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その1曲がきっかけで、僕はナイジェリアのAfrobeatsアーティストと友達になった。

アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキです。いつもこのnoteを読んで下さっている方も、あるいは初めてお読み頂く方も本当にありがとうございます。

11月のとある週末、いつものように音楽配信サービスでAfrobeatsのプレイリストを聴いていたら、不意に「ん!?」と僕の両耳に仕込まれたセンサーが何かを捉えました。ついさっきまで流れていたいくつかの曲と何かが違う。音数の少なさ、そしてその隙間の使い方と鳴らし方がとても気になる。

それは「ViQQ」というアーティストの「Osho」という曲でした。一体どんなアーティストなんだろう?ネットで可能な限り調べてはみたものの全くバイオグラフィーが見当たらない。たぶんインディーズのアーティストなんだろうと思いました。ナイジェリアだろうか?いや、でもそうじゃない感じもする。UKかな?調べても調べても全く分からないので、もうこうなったら直接本人に聞いてみようと思い、Facebookにあった本人のアーティストページからメッセージを送ってみることにしました。

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↑僕のコメント間違ってる。「I'm a curator」が正しいですね。

するとその日のうちにViQQ本人から返信のメッセージが届きました。そこには簡単なバイオグラフィーが記されていて、まず彼はナイジェリアのアーティストだということが分かりました。ViQQはラゴス育ちの1人っ子で、彼のお母さんはラゴスの東側に位置するデルタ州の出身とのこと。彼は幼い頃(9~10歳)から人前で歌を歌っていたようで、その後彼が進学したボーエン大学(Bowen University)では工業化学を専攻したのち、音楽を志し今はラゴスで活動しているということを私に教えてくれました。

先程ご紹介した「Osho」が僕はとても好きだと伝えると、

「この曲はプロデューサーのJinmi Abdulsと一緒に作ったんだ。」

と教えてくれました。Jinmi AbdulsOxladeJoeboyとも共演するシンガー&ソングライターで、プロデュースワークやサウンドエンジニアリングにも稀有な才能を発揮する注目の存在です。


ViQQは昨年「Realm」というアルバムをリリースしているのですが、その収録曲の中でいくと他にも「Magic」のようにAfrobeatsから離れたRnB寄りの曲や、


この「Show You」のようなメロウさとビート感はWizkidの「Naughty Ride」に通じる気持ちよさがあって大好きです。


そんなこんなでいつの間にかViQQとはWhatsApp(日本でいうLINEのようなチャットツール。アフリカではWhatsAppを使う人がとても多いです)を使って頻繁にやり取りをするようになり、時々彼のTwitterアカウント@viqqoffcial のタイムラインを見てナイジェリアの美味しそうなごはん屋さんのメニューをチェックしてみたり(いつかラゴスに行くことになったらココが僕の拠点になることは間違いなしです)

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Simmer's Kitchen @simmerskitchen

また、彼の周囲で活動している若手のアーティスト達の存在も知ることが出来ました。そんな彼らの音源をあれこれ掘っているうちに、今までとは違う感覚が湧いてきました。これまでSpotifyやYoutubeなどで曲を調べ、音楽メディアから発信される情報を英訳してメジャーなアーティスト達の最近の動向を入手していたのとは少し異なる感覚。それはもしかするとライブハウス的だったりクラブ的でもあって、「この前聴いたこの曲さ、マジ良かったよ。」みたいな音楽好きの仲間内で交わされる情報交換のようなストリート感でした。僕はViQQという存在を軸にした新しい視点で今のナイジェリア音楽に触れることができるようになりました。
そんな若い彼らの音楽を集めたプレイリストを作ってみましたので、もしよろしければこちらも是非お聴き頂けたら嬉しいです。何か新しい発見があるかも知れないし、次世代を担うアーティストがここから現れるかも知れないと思うとワクワクします。


そしてなんとViQQから新たなインフォが。
実は今日12月7日、彼の新曲がリリースされました!

