それは、果たして長所か。

俺の場合、ツイッターの通知欄はほぼリツイートといいねを知らせてくれるものだから、リプライや引用リツイートの通知はよく目立つ。ゆえに必ずといっていいほど読む。

以前、HONEYS(俺のファン)からこんなリプライが来た。

俺さんの長所は何ですか?

いかにも俺らしい回答ができそうだと直感的に思ったのでしばし考えたが、まったく浮かんでこない。小一時間ほど考えても、いっこうに出てこない。

すると俺の思考は「俺の長所が何か」ではなく「なぜこんな答えやすそうな質問に答えられないのか」へ向かっていくことになる。

結論から言うと、答えが見つからない最大の理由は、君について何も知らないことにあった。

深読みをすると、「俺さんの長所は何ですか?」とはつまり「ぼく(わたし)にとっての、俺さんの長所は何ですか?」ということになる。よって俺の回答には、質問者にとっての「すごい」がなければ成立しない。

仮に俺が「毎日自炊するくらい料理ができる」と答えたとして、彼(彼女)の職業がシェフだったらどういう反応だろうか。
仮に俺が「野球にすごく詳しい」と答えたとして、彼(彼女)の趣味がサッカー観戦だったらどういう反応だろうか。

ともすると、自分が長所だと思い込んでいたことが何らフツーのこととして映る。あるいは的外れとすら思われるかもしれないなんて、考えただけで恐ろしい。

長所かどうかを決めるのは、いつだって他者だからだ。

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これは決して、誰かの就職活動や恋路の成功を約束することではないけれど。

「自己アピールをお願いします」は「君は他の企業ではなく、あくまでも弊社にとって具体的にどんなメリットをもたらしてくれるの?」だし、「土曜日どこ行こうか?」は「この人は自分だけのためにどんなふうに楽しませてくれるんだろう?」だ。

そのとき、いくら自分のことを考えていても、正解は導きづらい。相手をよく知って、相手がグっとくる答えを出さないと、そのコミュニケーションは十中八九、破綻していく。

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あぁ、ひとつ言い忘れていた。


俺の長所は、100万人を同時に愛せることだよ。
(ほら。私だけ愛してほしい、という声が聞こえてきた)