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【4/21】拮抗する英国EU離脱投票、白熱する残離キャンペーン

16-18日に英国のイプソスモリは世論調査を実施し、残留支持が49%で、離脱派を10ポイント上回りました。


■残留派が優勢

イブニング・スタンダード紙が20日行った3月の調査では、残留派が離脱派を8ポイントリードしていました。

調査結果は、投票率が低下すると、残留派と離脱派の差が6ポイントまで縮小し、離脱派に有利となることも示しました。

同紙によると、イプソスモリの政治調査部門責任者、ギデオン・スキナー氏は「非常に接戦となっているが、どの国民投票でも現状維持が通常は有利だ」と話しました。

以上のことから、基本的には残留派が優勢ですが、テロやパナマ文書のような離脱要因が増え、英国民の意思を揺るがす事態になれば離脱派優勢となる可能性は否定できません。

なにしろ、調査対象者の15%程度がまだ態度を決めかねているのです。


■調査手法

これまで世論調査は度々行われていますが、その手法として「オンライン調査」と「電話調査」の2種類があります。

そして調査手法によって結果が少し異なります。

昨年秋以降の世論調査を集計したところ、インターネット上で調査票に回答する「オンライン調査」では残留票と離脱票が拮抗しているのに対し、オペレータや自動録音メッセージに電話で回答する「電話調査」では残留票が15%ポイント程度リードしています。

オンライン調査は相手がいないため、本音が引き出されているように思えますが、相手がいないが故にイタズラも多く、その正当性が欠かれます。どちらか迷っている場合はとりあえずテキトーに回答してしまいがちになります。

一方電話投票ですが、相手がいるだけにイタズラはできませんが、その代わり回答が無難になってしまい、どちらか迷っている場合は残留と回答してしまいがちになります。


■白熱するキャンペーン

キャメロン英首相は、貿易取引の縮小や多国籍企業の海外移転など、離脱時の経済的な損失の大きさを強調する残留キャンペーンを繰り広げています。

ドイツやフランスの政府高官から最近相次いで残留派を支持する発言が聞こえます。

他方、主に保守党内のEU懐疑論者は離脱時も何らかの形で単一市場へのアクセスを確保することが可能とし、むしろ移民やテロに対する脅威を国民に訴える離脱キャンペーンを繰り広げています。

また、パナマ文書の影響も無視できません。

このように、国民投票に向けてキャンペーンが白熱してきています。

仮に英国がEUを離脱すると、そのインパクトは計り知れません。

EUの存亡自体に影響してきます。

ちなみに市場は楽観的ですが、国民投票間近になると神経質になってくるでしょう。引き続き動向に要注目です。