図書館の未来について
埼玉県川口駅前に「メディアセブン」という市営の施設がある。図書館なのだが、旧来の図書館のフレームに入れきれない、設備やコンセプトがある。
メッセージは、こうである。
「メディアセブンは、地域の文化、歴史、産業、芸術などさまざまな分野と連携しながら、総合的に学び、探求する新しいタイプの「学びの場」です。ここで行われたワークショップなど活動に関する情報や、活動によって得られた知識や経験を収集・管理・保管・提供し、さらにこれを市民(利用者)が共有する「場」をデザインすることにより、文化を創造していきます。」
既存の書籍を管理するだけではなく、新しいコンテンツそのものを生み出し、記録していこうとしている。設備も、書籍ライブラリーの他に、パソコン・ルームや音楽スタジオも充実している。上映会やプレゼンテーションの場も用意されている。
ここでは、さまざまなイベントが開催されていて、僕も数年前に、講演をやったことがある。その時に聞いた話では、当初、市の図書館の計画があり、市長の思いは、新しい時代の図書館として、映像やデジタルデータも扱えるような施設にしたいということであった。しかし、旧来の図書館司書たちは、こうした冒険に不安を感じ、結果として、運営組織は入札となってNPOが受託した。
こうした試みは、大事なことである。しかし、それは、決して、ツタヤ図書館のように、図書館への思いも、書籍やメディアに対する愛情も欠けて、単にビジネスのツールとして扱うような人たちに、公共図書館の予算を使ってもらいたくはない。
先日、メディアセブンの活動をまとめた報告書が送られてきたが、一つ一つのイベントが、運営者と登壇者の気持ちが込められたものであった。
今、日本各地で、新しい図書館のあり方が模索されている。インターネットで情報が検索されるようになった時代の、図書館のあり方は、これまでとは違うものでなければならないだろう。出版業界が作った本を管理するだけの図書館の役割は減少しつつあり、新しい司書のあり方が望まれているのだろう。
メディアセプンが参考にしたと思われる、せんだいメディアテークなど、各地で追求されている、未来の図書館のあり方に期待している。
▼報告書と、僕の紹介頁。
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