米国利下げ可能性浮上。米国債は2017年来の低水準

週明け3日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前週末比4.74ドル高の2万4819.78ドルで取引を終えた。前週末に354ドル安と大きく値を下げた反動で、買い戻しがやや優勢となった。
 ただ、米中の貿易摩擦や米国による対メキシコ制裁関税が世界経済を減速させることへの懸念も根強く、ダウ平均は一時130ドル余り下げる場面もあった。

米国債2017年以来の低水準

指標10年債利回りは、2017年9月以来の 水準に沈んだ。貿易摩擦の深刻化を引き金に市場のボラティリティーが増す中、安全資産 とされる米債への逃避買いが強まった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げが差し迫っ ているとの観測も利回り低下に拍車をかけた。 TDセキュリティーズのシニア金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏 は「状況は日に日に悪化しているようで、FRBは利下げに動くだろう」と述べた。

利下げ確率の上昇

利下げの可能性は他でも示唆されつつある。

CMEグループのフェドウォッチによると、米金利先物が織り込む7月の利下げ予想確率は約53%と1週間前の18%から上昇した。世界的な貿易摩擦激化を巡る懸念から、連邦準備理事会(FRB)が景気後退回避に向け利下げに踏み切るとの見方が強まった。

9月利下げの予想確率は約85%と、1週間前の48%から高まった。
12月利下げ確率は約97%で、77%から上昇した。

貿易戦争が正当化材料

一度利上げしたものを再び下げるのは難しい。

米セントルイス地区連銀のブラード総裁は3日、世界的な貿易を巡る緊張の高まりによる世界経済に対するリスク、および低調な米インフレを踏まえると、米利下げは「近く正当化」される可能性があるとの考えを示した。

「インフレとインフレ見通しの双方は目標を下回っており、米国債の利回り曲線は現在の政策金利が不適切に高く設定されている可能性があるとのシグナルを発している」とし、低迷するインフレ、および米債券市場が発している警告を踏まえると、「政策金利の下向きの調整が近く正当化される可能性がある」と述べた。

その上で「政策金利の下向き方向での調整はインフレとインフレ期待を2%の目標に近づける」ことの一助になるとともに、予想よりも急激な景気減速に対する「保険」になる可能性があると述べた。

総括

世界経済の減速論は、風物詩みたいなもので定期的に出ては消えていく。

そしてその「世界」は、米国、中国のどちらかを指すことが多い。

今回の貿易戦争は、両国へのダメージが大きいことから長期化すると間違いなく世界経済へのダメージも深刻化する。

FRBは先手を打って利下げするか。
株式市場の希望はその一手にかかっていると思います。

出典

共同通信 6/3 NY株小幅反発、4ドル高買い戻しやや優勢

ロイター 6/3 米金融・債券市場=10年債利回り17年9月以来の低水準、逃避買い膨らむ

ロイター 6/3 来月米利下げ確率は53%に上昇、貿易摩擦激化巡り懸念=金利先物