米中通商協議「第1段階」の合意に署名

ダウ工業株30種が終値ベースで最高値を更新した。米中両国はこの日、貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名し、1年以上にわたって市場を揺るがしてきた関税合戦の終結に向け取り組む姿勢を表明した。

貿易交渉「第1段階」の合意に署名

トランプ大統領はホワイトハウスで中国の劉鶴副首相らと並び「われわれは共に過去の過ちを正し、米国の労働者や農家に対し将来的な経済的な正義と安全をもたらす」と述べた。
今回の合意では、中国が2年間にわたり追加的に少なくとも2000億ドル相当の米国の農産品、モノ、サービスを輸入すると確約。トランプ大統領によると、これには追加的に500億ドルの農産品、400億─500億ドルのサービス、750億ドルの工業製品、500億ドルのエネルギー供給が含まれる。
今後の交渉について、トランプ大統領は米中が「第2段階」の合意に達し次第、すべての関税措置を解除すると表明。「第3段階」の合意はないとの見方を示した上で、「交渉の切り札のために関税措置を残すが、第2段階の合意が得られ次第、解除する」と述べた。
中国の習近平国家主席はトランプ大統領に宛てた書簡で、第1段階の合意を歓迎し、トランプ大統領と今後も緊密な連絡を続けていく意向を示した。さらに、米中が対話を通じて相違を解消し、解決策を見いだせることを今回の合意は示していると指摘した。

書簡は、劉副首相が署名式で読み上げた。
劉氏はまた、中国が第1段階の合意を順守すると言明し、今回の合意は両国だけでなく、世界にとり朗報と語った。
「今回の合意の下、中国国内市場の需要に応じて、中国企業は今後2年で年間400億ドル相当の米農産物を市場状況に基づき購入する」とし、「無論、市場の需要が旺盛であれば、中国企業は購入を拡大する」と述べた。また、米中両国が購入に良好な市場環境を整える必要があるとの認識を示した。

履行状況を見極める

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は15日、トランプ政権が「第1段階」の米中通商合意の履行状況を見極める間、対中関税は維持されるとの認識を示した。
第1段階の合意署名に先立ち、カドロー委員長は記者団に対し、中国が第1段階の合意を順守できれば、新たな米中関係の幕開けのシグナルになり得ると語った。一方、中国が順守しなければ、米国には行動を取る用意があるとも釘を差した。
FOXニュースとのインタビューでは、第1段階の合意署名が完了次第、「第2段階」の通商交渉が始まると語った。

総括

長きに渡った米中貿易戦争も、ようやく和解への道筋ができた。

思えば、昨年は両国の制裁の掛け合いで、和解の道筋はないかもしれないと危惧したこともあるが、止まない雨はないものだ。

しかし、対中関税の解除が第2段階目であることから、米中貿易戦争が世界経済に影響し続けることは変わりない。
そして、第2段階の交渉が始まれば、またトランプ砲が打たれることになる。

右往左往を経て第2段階も合意に達すると希望しているが、そこまでに世界経済がリセッションにならないことを願う。

出典

ロイター 1/16 NY市場サマリー(15日)

ロイター 1/16 米中、「第1段階」通商合意に署名 中国は農産品など輸入拡大

ロイター 1/16 米、対中関税維持 第1段階合意の履行状況見極める間=カドロー氏

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