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仙酔島紀行・橘川幸夫

 2022年8月21日、広島県、仙酔島に仲間たちが集合。深呼吸学部の塾生を中心にその家族や友人たちが総勢27名。なかなかの大所帯である。深呼吸学部は、2020年の夏、コロナ状況の中でスタートし、大半は、そこで出会い、関係してきた人たち。P2Pの関係も出来ているし、コミュニティとしての関係も成立している。

 宿について、みんなの笑顔や会話を聞いていると、「ああ、昔の会社の社員旅行や町内会の旅行は、こんな感じだったのだろうな」と思ってしまった。敗戦の焦土から復興を目指す「会社」や「地域」は、それなりの共通の目的があり連帯感があったのだろう。だから、年に1度か2度の旅行は、そうした関係性の上の非日常だから楽しいにきまっている。

 しかし、高度成長を果たし、会社が企業になり、単なる利益獲得の手段になったときから、社員の共通テーマは失われ、社会が安定すればするほど、地域の住人たちの連帯感も失われた。私たちは、その喪失感の果でコロナパンデミックの衝撃を受け、深呼吸学部に集まってきた。

 この集まりは、新興宗教のような既成の経典の二次創作による目眩ましではなく、新しい共通のテーマと目的を一人ひとりがそれぞれに探る動きだと思っている。さて、非日常の旅から帰って、再びとらえどころのない日常に戻った。旅の中で確かめたものを大事にしながら、日常を進む。旅というものは、タイミングと同行者が大切だと、あらためて確認した。


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