どんなときもwifiの通信障害を通信事業者目線で解説 ーー今の現状と4月1日に復活する理由

ーーーーー4月1日追記ーーーーー

まさかの予想に反して,どんなときもwifiが復活しませんでした.巷では阿鼻叫喚が続いています.どうして・・・・・

そしてこんな記事を書いてすみませんでした.

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みなさんこんにちは.ゆうすけと言います.お仕事は通信に関わることをしています.今日はストロングゼロが美味しいので,通信障害の起きているどんなときもwifiが置かれている状況とかについて解説します.(ただし,私は中の人ではないので外部から見た推測が含まれています.)

結論から言うと,通信障害が発生しているどんなときもwifiは4月1日に回復します.理由は単純で一枚あたりのSIMの毎月のデータ容量が復活するからです.

「どんなときも」と言っていますが,どんなときでもじゃないじゃんと言うご指摘をいただくかもしれないですが,当たり前ですが「どんなときでも,どんな通信量でもお手頃価格で」使える通信契約なんてありません.

しかし,実際にはどれだけ毎月通信しても制限されない「ように見える」通信契約がありました.ご存知ですよね.どんなときでもwifiです.このカラクリは従来的な通信業界にいる人々にとって特殊な事情であり信じがたい状況です.

では実際,どんなときもwifiはどう言うことをしていたかと推測しますと,

1. glocalme のwifiルーターを仕入れる

2. ソフトバンクの大容量の物理SIMを仕入れる

3.  2.の物理SIMカードをglocalmeの設備に輸送しSIMバンク(SIMプールとも呼ばれる)に差し込む

4.SIMバンクに刺さっているSIMをユーザーの使うglocalme のwifiルーターにコピーして通信を行う.(説明上コピーと言っていますが,流石にSIM1枚に対してwifiルーター一台だと思います.意味合いとしては実際のSIMはwifiルーターとは異なる場所で集中して管理されていて,利用するときは通信する場所と異なっていると言うことです.)

別に複雑なことはしてないのですが,これで「無制限」として見せかけるには条件があります.それは2の大容量の物理SIMカードの存在です.

通信プランに詳しい方はソフトバンク再販SIMと言われてピンとくる人がいるかとは思います.もちろん大容量といっても無制限ではなく上限があります,噂レベルでしかないのですが,100GB~600GB/月で4000円程度/月が相場と言われています.この世の中にはそんな信じがたい値段のSIMが存在しているようです.どんな用途で販売されているのかわかりませんが,とにかく通信容量(byte)ベースの契約プランが存在しているようです.(これが後述しますが,上記の推測を至る上での重要な存在になります.)

これを運用すれば,少ない人数であれば実質無制限として見えるので見栄えは良いですし,人数が増えてくればSIMを追加すれば良いだけですのでビジネスが回っていきます.特に問題が発生しなければ.


ここで,小さな問題と大きな問題が発生したようです.

小さな問題はソフトバンクからのSIMの供給停止で

大きな問題はコロナショックです.

これは2020年3月20日のリリース通りの話です.


小さな問題に関しては詳しくはわかりませんが,安い値段で大量に通信する事業者がいたらどうでしょう.普通は取引したくないですよね.という話だと思います.(そもそも論が,そんなSIMを提供するなよという話ですが・・・・)

この小さな問題は簡単な解決方法があります.ソフトバンクと良好な関係を築いている他の卸業者から仕入れることです.他の卸業者の分の値段が含まれているため利益は減りますが,自転車操業できなくなるほど問題にはなりません.

さて,小さな問題は解決しました.確保したSIMをSIMバンクに送りましょう.SIMバンクは香港に主にあります.(下記URLを参考)

この手のサーバーは香港の新界地域あるのが定番なのですが,とにかく場所が悪かった.香港の物流はコロナのため完全に止まってしまいました.本当にリスクを予想できているならば,入国者の14日隔離政策が実施される前にハンドキャリーでSIMを香港に持ち込んでいれば今回のようなことは避けれたのだと思いますが,そこまで予想していなかったのだと思います.(14日隔離されてもいい人材がいるのであればそれはそれでどうかと思いますけど)

さらに,コロナのためリモートワークの需要が増えたため,新規契約と転送量が増えてきました.今,若い人で固定回線をわざわざ引く必要のある人は多くないので,急に自宅で仕事するための回線を用意するためにはレンタルwifiが現実的な選択肢になります.固定回線の場合は工事日まで待たなといけないので,仕事に支障をきたします.

