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池上彰さんについて、どう思いますか。

●質問

以下のブログが話題ですが、池上彰さんについて、どう思いますか。

池上彰氏の凄さと限界

●橘川

ちょっと古いですが、僕の池上さんについての論考は、こちらにあります。

「まとめサイト」としての池上さん(日経ビジネスオンライン 2012年7月19日(木)

池上さんは「まとめサイト」であるということ。それは決して否定的な意味ではなく、情報公開社会における、新しい役割だと思っています。

ジャーナリストが独自の取材で真実を明らかにするというようなことは、情報化社会以前の話しで、その頃のジャーナリストが調べた情報の大半は、今、ネット上にあります。CIAの仕事はスパイになって秘密文書を手にいれることではなく、各国の政府や民間が公開している情報を分析することが仕事だとは、だいぶ前から言われてきた。007ばりのジャーナリストは、あまりいないと思います。

ではなぜ、スクープというのがあるかというと、これはチクる奴がいるからです。ジャーナリストが自分から探しだしたネタなんて、普通、ありえない。情報というのは、必ず発信者がいて、その人の思惑に、記者が同調するのです。

僕がこのことを強く感じたのは、立花隆の田中角栄研究。立花さんはアンカーマンであって、データマンが集めたデータを文章にまとめる役割です。そのデータを集める段階で、何かの意志が入っていたと思うのが普通です。その研究をはじめるという動機自体に、立花さん以外の意志が入っていると思います。だいたいアンカーマンというのは、集められた情報で原稿を書くしかないのだ。直接、現場を取材しているわけではないので。

現在は、個人や法人が、各自の判断で情報を公開し、それをシェアする社会です。ジャーナリストが個人や法人を取材しても、現在、公開されている以上の情報は、そんなに入手出来ないでしょう。その周辺の、密告やうわさ話ぐらいしか集められない。そういう参加型情報蓄積社会なのです。

池上彰さんのやっていることは、こういう参加型情報蓄積社会の「まとめサイト」です。つまり、すべての人がデータマンになった時代の、情報アンカーマンなのだと思います。だから、テレビのキャスターが似合う。キャスターは、独自に取材はしません。スタッフが集めた情報を、会議で整理して、それを説明する役割です。

文春砲という言葉がありますが、田中角栄研究以来、文春には、いろんな思惑からのタレコミが多いのだと思います。メディアを使ったライバル潰しや鬱憤ばらしに利用されているわけだが、それで部数が伸びれば問題ないという大人の判断でしょう。紙の爆弾というやつですね。

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