2023がはじまるよ Part1

 祖母の家での無限湧きハウスダストに潔く白旗を上げる体力さえも吸い取られてしまった僕でも、大晦日のドヴォルザークに介抱されながらなんとか年を越すことができた。苦しい年末年始だった。オリンピックみたいなスパンで年を越したい。みんなから応援されたい。

 アレルギー性鼻炎とは恐ろしいもので、鼻から喉の炎症を起こし、熱が出ることもある。その苦しさに屈することなく皆と同じように不足なく税金を納めているのだから立派である。

 大学一年生だが一年浪人しているので成人式に参加できる権利を得ていた。一昔前のつまんない僕なら理由もない逆張りで蹴っていたのかもしれない。中途半端な逆張り野郎は総じて一掃されるべきだ。やるなら徹底的にやった方がいい。乗るなら早くしろ。でなければ帰れ。父親が名前を言ってはいけないあの病に罹ってしまったので参加できるか危うかったが、僕自身は検査で「元気な男の子」と判定が出て、日にちもギリギリ大丈夫だったのでなんとか間に合った。間に合わなかったらミラーレスカメラでも買ってもらおうと思っていたがその必要はなくなったのでバイトを頑張ることにはなるだろうが。

 成人式会場ではおみくじが配布された。小吉だった。僕はおみくじのアンチをやっていたことがあるので、ぽっと出の大吉よりは現実的で信頼できると評価した。ラッキーアイテムはミステリー小説。読めばいいのか書けばいいのか分からないが一応どっちもやっておこう。ラッキーアイテム自体に効力があるとは思えないが、律儀に従うことによって新しい発見や生活を豊かにしてくれる何かを得ることができるのならば、それが幸福というものなのかもしれない。あら素敵。二十歳になるとこんな考え方もできる。

 いつもぼそぼそ話している人が突然大きな声を出すと面白い。この理論に基づき、お笑い好きの友人に遭遇するや否や大声で漫才師キュウのフレーズ「いいでしょう(人差し指を上に向けて構える)!」を放った。周りはドン引きしていた。なんか昔からこういうことばかりして、周りからの評価を落とし続けているのだと思うと何も成長していなくて恥ずかしくなった。これについてはキュウを知らない人たちも悪いという言い分もあるが最早悪あがきである。そしてキュウはめっちゃええ漫才師さんなのでぜひ漫才を見てほしい。

 成人式は終わったけどチャンネルはそのままにして、数時間の自由行動を経てワクワク同窓会タイムに移った。この数時間がなかなかの曲者で、時間管理がなってない素人はここで脱落しがちなのだが、僕は数分ほど考えた後に、岡山駅前のビックカメラに足を運んだ。目的はレゴブロックの新作だ。流石の大都会岡山。収穫はゼロだった。きっとラインナップのせいではなく、僕が完全に老害になっているだけだ。まだ何も知らない、天井が見えなかったあの頃に戻りたい。天井に近づくのは悪いことではないはずなのだが、近付くにつれ湧いて出る、歓迎できない感情がある。ゲームを全てクリアしてしまったときの言いようのないあの感じだ。

 一つの記事にするには長くなってしまったので二つに分断する。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の2と3がもともと一つの映画だったのと大体同じ感じと思ってもらえたら。

 Part2へ続く。

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