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Youtube再生数1億超えのアフロポップ!(part2)

先日10月13日(火)、東京No.1オシャレラジオで僕自身が20年以上ずっとリスナーでもあるJ-WAVEの音楽番組SONAR MUSICに、アフリカ音楽キュレーターとして出演させて頂きました。お聴きくださった皆様、本当にありがとうございます!


J-WAVE初出演めちゃくちゃ楽しかったです!!
オンエア中はリスナーの皆様からありがたいコメントをたくさん頂くことが出来て本当に嬉しかったです。現在進行形のアフロポップの魅力を皆さんにもっとお伝えできるように、これからも発信力を強化してどんどんお届けしていきたいと思ってます。
ナビゲーターのあっこゴリラさん、ゲストでご一緒させて頂いたMONO NO AWARE玉置周啓さん、そしてSONAR MUSICのスタッフの皆様、貴重な機会を頂き本当にありがとうございました!

さて、それでは早速いきましょう。今日は前回に引き続き「Youtube再生数1億超えのアフロポップ!」第二弾をお届けしていきます!(Youtube再生回数はこの記事を執筆した2020年10月時点のものです)


⑥SINACH "Way Maker"

再生回数・・・約1億6000万回

SINACHはゴスペルをベースに持つナイジェリアのベテランシンガーです。10代からラゴスの教会の聖歌隊で歌いはじめますが、彼女が所属する「Loveworld」とも呼ばれるこの教会は、クリス・オヤキロメ牧師によって創設された「キリスト大使館」(Christ Embassy)というラゴスに本部を置くグローバルネットワークな教会組織で、彼女はそこで歌の才能を見い出されました。ちなみに「Loveworld」は5つの国で展開され独自のテレビチャンネルも持っていて、彼女が所属するレーベルもLoveworld Musicです。
そうしたキャリアもあって彼女のゴスペル音楽は世界中で愛されており、ゴスペル音楽家としても、また一人のアーティストとしても様々な賞を受賞しています。また、今年2020年5月には Billboard のChristian Songwriters chartでトップに立った最初のアフリカンアーティストになりました。

「Way Maker」は2015年5月(ビデオは同年12月末)にリリースされ、2019年にYoutubeで1億回再生を突破しました。世界中の様々なゴスペルミュージシャンによってカバーされており、なんと50か国語に翻訳されているそうです。

今年2020年は世界中で本当に様々な出来事がありましたが、特にアメリカでは医療機関で献身的に働く医療従事者のための祈りの曲として、あるいはジョージ・フロイド事件に端を発した人種差別に対する抗議集会の場で、この「Way Maker」は多くの人々に歌われたメッセージソングとなりました。
そうした背景を知った上で聴くと、この曲は一段と深く心に響いてきます。
ぜひその世界観を知って頂ければと思い、彼女の歌詞の一部を引用します。

You are here, moving in our midst
I worship you, I worship you
You are here, working in this place
I worship you, I worship you

Way maker, miracle worker
Promise Keeper, light in the darkness
My God, that is who you are     
 <"Way Maker" written by Sinach>


⑦Master KG "Jerusalema" feat. Nomcebo

再生回数・・・約1億7000万回

南アフリカにも1億回越えのアーティストがいました!
1996年生まれのハウスミュージッククリエーター&プロデューサーMaster KGは、13歳からPCを使って自分でビートを作るようになり、2016年にデビュー。その後2018年には、初のアルバム「Skeleton Move」 のタイトル曲で、女性シンガーZanda Zakuzaをフィーチャーした「Skeleton Move」がヒット。AFRIMA Awards 2018(All Africa Music Awards)を始めいくつもの賞を獲得することとなりました。

そして2019年11月、ヴォーカルにNomcebo Zikodeをフィーチャーしたシングル「Jerusalema」(エルサレマ)(動画のリリースは12月21日)は、アフリカだけでなくヨーロッパでも大ヒットを記録し、6月にリリースされたリミックス(feat. Burna Boy)はアメリカのビルボードチャートにも登場。リミックスも含めてベルギー・ルーマニア・スイスのチャートでは1位を獲得しています。
この「Jerusalema」、特筆すべきは「Jerusalema Challenge」と呼ばれるダンス動画の投稿が凄まじい勢いで拡散していったこと。アンゴラの一般市民の投稿から始まったこのチャレンジは瞬く間に世界中を席捲し、ウェイター、建設作業員、警察官など多くの人々がダンス動画をアップ。またクリスチアーノ・ロナウドやジャネット・ジャクソンら多くの著名人もTwitterやInstagramで反応を示し一大旋風を巻き起こしました。今年のMTV Europe Music Awardsでもベストアフリカンアクトにノミネートされています。

Master KG「Bolobedu house」(南アフリカのリンポポという彼の出身地で誕生した独自のサブジャンル的ハウスミュージック)を牽引する存在でもあり、この「Bolobedu house」の特徴を説明すると、80年代調の明るいポップスやバラードを少しパーカッシブにハウスリミックスした感じ、と私は感じてます。ダーバン発祥のGQOMのように、ローカルごとに個性の違うダンスミュージックがあるのも南アフリカの面白いところだと思います。


⑧Davido "Fall"

再生回数・・・約1億8000万回

遂に来ました、Davido!!どのタイミングで彼を取り上げるかずっと考えていたんですが、「Fall」が見事1億8000万越えで今回登場となりました!

