セブンイレブンの漂流●情報小料理屋「ソースは、オレだ!」2016/05/25
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セブンイレブンの漂流●情報小料理屋「ソースは、オレだ!」2016/05/25


セブン&アイ、鈴木氏は名誉顧問に 存在感残る

 セブンイレブンの鈴木敏文さんの退任は、大きな衝撃だった。セブンイレブンが、旧来型の地域商店、酒屋や万屋(よろずや)といった、家族経営商店を駆逐し、システマチックなコンビニエンスストアに変えていった。その功罪は別として、いわば旧来型業界を力技で「地上げ」し、近代的な都市システムにリノベートしたということだろう。これは鈴木さん自身の才覚もあるだろうが、時代の大きな要請と波にのった天啓に近い衝動があったのだと思う。そういう時のリーダーは、強い。企業とは、経営者個人と社会のコミュニケーションの産物なのだ。

 鈴木さんの退任は、社外取締役である伊藤邦雄・一橋大名誉教授、米村敏朗・元警視総監の2人の存在が大きく、単なるひな壇の人形ではなく、物理的に力を行使したのは、はじめてではないか。そして、このあとの経営に、社外取締役は、どういう責任を取るのかも見ていきたい。

 問題は、新社長になった井阪隆一さんだ。井阪さんは鈴木さんの弟子だし、長年COOとして実務をこなしてきた。しかしどう見ても、セブンの経営戦略は鈴木さんがたてて、井坂さんは番頭として実務を忠実に果たしてきたとしか見えない。内部にいないので、勝手な想像かも知れないが、そう見える。その弟子が、戦国の下克上よろしく、外部の力を借りてクーデーターを起こした。おそらく、井阪さんは生涯を賭けての勝負であったのだろう。しかし、その勝負を賭けた得た地位を使って、次はどういう展開をするのか、どういう「天命」が降りてきているのか、というビジョンが見えない。地位を得ることに、生涯のエネルギーを使い果たしてしまったのではないか。

14億円不正引き出し 「出し子」は100人以上か

 井阪体制になった途端に、セブン銀行を使った、大掛かりな詐欺事件が発生した。セブン銀行を作ったのは、鈴木さんだが、何か、井阪さんの「ついてなさ」を暗示するような事件だと思う。これは、原田泳幸さんが、マクドナルドからベネッセの社長になった直後に、3000万人に及ぶ個人情報が流出した。いわゆる「家族データベース」と言っていたものだ。これは、原田さんの責任ではないのだが、事件発覚時の社長ということで、お詫びにまわらなければならなかった。業績も低迷した。

 あまり合理的な考え方ではないが、企業というのは、社会に要請されていると確信出来る社長がいる時は、いけいけで何でもいけて、失敗も大きな話題にはならないものだ。社員も取引先も一般の人も「あの人がなんで社長を?」という感じを持っ時は、よほど、パワフルな個人でないかぎり、マイナスの事件が続発して、企業は落ち目になる。誰も、同情しないんだな。

 井阪さんは、鈴木さんに出ていけと啖呵を切ったわけだが、「名誉顧問」として処遇するということになるようだ。最初は社内的には、「最高顧問」だったのだが、井阪さんが不満を言って、「名誉顧問」に落ち着いた。しかし、「最高」も「名誉」も、あまり関係ないだろう。「残る」か「残らない」かの選択しかないのだ。

 取引先やオーナーさんたちへの影響力を考えて、妥協したのだと思うが、僕には、幹部たちが、井阪経営が行き詰った時に、鈴木さんに復帰してもらいたくて、仕込んでおいたのではないのかと邪推する。ユニクロもそういうことがあった。年齢の問題があるが、鈴木さんの次のテーマであったオムニチャンネルの実現は、単なる技術やシステムの問題ではなく、天命を持った人間のエネルギーが必要なのだ。

 コンビニとは、ユビキタス時代(古いか)のマルチ・ポータルなのだと思う。そして、その使い方を、僕らは、全く違う発想で構想を考えているが、それは、構想書が出来上がったら、報告しよう。

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橘川幸夫

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