シェア書店・棚主のはじめかた(4)「TAKIBI」が始まる。

今、一番の注目「シェア書店」は、「TAKIBI」である。

90年代に「千駄木・往来堂」という伝説の書店の店長だった安藤哲也くんが、その後、さまざまな経験を経て、今年の6月に往来堂の近所に、シェア書店を開業します。これは、注目。

安藤くんは、80年代にUPUに入って、そこから書店店長のメキキ力を活かした書店「往来堂」の店長に。その後、BK1、楽天ブックスで活躍した後、子育て父親支援のNPO「ファザーリング・ジャパン」を設立。企業や行政などに圧倒的に受け入れられ、日本各地を講演して回る。孤立した子どもたちを支援するNPO法人タイガーマスク基金を設立したり、社会的課題と事業化を同時に推進してきた独自のキャラクターである。

自分の子どもが20歳を過ぎて、父親の子育て参加の活動以外の活動を広げようと、株式会社ライフシフト・ジャパンを立ち上げて高齢者問題に取り組む。

こうした多様で着実な社会活動を経て、昨年、地域の課題である、無書店地域に「まちの本屋」を復活させることをテーマに、NPOブックストア・ソリューション・ジャパンを立ち上げた。

ブックストア・ソリューション・ジャパン

【BSJ】NPO法人ブックストア・ソリューション・ジャパン公式サイト｜無書店地域に「まちの本屋」の復活をまちづくりは人づくりから。本は人を育み、本屋は人をつなぐ。

この団体のスタートは、安藤くんと関わりのある、取次、書店、図書館などの錚々たる人たちが結集している。私も個人的に参加申請をした。

一回目の会合で、安藤くんは、地方都市は図書館ばかり豪華になって、町の本屋さんが絶滅している。まちの本屋さんは、子どもにとっても大人にとっても、大事な場所なので、地方行政と組んで復活させていきたい。更に、都心部では本屋さんが潰れて、従業員の店員さんは、別の仕事に再就職している。だけど、本当に本が好きで書店店員をしていた人は少なくないので、その人たちと地方をつなぎ、地方にとっては「本屋の復活」と「移住促進」の両面の価値を提案していく、というようなことを話していた。Zoomの発言で記録していないので曖昧だが、まぁ、そういう趣旨だったと思う。素晴らしいね。安藤くんが自分の人生を最大限活用して、次の一手を出した感じがする。

その安藤くんが、シェア書店「TAKIBI」を開始する。おそらく、今後各地で起きるであろう「まちの本屋」の新しいノウハウをつかもうとしているのだと思う。もちろん、深呼吸書店は、出店応募しました。

TAKIBI

Books & Coffee 谷中🔥TAKIBI

蛇足

実は、安藤くんとは古い付き合いであり、彼が行ってきた事業については、僕は直接関係ないが、深い友人たちとつながっている。

まず80年代に彼が入社したのはUPU(ユニバーシティ・プレス・ユニオン)という採用PRの会社である。ここは80年代に急成長して、素晴らしい活動をした出版社である。

採用PRとして、リクルートは巨人過ぎるが、2番手として、そのクォリティの高さでリクルートを脅かした。市販の雑誌も「Esquire (エスクァイア) 日本版」「i-D MAGAZINE日本版」も創刊した。また何よりも特筆すべきは、現在のゲーム状況のルーツを探るためのバイブルといってもよい「電子遊戯大全」を発行したのがUPUである。まとめたのは現ポケモンの社長の石原恒和さんである。

リクルートが東大新聞会の江副さんたちが起業したのに対し、年代は10年以上離れるが、関西の大学新聞会(京大や大阪市大など)の仲間が東京に出てきた創業したのがUPUである。私は、ひょんなことから、最年少役員の広本公朗と出会い、小川町の事務所時代から出入りをし、仕事はほとんどしたことないのだが、客分として、御茶ノ水に引っ越した時は乾杯の発声をしたりした(笑)。その後、飯田橋、荻窪と成長に合わせて、出入りしていたが、荻窪に新ビルを購入してからバブルがはじけ、今では知る人も少ないだろう。80年代に、最先端のテーマや研究者・識者たちとのネットワークを作っていた。

社内の人材も、ユニークな連中が集まり、今も各地で活躍している。そこで、若手の新入社員としていたのが、田口ランディと安藤哲也であった。

往来堂以後の、BK1は、図書館流通センターと日経BPが作った会社なので、日経BPの客分(笑)であった私の友人たちも多数参加、楽天ブックスは日販との関係があり、日販の私の怪しい仲間たちとも関係する。タイガーマスク基金も、長年の友人である当時ソニーデジタルエンターティメント社長で、現在はスピーディー社長として八面六臂の活躍をしている福田淳さんが立ち上げに関わり、株式会社ライフシフト・ジャパンは、元リクルートで30年来の友人である、大野誠一くんが創業に関わっている。大野くんは、元ダヴィンチの編集長で、ブックストア・ソリューション・ジャパンの顧問でもある。

ということで、同じ時代を、別々ではあるが、平行して生きてきた安藤くんが開始するTAKIBI」に注目したい。