1992年生まれのDavidoは、ナイジェリアで有名な実業家の息子であり、なんとアメリカ・ジョージア州アトランタ生まれ。幼少期はナイジェリア・ラゴスのインターナショナルスクールに通い、16歳でアメリカ・アラバマ州へ。そしてオークウッド大学に入学するも本格的な音楽活動を行うため中退しロンドンへ。しかし父親と大学中退の折り合いをつけるために最終的にはナイジェリアのバブコック大学を卒業します(しかも勉強をしたくないDavidoのために、父親は大学に音楽部門を作らせてその費用を払ったとか)。その在学中の2011年に最初のシングル、そして翌2012年には1stアルバムをリリースし、アーティストとしてのキャリアが始まります。

Davidoについてはとにかく情報量もリリースも多く、また、しばらく続いたWizkidとの確執やらカルトギャングのメンバー説など話題には事欠かないんですが、少なくとも今Wizkidとは一緒にステージに上がったり曲でコラボもしているので一安心。Davidoについてはまたどこかで詳しくご紹介していきたいと思っています。

さて、この「Fall」は2017年6月にリリースされたシングルで、米Billboard史上最長のチャートインを記録したナイジェリアンポップソングです。ちなみにこの「Fall」の歌詞の途中には、以前UK Afrobeatsの回でご紹介したKojo Funds「Dun Talkin」のフレーズが使われてますが、これはDavido「Dun Takin」に触発され、直接Kojoに連絡しOKを貰ったとのこと。

また、この他にもDavido "If"が1億1000万回を超える再生回数となっています。「Fall」とこの「If」のヒットがDavidoを世界的な成功へと導く大きなきっかけとなりました。



⑨Aya Nakamura "Djadja"

再生回数・・・約6億8000万回

もうご存知の方も多いかも知れませんが、Aya Nakamuraは本名ではなく彼女のアーティスト名です。西アフリカの国マリの首都バマコで生まれ、その後フランスに移住しました。
なぜ彼女のアーティスト名にナカムラが付くのかというと、彼女が大好きなアメリカのテレビシリーズ「HEROES」に出演していた日本人俳優マシ・オカが演じる「ヒロ・ナカムラ」からインスピレーションを受けたとのこと。(出典は60MAGこちらの記事から)

彼女の家系はなんとグリオ(伝統伝達者。楽器演奏だけでなく歴史上の英雄譜や家系、生活教訓などを伝承すること。彼女の家系は口頭伝承詩人)なんですね。グリオは西アフリカ特有の文化で、以前の記事(下のリンク参照)でも紹介したガンビアのSona Jobartehや、日本のアフロビートバンドAfro Begueで活動するオマール(セネガル出身)もグリオの家系です。

Aya Nakamuraの曲「Djadja」ですが、これまでご紹介した他のアフリカのアーティストをぶち抜いていて、その数なんと6億8000万回!!
フランスを拠点に活動しているとはいえ、そのサウンドは完全なるアフロポップ。2018年にリリースされたこの曲はフランス国内のみならずヨーロッパ中でヒットを記録しました。またこの曲を含むアルバム「Nakamura」はMusic Moves Europe Talent Awardsでベストアーバンアルバムを受賞してます。

そしてAya Nakamuraはこの他にも再生回数2億越えの曲が2曲も!Aya Nakamuraは2019年に最も視聴されたフランスの女性アーティストに選ばれました。

Aya Nakamura "Pookie"

再生回数・・・約2億5000万回

Aya Nakamura "Copines"

再生回数・・・約2億3000万回

ビデオに登場する衣装がどれもファッショナブルですね。フランスでファッションを学んだ彼女のアーティストとしての才能が余すところなく表現されていると思います。

また、自分のルーツとマリの文化遺産へのオマージュから2015年に首都バマコのスタジアムで開催されたコンサートでは、先程ご紹介したDavidoのオープニングアクトを務めています。


という訳で、Part.1とPart.2の2回に分けてお送りしてきました「Youtube再生数1億超えのアフロポップ!」、如何でしたでしょうか?最後はまさかの6億超えでしたが、アフロポップがこれからどんどん世界中に浸透していくとこの数字は更に増えていくでしょうし、あらたな億超えヒットも今後次々に生まれていくでしょう。ちなみに私がここ最近1番注目なのは、MTVEMA2020のベストアフリカンアクトを誰か取るかです。なんとなくMaster KGがいきそうな気もしてますが。。。

最後までお読み頂きありがとうございました!

金属製蝶ネクタイMetal Butterflyのプロデューサーでアフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキでした。

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