めっちゃセクシーなジャケットじゃないか、ViQQ!(^o^)

この新曲「MAMACITA」は新人ラッパーのKing Ajaaをフィーチャーしていて、プロデューサーがなんとなんとPheelz! 彼はOlamideTiwa SavageRuntownFireboy DMLなどの楽曲も手掛けるプロデューサーで、Olamideのアルバム「Baddest Guy Ever Liveth」ではほぼ全ての曲を、Runtownのデビューアルバム「Getto University」で2曲、Fireboy DMLのデビューアルバム「Laughter、Tears and Goosebumps」では7曲(「Need You」や「What If I Say」などのビッグチューンがそうです)、そしてTiwa Savageの最新作「Celia」では「Save My Life」と「Celia's Song」で名前がクレジットされている名プロデューサーと言っていい人物。
そんな名高いプロデューサーであるPheelzと組んだってことはViQQも今かなりup and comingなんじゃないのかな?もしかしてこれがきっかけでメジャーレーベルと・・・そしたら今みたいに気軽にチャットできなくなるかも。そこでせっかくだからViQQに新曲についていくつか簡単なインタビューをしてみました(海外のアーティストにインタビューなんて初体験!笑)

アオキViQQ、今回の新曲のテーマについて教えてください。それからいつも君が曲を作る際に大切にしていることがあれば是非!」

ViQQ「今回のMAMACITAはとてもチルな曲でKing Ajaaをフィーチャーしてるよ。この曲は自分の存在をより多くの人に知って貰うために作った曲だね。曲の内容は好きな女の子に話しかけて、僕が君を欲しいと思っていることやその気持ちをストレートに伝えようとているんだ。」(※ちなみにタイトルのMAMACITAはスペイン語でかわいい女の子に対して男性が使う声がけの決まりゼリフ)

アオキ「なるほど、いいね。ところでViQQがいつも曲を作る時に常に大切にしてることってどんなこと?」

ViQQ「僕はいつも曲を書く前にまずメロディを出すんだ。今回もそうだったよ。まず自分をvibeさせて最高のメロディを選ぶんだ。最高の音というか流れというか。そしてそれを言葉にしていく。だから、曲の感触をつかむようにしているんだ。自分がどんな音にしたいのか、それを十分に理解していることをしっかり確認することが大切。言葉が入ってくる前に、それを確認しなければならないと思っている。そうすれば、より良い曲が書けるようになるんだ。これって凄く伝えずらいことなんだけど、シゲがわかってくれたら嬉しいよ。」

アオキ「素晴らしいね。君は自分のvibeと、そこから生まれるメロディーやフロウをとても大切にしてるんだね。僕にもわかった。
ところで、君も含めナイジェリアのアフロビーツアーティストたちはとても美しくメロウな曲を書くんだなっていつも思ってるんだけど、それってなぜだろう?」

ViQQ「まずアフロビーツは私たちのメインジャンルであり、他の全てのものはアフロビーツを中心に、あるいはそこから生まれてきたものなんだ。だから、ポップス、ダンスホール、R&B、その他いくつかのジャンルはアフロビーツと融合することができるんだ。今はそういう段階なんだ。そして私たちは自分たちの腕前を見せるのが好きなんだ。プロデューサーもアーティストもね。もし君の歌がスローで、チルで、そして美しく書かれたとしたら、その時に君は栄光を手にするよ。」

アオキ「なるほどね、凄いなぁ。そしたらさ、最後に君がもし日本について興味を持っていることがあれば教えて。」

ViQQ「こんなことを言うのは馬鹿げているように聞こえるかもしれないけど、僕はいつも日本の女性にメロメロなのさ。おかしくなっちゃいそうだ(笑)。いつか彼女たちに向けて歌を歌いたいと思っています。もちろん、その国に行かないといけないけどね。そしてそのつもりだよ。」

アオキ「いいね、是非日本に来てよ!日本のリスナーに向けてメッセージを!」

ViQQ「私の歌を聴いてくれた人や、今まさにこうして聴いてくれている日本人の皆さん、ありがとうございます。一人ひとりに感謝しています!」

という訳で、今回は僕が偶然でかつ幸運にも繋がることが出来ためちゃくちゃ期待のナイジェリアンアーティストViQQを特集してみました!もしよければ彼のアカウントをフォローして頂けるとViQQもきっと喜ぶと思います!
Twitter @viqqofficial
Instagram viqqoffcial
Facebook ViQQオフィシャルページ
Spotify ViQQ
その他の音楽配信サービスはこちらからどうぞ!
https://unitedmasters.com/m/viqq-mamacita-ft-kingajaa

最後までお読み頂きありがとうございました!
そしてViQQにBigg Thanks!!
金属製蝶ネクタイ「Metal Butterfly」プロデューサーでアフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキでした。

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