アフコロ総研・飲食はどうなるのか。

席効率落とさず「三密回避」へ――既存のテーブルに設置できる「ソーシャルウォール」を販売開始へ【スパイスワークスホールディングス】

自粛要請が解除されて、人々が街に出るようになっても、一度、支配されたコロナへの恐怖心は簡単には拭えないだろう。実際、これまでのパンデミックの経験からしても、秋にはより強力な毒素を持った第二波が訪れるだろうし、これかに何年もの戦いになる。

最大の被害を受けるのは、これまでの豊かな社会を満喫していた「付加価値サービス」の業態である。飲食、エンタメ、旅行、イベント、スポーツなどの、人間が豊かな生活を獲得したがゆえに発展した、コト消費の部分である。

不要不急の切羽詰まった必要性ではなく、人間がより人間らしく生きるための領域であるが故に、人類の生存そのものが危機になった場合、そういう楽しみを満喫出来るだけの心の余裕がなくなるだろう。

特に、飲食店のダメージは大きいだろう。狭い店内にぎっしりと人がつめこまれて飲食する繁盛店は、逆に避けられるだろう。「三密回避」のソーシャル・ウォールは、「味集中カウンター」の一蘭を思い浮かべるが、実際の効果はともかく、これだけでは飲食店が元の繁盛店に復活出来るか疑問である。

来客同士の密着感もそうだが、顔の見えない料理人が作った料理を食べるという外食の基本構造が不安になる。また、紙幣やコインの取り扱いをしているような店だと、そういう処理をしたあとで持ってくるコップにも触りたくない。ケータリングも持ち帰りも弁当も、他者との直接・間接の接触を拒絶される力が見えないウイルスにはある。

かくして、全人類引きこもり生活の中で、数日放置した食材を使って自炊することが、これからの食産業の大きなテーマになるだろう。家庭自炊へのオンラインサポートは、可能性が高いだろう。(橘川幸夫)

橘川幸夫の無料・毎日配信メルマガやってます。https://note.com/metakit/n/n2678a57161c4