を打つので、気が付くとジジイと相手方のお母さんが喋っている時間長くなっていた。席割り的にも対角線にいるので、間に挟まれた私達は勝手にも話せずに頷くしかできない。

流石にまずいと思い、ジジイの話を少し遮り相手に趣味などを聞いてみた。どうやら旅行らしい。
でも当時はコロナ禍で、職場のお達しで県外に出てはいけないとのこと。
どこが楽しかったが聞いてみたが、山以外でほぼ出かけない私にはよくわからなかった。

終了。

で、自分の趣味も料理やランやネット麻雀()であることをとりあえず頭出ししてみた。
相手は特に話を深掘りしてこようとはしない。

終了。


が、ネット麻雀の話をしたところで横のジジイの興味をひいてしまったようだ。

そしてこれからまたジジイのターン。
イタリアンレストランでジジイのトーク無双を眺めながら、「早く家に帰りたい・・・」そう思うようになり始めた。

ジジイを諫めてもいいのだが、かなり年上だし高校の先輩でもあるので「仲人の自覚あるのか」とかはとても言えなかった。

相手の女性も大人しいタイプのようで、自分からはあまり口を開かない。
踊るジジイ御殿と化したイタリアンレストランで、注文した料理が全部出てきてみんなが早くそれを食べ終わらないかと祈る時間が続いた。

そしてお代わりの飲み物を全員が飲み干し、退店のタイミングになった。
やっと解放される・・・その安堵を私が覚えようとした刹那、ジジイが言った。

「じゃ、盛り上がったところでこれから2人でドライブに行って来たらどうだい?」

・・・!?中田ヒデよりも鋭いキラーパスがいきなりぶち込まれる。
盛り上がっていたのはお前だけだろうが!!
今すぐお前を棺桶にぶち込んでやろうか!?
とはもちろん言えないので、海までドライブへ行くことになった。
どうやら防波堤にバンクシーが書いたらしい絵があるらしい。
・・・はぁ。

ドライブの車内でようやくまともにお相手女性と話をした感じがするが、無論盛り上がらない。
とりあえずバンクシー(?)の防波堤まで行ってみた。
写真はまだ何か絵であることがわかるかもしれないが、私たちが行った頃はだいぶ擦れていて「考えるな!感じろ!」状態だった。




ようやくお相手と別れて解放された後、とんでもなく疲れ切っていた。
夜にお見合いをつまみにリモート飲みを友人とやろうかという約束もしていたが、それすらする気が起きないほど疲労しきっていたため、リモート飲みはキャンセルした。

後日母から連絡があり、相手方へお礼の連絡とかはしたのかと聞かれた。
もちろん一応連絡先は聞いてLINEだが連絡はしておいた。
その後の母の言葉で俺は電話口で新婚さんいらっしゃいの桂三枝ぶりにこけた。
「あ、そうそう、あの後○○さん(例のジジイ)からも連絡あってね、『来年の春にはあの2人結婚かな~』とか言っていたわよ」

お前はあの場にいてどうしてそういう評価になるんだ!?
200Mくらいダッシュしてからぶん殴りたいレベルの怒りを覚え、母からの電話を切った。

とまあだいぶジジイに責任転嫁しているが、自分のトークデッキ(元から歪な方面しかない)や空気を変える力がなかったのも事実である。
私は無力だった。

そして私は誓った。
もうお見合いなんてしないなんて~言わないよ絶対~♪(どっちやねん)

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