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書評・明治商売往来 ISBN-13 : 978-4480088055

 先日、神保町のランチョンで菊地くんたちとランチをする前に、古本屋を覗いてみた。神田の古本屋街は古本を探しに高校生の頃からよく行った。生まれ故郷の四谷から都電11番で市ヶ谷抜けて神保町はすぐだった。高校生の時に天ぷら屋の「いもや」が出来た。中学・高校生の頃は、「人生劇場」「あいうえお」といったパチンコ屋にもよく行った。すずらん通りにあった「ポニー」もよく玉の出る店で有名だった。昔の東京の下町家族は、パチンコや、花札などのギャンブルが好きだった。家で、よく親戚が集まって花札大会をやっていた。

 それで、よく行く何軒かの古本屋に行き、「明治商売往来」(仲田定之助・青蛙房)を買った。1000円。昭和44年の本だが、明治時代のさまざまな商売について書かれている。聞いたこともないような商店が並んでいる。最初に「勧工場」というのがあって、これは「勧業博覧会」(政府が行った見本市みたいなものか)の出店や、売り残りの商品を販売する店が、ショッピングモールのように並んでいたらしい。百貨店が勢いをつけるまで、この草の根的なモールが東京の各地にあったらしい。

 知らなかった。それで「勧工場」という言葉を検索するといろいろ出てくる。

「勧工場」

 インターネットにはある情報でも、その言葉を知らなかったら検索のしようがないし、探しあてることも出来ない。本というのは「森を見る力」であり、全体を俯瞰して眺めることが出来、その中の単語的情報は、インターネットにあるということだろう。全体と個別の両方を扱えないと、これからはダメなのだろう。

 本書に「わんぷらいすしょっぷ」というのが明治の時代に、日本橋にあったと書いてある。20銭、30銭、50銭、1円と定価によって商品を一か所にまとめてある。更に看板には「まけぬといふたらほんまにまけぬ」と書いてあったと。100均の元祖みたいなものか。

 時代とは、その時に栄えた商売を見ていくと、どういう時代だったかが分かる。今は多様化といいながら、意外に商売の種類は少なくなっているような気がする。

明治商売往来

明治商売往来 (ちくま学芸文庫)

 ●こういう本の読書会をやりたい。誰もが読んでる本ではないものでね。

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