「ツーキニスト」 Statistics2008 @ Tokyo Minto
欧米諸都市で広がる自転車政策。こうしたなか、自転車専用道、シェアサイクルといった新しいキーワードが、都市の公共空間に変化をもたらしている。 東京でも、都心回帰の推進、健康志向の高まり、自転車の趣味・スポーツ化などを背景に、いわゆるツーキニスト=自転車通勤者が目立つようになってきた。このツーキニストの増加傾向は、東京都港区のパーソントリップ(人の移動)からも読み取れる。
ツーキニストはどこからやってくるのか?
港区のオフィスに勤務するツーキニストの統計をみると、港区周辺の7区(千代田区、中央区、新宿区、江東区、品川区、目黒区、渋谷区)に住むワーカーが多い。これに港区に住むワーカーを加えると、概ねのツーキニスト数が把握できる。
ここ10年でツーキニストが2倍以上も増加!
前述の通り、ツーキニストの増加は、都心回帰による人口増加も要因となっていると想像できることから、港区人口、都心8区の人口と、ツーキニスト(自転車通勤者)の推移を並べた。
なお、戦後以降、首都圏への人口の大量流入による住宅数の不足などから郊外化が進み、都心部の人口が減少した。東京23区の人口は、平成7年頃が落ち込みのピークとなったが、現在では都心居住政策の推進により、都心居住者が増加し、都心回帰が進んでいる。
人口が落ち込んでいた平成10年と平成20年を比較すると、港区の人口は約4万人、周辺8区の人口は約150万人程度増加している。また、港区に通勤するツーキニスト数は、約6,000人から約13,000人へと増加している。
これを昭和63年を"1"として指数化してみると、ツーキニスト数は、昭和63年からここ20年で3.4倍増加していることが分かる。また、ここ10年で比較しても約2倍以上のツーキニストが増加していることが分かる。
また、人口の増加率は、港区、周辺8区でほとんど変わっていないことから、単純に人口増加によるツーキニスト増加は結びついていない。この結果は、通勤に対する考え方や、ライフスタイルが変化していることにより、ツーキニストが増加していることを示している。
こうしたライフスタイルの変化を都市空間にどう受け容れるか。また、どのような都市空間を提供できるか、そしてそれをどう実現するのかが求められている。
(各図、グラフ著者作成)
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