アイドルとテロル●情報小料理屋「ソースは、オレだ!」2016/05/22
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アイドルとテロル●情報小料理屋「ソースは、オレだ!」2016/05/22

女性アイドル刺され重体 ファンとみられる男逮捕

 地下アイドル冨田真由(20歳)さんが、ファンの岩埼友宏容疑者(27歳)に刺されるという事件が起きた。今朝のTBSのテレビでは、さかんに「元アイドル」と言っていたが、確かに、彼女は、「仮面ライダーフォーゼ」の第一話に出演したりと、テレビ局からすれば、もう用済みの「元アイドル」かもしれないが、大学三年生の20歳は、いつかアイドルになりたい夢を持ちながら活動していた地下アイドルだと思う。

 容疑者が、アイドルのファンになり、時計や本のプレゼントをしたが、粘着にいやになった冨田さんが、送り返したところ、逆上したようだ。アイドルや地下アイドルの子は、ファンからいろんな贈り物をもらうが、こんなことが起こると、受けとりたくなくなるのではないか。その時にはニコニコしてファン面しているが、どこかで逆のエネルギーを発散するかもしれないと。

「ストーカー」という言葉が語られ始めたのは、1990年代からだと思うが、1980年代になって、そういう現象が起きるようになってきた。それまでも、暴力で女性を脅かす輩はいたけど、もうすこし単純な図式だったと思う。僕なりの理解だと、ストーカーは、相手の女性となんらかしらの関係性があって、その関係性が崩れると、情報システムを駆使して情報を集め、粘着的にいやがらせをするというパターンである。別れ話は、女の方は思い切りがよいが、男は未練がましいというが、未練が募ってストーカーになるのだろうか。

 ネットの関係や、アイドルとファンの関係も、擬似恋愛的なところがある。ただし、ファンにとってアイドルは個人であるが、アイドルにとってファンは「みんな」である。しかし、一方的にでも信頼していたものが裏切られると、男のプライドが潜在的な暴力衝動に着火するのだろう。男に内在する暴力衝動は、50年程度の草食化で、本質までが変化するとは思えない。

 ストーカーが言われはじめたのは、社会的に男の力が弱まって、女の時代だと言われるようになってからだ。男は戦争とか、戦後の社会建設とか、社会に共通の目的があると、能力を発揮する。しかし、社会が豊かになり、それまでの社会建設の目的が失われたところから、男が男として役割と目的を見失ってきたのだと思う。

 戦後、強くなったのは女とストッキングだ、という言葉があるが、女が強くなったというよりも、男が目的を失い弱くなっていったのだと思う。女は、もともと社会的目的なんかなくても、生活が目的であり手段であるのだろう。

 そうした中で、男女の関係も変質してきた。男と女の関係は、相互の信頼により、第三者的なるもの、具体的には子ども、抽象的には信頼関係を、育むものだと思う。しかし、80年代以降に急速に進展した情報化社会は、リアルな世界での男女関係も、情報世界の上での関係に移しかえていった。ネットアイドルや、地下アイドルのように、キャラクターとしてのアイドルに対して、相互関係ではなく、一方通行的な恋愛感情を持つようになった。その結果、刺されたアイドルの子は、なんのことかわからないまま、刺した男は、大昔のままに「裏切られた」という感情から痴情のもつれのような刃傷沙汰になってしまったのではないか。

 マンガやアニメなど二次元キャラに対する愛情とは違い、地下アイドルは、いわば2.5次元の愛情対象である。昔、僕の先輩が教えてくれたが「何かを愛するということは、気が狂うことだから、平常の説教なんかきかないよ」と。自分の中の思いをコントロールできなくなったモンスターファンは、膨大にいるような気がする。

 この問題は、簡単には書ききれない。現実に起きた問題を語る時に、事実だけを見て語るべき時もあるだろうが、もうすこし大きな時代の流れ、社会地殻の変動、コミュニティの変容などの視点を点検した上で語らなければならない場合もあろう。じっくりと考えていきたい。

 コンセプト・バンクで、戦後犯罪の変化を考えるチームを作りたいと思う。

 社会は、さまざまな局面での課題を抱えながら、ぐるぐると回転しながら進んでいく。

 冨田真由さんの回復を祈ります。

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橘川幸夫

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