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舛添都知事がセコイから辞めろって? 情報小料理屋 2016/06/09

「実はみんなマスゾエしてます!」政治家秘書が告発。あなたの血税は先生の「お小遣い」になっている(現代ビジネス)

 舛添要一東京都知事の税金流用問題は、甘利明氏の贈収賄疑惑のように捜査が入るか入らかないという問題ではなく、せこいちょろまかしの人間性が問われているのだが、人間性の攻撃で選挙の結果をくつがえすのは、どうなのかなと思う。犯罪として逮捕案件になるのなら別だが、セコイから辞めろというのも、よく分からない。政治家の立場が、いわゆる「風」で決まってしまうのは、その「風」を作るマスコミ権力が強くなるだけだ。マスコミ側からすれば、「風」次第で、どうにもなりますよ、というプレッシャーを政治家にかけているのかも知れないが。

 全国のオンブズマンは、首長さんや議員の政治資金収支報告書を精査しているのだろうが、そのことの必要性は感じながらも、それだけでは、永久に解決出来ない問題があると思う。

 政治家は、とにかく金がかかるようで、本業の実業がある人は別として、政治家だけでやってる人は、だいたい資金繰りに苦労しているという。それは、政治家が政策実現の仕事だけをしていれば問題ないのだろうが、政治家として選挙に当選するためには、いくつもの事務所を運営しなければいけないだろうし、スタッフも数多く必要になる。選挙民との付き合いが大変なのだろう。

 政治家は個人事業主であり、中小企業の親父である。政党があるにしても、それはひとつの大企業ではなく、中小企業の社長会みたいなもので、サラリーマンとは違う。やりくりは自分でしなければならない。サラリーマンであれば、変な経費を使って会社に精算を求めたら、突き返されるのがオチだが、自営業であれば、なるべく経費で落とそうとする。大会社も昔は「社用族」と言って、会社の経費で、プライベートな飲食やゴルフ経費に使っていたが、今は、コスト削減で認められていない。

 ちなみに、日経新聞社は、昔から記者の取材経費がなかったようで、喫茶店で取材を受けても、記者が支払ってくれても領収書をとらなかった。電通も数年前に、営業マンの飲食経費が認められなくなった。政治家だけが、昔ながらの公私混同の社用族の感覚なのではないか。

 組合や市民運動からあがってきた野党の政治家は、もっと貧乏で、かつての政治家には、国から支給される議員秘書の給与を、幽霊秘書に5万円だけ渡して、あとは政治家が使うというノウハウがあった。それを先輩から教えられた辻元清美氏は、その通りにやって、逮捕され有罪になった。

辻元清美秘書給与流用事件

 菅直人氏が首相になった時、新聞の動向日記で、毎日、ミシュラン級の飲食店に出入りしていて、なんだか、考えるべきことが違うのではないかと思った。ずっと貧乏政治家だった菅氏が、政党助成金の大きな民主党になって、自由に党の資金を使えるようになって、舞い上がってるというニュースも流れてきた。区議や都議レベルでは舛添都知事を攻撃する声が大きいが、国家議員などで、本気で攻撃している人は少ないように見える。誰もが、スネに傷があるからではないだろうか。

 政党として国政を運営する信頼を失っている旧民主党が、政党を解散してやり直さないのは、政党助成金があるからだろう。政治家は、生きていくための基本的な資金が不足しているのだと思う。

 自民党からすれば、舛添都知事のちょろまかしを本気で攻撃するつもりはないだろうが、このまま、マスコミの攻撃が続けば、参議院選挙に大きな影響を与えるだろうから、早めに退陣させたいと動くだろう。

 政治家が政治だけをやれるような環境が出来ない限り、こういう問題は繰り返して起きる。それは政党助成金の増額とかいう問題ではない。お金のかかる選挙制度、お金が必要な有権者対応などが原因なのだと思う。

 かつて、故・青島幸男は、テレビで顔を売っていたので、選挙活動は一切しないで、選挙期間中は海外旅行に行って、それでも当選した。それを当時の佐藤栄作首相に話して、今のNHKの政見放送がはじまったと言われている。そこからあまり進歩していない。舛添さんも、同じようなタレント議員なので、普通の政治家よりはお金がかかっていないだろう。

 もともと、地元の会合に出席したり、冠婚葬祭の付き合いなどの、ドブ板政治活動が、日本の政治家の姿だった。もう、ドブ板はなくなったのだから、新しい、コストのかからない、選挙活動を開発する必要があるだろう。あと、10年、インターネットを使えない世代が権力の現場からいなくなると、何か、大きな変化が起きるようになると思う。

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