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平昌オリンピック・私論

 平昌オリンピックは歴史に残る政治大会になってしまった。文在寅大統領は本気で、対話による南北統一が出来ると思っているのだろう。東西ドイツの壁が崩れたように、南北統一が出来たら、それはノーベル賞ものだ。しかし、ドイツの場合は、ソ連の崩壊によって東ドイツを支える力が弱まったことによって出来たことであって、独自に核開発を進めていて、北が、こぶしを握り締めている状況とはまるで違う。

 一番、不安になっているのは、南側の企業経営者だろう。中途半端な融和政策が進めば、アメリカや日本と組んで世界でビジネスしている構造が崩れてしまう。

 南北融和とは、統一国家の成立だが、最大の問題は、金一族の処遇である。一歩間違えれば、金一族が朝鮮半島全体の支配者になって、半島全体が、新たな核保有国になる。

 しかし、金一族の処遇を納得させることが出来れば、南は、北の未開発な国土と資源と労働力を得ることになる。これは、世界の企業にとっても、想像を絶するビジネスチャンスでもある。日本も第二の朝鮮特需を受けることになるだろう。

 とりあえずベルリンの壁がなくなり、ドイツの南北統一がうまくいったのは、東側には軽工業の産業の広がりがあり、職人たちがたくさんいて、それが西側の資本と組んで、成長路線を進めた。東側は物価や家賃も安く、西側の労働者の移住も進んだようだ。しかし、北側には、そうした産業や社会インフラの厚みはないだろう。

 韓国人にとって、南北統一問題は、日本人には分からないほどの情熱がある。20数年前、国境線の南側に、印刷工場やCDプレス工場どの工業団地を作っていて、その辺の情勢に詳しい友人に聞いたところ、あれは、南北統一になった時に、北から流れ来る流民のために仕事が出来る工場を作っているのだ。その工場を稼働させるために、韓国は、出版や映像・音楽などのコンテンツを活性化させなければならず、国家政策で、世界マーケットに通じるエンターティメントビジネスの人材育成をしている、と聞いた。それが、Kポップや、マンファと呼ばれるマンガ産業である。

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