アフコロ所長日記3回目●2020/05/27 ●自粛期間に見えた「仕事」の本質。

アフコロ所長日記2020/05/27
●自粛期間に見えた「仕事」の本質。

 自粛要請が解除されて、今週から通勤する人も多いだろう。今回の自粛期間の中で、はっきり見えたことがあった。それは、これまで「仕事時間」だと思っていたものが、実は「仕事」をするための準備期間が大きかったということを。

 私は大学の講義を担当しているが、自宅から多摩大学に通うのに往復3時間以上はかかる。授業は1コマなので90分。90分の仕事のために180分の「仕事のための時間」が必要だったわけだ。それがオンライン授業になれば、90分の実際の仕事だけで済む。

 サラリーマンは8時間の労働時間のために、往復の通勤時間がかかっているが、この時間は労働ではないだろう。フリーランスでも、3時間の打ち合わせのために、往復その時間ぐらいかけて先方の会社に行くことになる。

 オンラインで仕事をすれば、実質の仕事そのものが労働時間そのものになる。曖昧な部分がなくなるから、すっきりしたのであろう。

 通勤や打ち合わせのために移動があるから、街でランチをしたり、会社の帰りに一杯やっていくという文化が生まれ、飲食業が栄えた。それが豊かといえば豊かな都市文化であるが、食事や酒だけであれば、別に、仕事のついでである必要はないだろう。会社の帰りに上司に誘われて一杯やるのが仕事の一部だと思っていたが、それは「仕事」ではなく「仕事のふり」である。

 コロナ情況について、いろんな業界の人にインタビューしたいと思い、すぐに開始した。これまでは、誰かとアポをとるには、メールして候補をいくつかもらい、確定して、どこかで会う、というのが基本であった。これでもメールが普及したことによって、だいぶ、楽になった。90年半ばぐらいまでは、パソコン通信やってる人以外は、メールアドレスがなくて、電話で連絡しなければならないが、携帯も普及していなかったので、つかまえるのに一苦労。そこから調整するのだが、だいたい数週間以上先の予定になる。もっと古い世代だと、手紙でインタビューを申し込まなければならないので、やりとりだけで数ヶ月かかることもある。

 それが自粛期間なので、だいたい家にいるので、すぐに連絡がつく。先日も、図書館業界の現状を聞きたくて、図書館サービス計画研究所(略称トサケン)の仁上 幸治さんに連絡をとろうと思ったら、早朝の4時くらいにFacebookに書き込みしてたので起きてるな、と思いメッセンジャーで連絡を送り、昼間の時間で1時間くらいあいてる時間をもらい、Zoomでインタビューした。夜には編集して、You Tubeにアップできた。

AfCoro-journal vol.001 仁上幸治(図書館サービス計画研究所)図書館の現状を聞く(1) 聞き手・橘川幸夫

翌日は、ペーパーメディア研究所の青山一郎くんに、新聞販売店の現状を聞いた。これも即決。この調子で先週は、5人くらいにZoomインタビューを行って、You Tubeにアップしている。何度か繰り返してやって、テキストに起こして、出版しようと思う。You Tubeの登録お願いします。

AfCoro-journal vol.002 青山一郎(ペーパーメディア研究所/サーファー)新聞販売店の現状を聞く(1) 聞き手・橘川幸夫


 自粛期間は、これまで自分たちが当たり前のようにやっていて「無駄な時間」を意識させた。8時間労働だけをきちっとやれば、どれだけ生産効率が高まるのか。新しい時代は、人々の「時間に対する意識」の変革が最初のテーマになるだろう。

 ターミナル駅は、以前と同じようにラッシュの様相のようだ。でも住宅地を歩いていると、自転車でいかにも通勤という人もみかけて、やはり満員電車は怖いよね。すし詰めの電車に耐えることが仕事の一貫だと思っていたが、どうやら、それは勘違いであったのだろう。

 現場でしか出来ない仕事もたくさんあるが、現場に行く必要のない業務は、今後の社会においては、実働だけの労働に向かうべきであろう。



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