見出し画像

Theピーズの30周年記念の武道館


 2017年6月9日は、1978年に僕が「ポンプ」を創刊した時に、アルバイトとして参加してくれて以來の付き合いである、スタジオハードの高橋信之の還暦+出版祝だったが、あいにく、ライブのチケットを買っていたので、終わってから行こうと思ったが、バテて行けなかった。それでなんのライブかというと、Theピーズの30周年記念の武道館ライブ。もっとも武道館が似合わないバンド(笑)。最初で最後の武道館。

 しかし、武道館だけど、昔のままの、はるくんとアビさん。古い友人に会ったら、相変わらずバカで、ほっとした感じ。90年ぐらいに、家でMTVで「いいこになんかなるなよ」を聞いて「なんだこのバンドは!」と叫んだら、娘が「マスカキザル」のCDを貸してくれた。そこからしばらくライブをみまくった。新宿時代のリキッドルームには何度も行ったし、川崎のチッタ、浅草の常盤座終了のライブにも行った。ウガンダのドラムの時代。音が鳴ると最前線に駆け込み踊りまくった。ある時、知らない女の子から声かけられ「いつも踊ってる人ですよね」と言われた(笑)

 僕の周辺の若い連中にはファンがいたが、世の中的には、一度もブレイクしたことがない(笑)。売れないまま、バンドは解散。はるは調理師免許をとって飲食店に、あぎさんは工事現場という噂だった。なんだか物悲しいが、ある意味、ピーズらしい。いつの間にか復活して、ロッキングオンの夏フェスに出るというので、見にいったこともある。ここでも、相変わらずのはるで安心した。

 はるは1965年生まれで、60年生まれの世代に、僕はやけに思い入れがある。僕は1950年生まれのじいさんだが、30歳になるまで、ずっと、兄貴の世代の人たちの背中を追いかけ、親父の世代の人たちの本を読んでいた。しかし、30歳になった時、はじめて、自分の背中を見ている人のいる気配を感じたのだ。それが1960年代生まれの人たちだった。それ以來、上の世代よりも、下の世代の方に関心を持つことが増えた。

 Theピーズ以後にもいろいろなバンドを聞いたりしていたが、Theピーズのように信じられたバンドは、0.8秒と衝撃。だけだった。そのハチゲキも解散を発表した。同じように能力と人柄に素晴らしいものがありながら、世の中的にはブレイクしなかった。でも彼らの活動と生き方は、時代と社会の中に、飛沫のように飛び散ったはずである。

 2017年のTheピーズ武道館では、僕は、踊りまくるどころから、立ち続けることも出来なかった。30年という時間の流れは残酷である。「シニタイヤツハシネ」を観客と一緒に歌った。尾崎豊を揶揄したものだと言われたこともあるが、そういう詩ではないだろう。

ここから先は

308字 / 1画像

¥ 100

橘川幸夫の無料・毎日配信メルマガやってます。https://note.com/metakit/n/n2678a57161c4