息子が「今日メシいらない」という日が来た 2038年9月の未来日記
高校一年生の三男が、朝出掛けに言った。
「俺、今日、夜メシいらない」
ついに来た。
「そうか、わかった。心配だから誰とどこ行くかだけ教えて」
と、伝えると三男は「んぁ」と高校生特有の、口をひらかない適当な返事をし、重そうな部活カバンを持って出ていった。
三男は中学まで特に何も部活をやらなかったのに、高校に入ってから急にラグビーをやると言い出した。
部活に入らないと言われたときはそれなりに心配したが、急にラグビーを始めるのも心配した。え、なんで、誰かに誘われたの?大丈夫なん?結局何をしても心配なのだ。大人しい三男の本棚には最近『闇バイト豚バラ君』という不穏な漫画が加わった。闇バイトを斡旋する豚バラ君と、安易にお金を稼ごうとする人たちの破滅を描いた漫画である。自分で買ったのか?友達から借りたのか?どんな友達だ?心配には底がない。
さて、飯。
長男次男は家で食べることのほうが少なく、このところ三男と妻の3人で食卓を囲うことが多かった。
三男が外食してくる、となると、夫婦二人だけの飯である。
外で食べるのもありだな。子どもの事を考えなくていいお店選びは久しぶりだ。
かつてお店選びに愛用していた食べログはもうない。そもそも今何が流行っているのだろう?
久しぶりに作るのもありだなー。冷蔵庫にカメラを向けると料理AIが提案してくれて、
画面上で調理動画も流してくれる。結婚当時よく作っていた担々麺を作るのもありだなー、と思い、スーパーに行く。
さて作るか、ってなったときに妻が帰ってきた。
「バターチキンカレー買ってきたよー。いる?」
ああ、そういえばこの人はこうだった、まあ、いいか。
「わーい、チーズナン?」「うん、チーズナン」「ありがとう!」
これから夫婦二人の食卓が続くのだ。また色々楽しめばいいのだ。
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