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記憶する葦(追悼文)

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2019年11月の記事一覧

追悼・松田勇治

 今年、網膜中心静脈閉塞症で右目を失った。真っ暗闇ではないが、ぼやけて視線が定まらない。左目だけで世界を見ているので、疲れる。こうやって、ぼろぼろの中古車は、ひとつずつバンパーが外れ、タイヤが傷つき、それでも人は走り続ける宿命にある。  今年6月に、恩人である子ども調査研究所の高山英男さんと近藤純夫さんの二人を失った。僕が社会に出てからの、社会的な父親であり、兄貴であった二人だ。そして、11月、僕の社会的な弟である松田勇治を失った。何かとても寂寞感が半端ない。55歳、何、急