さらにTV CMを大量に出しており,わかりやすい「どんなんときもwifi」という名前で売っていたこのサービスはリモートワーク需要にピッタリで,掻き入れ時になります.

新規契約と通信容量は増えるが,SIMを増強できないという状況が続きました.

これだけの要因が重なって,ついに運が尽きメーデーがきてしまいました.

「今SIMバンクに刺さっているSIMのデータ容量を全部食い尽くしてしまい通信ができない」

飛行機なら燃料が足りないし,給油もできない状況です.いわゆる

「もう助からないゾ♡」

状態です.(元ネタ) 


ただ,SIMは飛行機と違って燃料が切れても全く復活しないわけではなく,ありがたい条件があります.

「毎月1日に復活する」

これがタイトルにある4月1日に回復するという理由になります.

なので,回線を終了するのではなく,3月中は休止という方法が可能になります.4月1日には自動的に回復するのだから,3月中の後半の料金は後日割り引くのでじっと待ってろという方針です.

お客様を犠牲にしているのはどうかと思いますが,現実的な対応としてはこれ以上の対応はできないと思います.もちろん,電気通信事業者法としてはアウトなのですが是正措置が来るのを承知の上だとは思います.


※だた,平日の転送量に関してだけいうと,10%くらい増えた程度のものなので通信事業者としては特段気にするほどでもないのですが・・・

そもそもデータ容量の計画を誤っていたのだとは思います.


まとめとしては,無制限の通信がお手頃価格で手に入るなんて美味しい話にはカラクリがありますし,有事の時には信用ならないというのが教訓だと思います.有事の際でも安心して使いたいのであれば金を払えということです.

ただ,今回悪質だったのは仕入れているSIMのデータ容量をユーザーに伝えていなかったというところでしょうか.サービスの名前と相待って無制限という印象を与えてしまった.だから裏切られたという感覚がユーザーに残ってしまったのだと思います.

ちなみにコロナが収束しなければ4月も同じことが起きるかと思います.



ここからは直接,どんなときもwifiには関係のない話ですが,従来の通信事業者がなぜこの事案が不可解で,信じがたいという理由になります.

上記で2.ソフトバンクの大容量SIMで通信容量(byte)ベースの契約にこだわったのには理由があります.それはMNOと通信契約を結ぶ場合は通信容量ベースではなく通信帯域(bps:ビット毎秒)ベースの契約になるからです.これは通信業界の常識的な契約です.そのため,MNO以外の通信事業者としてはbpsが全てですので何PB通信されようが気にしていません.通信がピークとなる瞬間の転送量(=bps)が回線を提供する企業との契約の範囲内に収まればいいのです.公開できるエビデンスとしてはhttps://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/disclosure/mvno/business/gaiyou.pdf

の8ページ目の表内に定額通信料 10Mb/sのもの 524,493円 と言う記載があります.docomoと直接契約の場合,これを標準的な参考資料として良いでしょう.もちろんソフトバンクだろうと直接,通信回線の契約する場合はこれに似た契約になります.本来ならばglocalmeも同じ契約体系があると思います.なにせ当たり前の契約なのですから.

ここで,一般消費者との感覚と乖離が発生します.「MVNOのSIMを契約しているがMb/s=Mbpsではなくギガで請求されるじゃないか」と言う矛盾です.

その結論としてはMVNO事業者はMbpsで仕入れていますがGB単位で消費者に下ろしています.だって通信速度っていってもよくわからないですもん.それに,通信帯域はMbpsといった単位で,通信容量だとGBなのでGの方が大きく見えるので一般受けは良いです.

これはMVNO事業者全員が抱えるジレンマです.お昼の時間帯に急激に通信速度が低下するのは,通信帯域というものが契約で決まっていててそれを大人数で共有すれば,一人当たりの帯域幅=通信速度が低下するというのが原因です.(それを踏まえた上で,夜間の余っている帯域幅を制限なく使えるようにしているmineoは非常に上手い戦略をしていると思います.)










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