写真_2017-03-23_13_13_23

欅坂46考・アイドルとファンの間にあるもの。


 新曲については、来週届いたら、書きます。
 今日は、ちょっと最近、考えてることをまとめます。

 アイドルとは何だろう。昔から、スターはたくさんいた。ファンもたくさんいた。映画スターや、テレビの人気者もたくさん登場した。しかし、現代のアイドルの立場や、女の子がアイドルになりたいという意識は、何か、映画やテレビの時代のそれとは違うような気がする。

 東北に生まれた桜田淳子が、まるで、集団就職のように東京に上京して、テレビや雑誌の人気者になった。たくさんの若者が、テレビ局の集中している東京を目指してきた。しかし、銀幕(シルバースクリーン)の世界に憧れた世代や、テレビの人気者になって知名度をあげて人生の成功者になろうという意識と、平手友梨奈の意識は全く違うような気がする。平手友梨奈だけが違うような気がする。抱えているものも、背景も。それが、秋元が「平手は他の子と目指すものが違う」と言ったことだろうし、齋藤冬優花が「平手が欅の方向性を決めてくれた」と言ったことでもあるだろう。

 ところで、僕は今年から「YouTuber 研究会(仮)」を立ち上げた。もともと、1990年代の前半の、まだインターネットの気配もない頃に、有線放送CANの一回線を借りて、誰でも30分のDJが出来るという「おしゃべり放送局」をやっていて、その時の体験は、僕にとってメディア活動の総決算になる予感がした。しかし、早すぎたようだ(笑)。20年経って、通信環境が出来たことにより、ニコ生やYouTuberの全盛期を迎えた。しかし、1992年ぐらいか、小川町の地上げ中の倉庫を借りて、SONYのリース流れの機材や録音ブースを借りて、「誰でも放送局」をやった体験は、鮮烈に僕の記憶に刻まれている。

 さて、そういう意味で、YouTuber の存在は、気になるものであった。しかし、それは、何億稼いだとかいったスーパーヒーローたちではなく、たいして儲からないのに、キマジメに番組を続けている人たちに関心があった。

 たまたま、僕が教えている大学の学生に、YouTuber がいて、彼に声をかけてもらって、今年の8月に、第一回目のトークライブを実施した。

YouTuberに聞いてみよう! トークライブ

 これは、YouTuberの人たちに、YouTuberのことなど何も分からない僕が質問をするというトークライブだった。いろいろ勉強になったのだが、一番の獲得は、以下の質問と回答である。

「YouTuberになって、一番、嬉しかったことはなんですか?」
「ファンという存在と出会えたことです」

 ああ、そうなんだ、これだな、そうだろう、と一人で合点してしまった。

 僕らの社会は、メディアの発展により、逆にリアルな関係は希薄になっている。近所付き合いも、親戚関係も希薄になった。そういうアナログに付き合いをしなくても、日常生活に不便はないからだ。友人関係、仕事関係も、機能的になり、村的なコミュニティではなくなっている。

 だいたい、リアルな世界では、信頼できる関係とか、大好きな関係とかはあったとしても、「ファン」にはならない。Twitterやfacebookでも、あまりファン構造にはならない。

 YouTuberだけが、ファン構造を作りやすい。YouTuberは、発信者個人の存在そのものが価値で、その価値が好きな人が登録をする。その登録が、YouTuberにとっては「ファン」であり「自分の出番を待ってくれている人」なのであろう。

 Twitterにおいては、発信者個人よりも、発信された言葉が主役になり、facebookは、旧来のリアルコミュニティの住所録みたいなものだから、そこに新しい時代の方法的な可能性は少ない。

 それは、僕が「おしゃべり放送局」をやった時に夢想した構想である、誰もが、テレビ局のオーナーになり、番組を作れる構造である。

 メディアを通した関係性は、実世界の信頼関係とは異質なものになるだろう。それはファン構造であり、相互のファン構造が出来て、情報化社会は完成するのだろう。

 個人的なことになるが、僕は、22歳の時に、ロッキングオンを創刊して、メディアの人生を歩みはじめた。4人の主要メンバーの中では、裏方の仕事が多く、他の3人は、それぞれにファンがついた。それでも、僕にも、ファンレターのようなものが何通も届くようになる。それは少しずつだが、増えていくと、原稿を書いている時も、学生時代のように、虚空に向けて言葉を発するのではなく、見えないけど、時代の霧の彼方にいるであろう、僕の言葉を受け取ってくれる人の存在を感じながら、文章を書くようになる。表現活動で何よりも必要なのは、才能ではなく、確かに受け取ってくれるというファンの存在の自覚なのだ。

 よい読者は、よい作家を育て、よい消費者が、よい企業を育てる。メディアの世界においては、密室の表現活動や研究室の独自技術開発ではなく、メディアを通した、日常的な、発信者と受信者の信頼関係が一番、大事なのだ。

 平手友梨奈が求めたものは、富でも名声でもなく、現実の環境の中では、感じることの出来なかった、メディアを通しての新しい関係性なんだろうと思う。そして、欅坂46を育てたのも、無数のファンたちの聞こえないエールであったのだろう。

YouTuber 研究会(仮)


*「YouTuber 研究会(仮)」に関心のある人は、橘川まで連絡ください。

▼ということで、新曲は以下。

■リリース情報
欅坂46 5thシングル『風に吹かれても』
発売:2017年10月25日(水)
価格:初回仕様限定盤 TYPE-AD(CD+DVD)1,528円+tax
   通常盤(CDのみ)972円+tax

<CD収録内容>
・TYPE-A
1.風に吹かれても
2.それでも歩いてる
3.結局、じゃあねしか言えない
4.風に吹かれても off vocal ver.
5.それでも歩いてる off vocal ver.
6.結局、じゃあねしか言えない off vocal ver.

・TYPE-B
1.風に吹かれても
2.それでも歩いてる
3.NO WAR in the future
4.風に吹かれても off vocal ver.
5.それでも歩いてる off vocal ver.
6.NO
WAR in the future off vocal ver.

・TYPE-C
1.風に吹かれても
2.それでも歩いてる
3.避雷針
4.風に吹かれても off vocal ver.
5.それでも歩いてる off vocal ver.
6.避雷針 off vocal ver.

・TYPE-D
1.風に吹かれても
2.それでも歩いてる
3.波打ち際を走らないか?
4.風に吹かれても off vocal ver.
5.それでも歩いてる off vocal ver.
6.波打ち際を走らないか? off vocal ver.

・通常盤
1.風に吹かれても
2.それでも歩いてる
3.再生する細胞
4.風に吹かれても off vocal ver.
5.それでも歩いてる off vocal ver.
6.再生する細胞 off vocal ver.

<DVD収録内容>
・TYPE-A
1.風に吹かれても Music Video
2.月曜日の朝、スカートを切られた Music Video
3.特典映像 A 

・TYPE-B
1.風に吹かれても Music Video
2.それでも歩いてる Music Video
3.特典映像 B 

・TYPE-C
1.風に吹かれても Music Video
2.避雷針 Music Video
3.特典映像 C 

・TYPE-D
1.風に吹かれても Music Video
2.波打ち際を走らないか? Music Video
3.特典映像 D 

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

橘川幸夫の無料・毎日配信メルマガやってます。https://note.com/metakit/n/n2678a57161c4