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「イラストレーターの仕事は50歳をすぎると極端に仕事が減る」フリーランスの定年について。(追伸しました)

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標題=フリーランスの老後生活

掲載媒体=NEWS論/日本テレネット

執筆日=2015年11月

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フリーランスの老後生活

 人の一生には限りがあり、どのようなお金持ちでも英雄でも、やがて訪れる死から逃れることは出来ません。一説によると、縄文時代の平均寿命は30歳ぐらい、江戸時代で45歳と言われていて、現代日本では80歳を超えています。これを称して日本が長寿社会になったということです。しかし、昔は、医療や食糧事情から、赤ちゃんや幼少期に亡くなる子が多かったので、平均寿命は下がります。江戸時代でも、葛飾北斎は90歳まで活躍してましたし、杉田玄白は75歳まで医者を続けていました。年寄りがいなかったわけではありません。ただ、現代ほど長寿の老人が増加した時代はかつてなかったでしょう。その中には、医療システムの進歩で、生命だけを保たれている老人も少なくありませんが。

 現代社会では、人の生き方は大きく2つあります。組織に入って生きる方法と、組織に入らないで生きる方法です。組織に入るというのは、企業や行政などに入社して生きることです。組織に入らないのは、フリーランスや自営業になります。ベンチャー企業を起こすのも、組織に入るというより、組織を作る側になるということで、フリーランスの亜種になるでしょう。

 組織人の場合は定年制度というのがあります。一般的には60歳で一度、組織から離れます。戦後社会は組織化の時代でもあったので、大半の人は、企業に入社して、定年を迎えます。定年になった人は、それまで学校も会社も、組織の中で生きることが染み付いていますので、組織から離れて、自分で生活や行動をコントロールするということに戸惑っている人も多く見受けられます。

 その点、フリーランスは、最初から組織をあてにしていませんから、老人になっても同じのように見えます。ところが、そういう人は、超有名人などのほんの一握りの人たちです。大半のフリーランスは、年寄りになると、社会から排除されます。

「イラストレーターの仕事は50歳をすぎると極端に仕事が減る」と言われてきました。僕の友人のイラストレーターも、50歳になってから仕事が減ってきました。画家に近い評価の高い人以外のイラストレーターというのは、だいたい、出版社や広告代理店などに依頼されて仕事をしています。若い時は、発注者担当の編集者などが、自分より年上で、その人たちに気に入られたり、可愛がってもらって、仕事をもらい、技術を高めていきます。それが40代をすぎるあたりから、編集者が自分より年齢の下の人が増えてきます。編集者にとっては、自分と同じ年令か下の方が、無理な要求出来るし、仕事を発注しやすいものです。まして、長く、業界で仕事をしていると、かつての担当編集者がその組織で出世したりして、現場の編集者にとって、自分の上司と懇意である外部のイラストレーターは、ますます使いにくくなります。

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