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追悼・平井和正さん

 平井和正さんがお亡くなりになった。面識はなかったけど、子どもの頃に「8マン」を見て育った僕には、懐かしい思い出を残してくれた作家である。8マンは、サイボーグやウェラブルコンピュータが身近になった現代社会を予感させるものであった。またウルフガイのシリーズや幻魔大戦など、人間の本性に潜む魔や天使と向かい合うことを教えてくれた。
 60年代から70年代前後にかけての少年マガジンの黄金時代を作った、故・内田勝さんから平井さんの話を聞いたことがある。70年代の半ば、当時はまだ女子大生だった高橋佳子(GLA)さんと平井さんと内田さんの3人で夜を徹して話し合ったことがあった。話しているうちに、早朝になると内田さんはさすがに疲れてきて眠くなってきたが、高橋さんは、疲れとは全く逆に輝きだしたという。その光によって、平井さんは大きな変化を遂げ、それまでの単なる争いのドラマではなく、魂の救済を大きなテーマにしたという。
 幻魔大戦のアニメ化に際しては、僕のメンターである真崎・守さんが脚本に参加したこともあり、すぐに観に行った。時代の記憶を残しながら、また一人また一人と実在の世界から消えていく。ご冥福をお祈りいたします。

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