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【第5話】 引き出しから漏れる光は、抑えきれない好奇心のよう

 「なにこれ……光ってる……?」
 今まで真っ白だったはずのカードが、CDのようにキラキラといろんな色を湛えながら、光を放っていた。カードにはQRコードのようなものが浮き上がっている。
 「連絡するってこういうこと!?」
 マリンは、気づくとそれを読み込ませようとしている自分にハッとして、いやいやいや、ダメだダメだ、と慌てて止めた。確かに、あの男の人はなにか危害を加えるような怖さはなかったし、悪い人ではない気がしたけれど、あんな、シャッターの奥に地下へと続く小さなドアとかどう考えてもなんか怪しい。
 やめやめっとカードを引き出しの中に戻し、トンと閉める。
 その時、CDが終わったのか音楽が止まり、部屋が静まり返った。
 「……」
 閉めた引き出しの中からは光が漏れていて、それはまるで抑えきれないマリンの好奇心みたいだ。すぐにもう一度引き出しを開けてしまう。
 行ってみようか。確かに怪しさしかないのだけれど、それでも知らないどこかへ行ってみたいという気持ちがくすぐられていた。
 「ふーっ」と深呼吸すると、マリンはコードをスマホで読み込んだ。
 ピッと反応する音がする。その瞬間、カードから放たれた光が、ミラーボールのように部屋中を回転しながら照らしだした。