【5/12】伊勢の陣 -日本は本当に為替介入できるのか
米国は財務省からも、大統領候補者であるヒラリー氏、トランプ氏からも為替介入に対して牽制されています。
この状況で、本当に日本は為替介入をできるのでしょうか。
■超急激な変動
為替介入ができるとすれば、秩序を失うほどの超急激な円高が発生したときでしょう。
4/28の日銀金融政策決定会合後の値動きのように一方的で超急激な円高には為替介入も許容されるでしょう。
一方的で超急激な円高は明らかに作為的にです。
このような場合は秩序を守るためにむしろ為替介入は歓迎されるでしょう。
しかし、問題は超急激の定義です。
いくらの値動きが超急激と言えるのでしょう。
明らかに衆目が値動きを超急激と認識しなければ為替介入に対する説明責任に応えられないでしょう。
日本経済が危機的な状況に陥るほど円高が進めば為替介入も許容されるでしょうが、それでもまだまだハードルがあります。
■ハードル① 伊勢志摩サミット
為替介入をするにしても、5月末に開催される伊勢志摩サミットまではうごけないでしょう。
サミットで各国に協調して財政出動を要請しようというときに、日本だけが手前で単独の為替介入をしたとなると、協調行動を呼びかけるときの説得力がなくなってしまいます。
議長国としても権威を失ってしまいますので、サミットまでは為替介入はできない状況です。
■ハードル② 日本経済の底堅さ
日本の経済成長には陰りが見えているなど、日本経済は軽視されがちですが、それでも日本経済はまだ相対的に強いとみられているのが現状です。
うれしいことですが、為替介入の是非からすると良くありません。
2015年は110円~120円台で推移しており、現在本格化している2015年度の決算発表の内容が好調であることから、為替のベストは110円~120円台でしょう。
100円台で推移している現在で企業業績に陰りが見える、また100円を割り込むような事態にならない限り、日本が危機的な状況であると認識されないでしょう。
■伊勢志摩サミットがカギ
為替に対して何もできない現在の状況からどれだけ解き放たれるか、それは伊勢志摩サミットにかかっています。
日本がしっかりとした成長戦略を世界に提示したうえで為替に対する捉え方を説明すれば、為替に対するけん制発言を一掃することができるでしょう。
伊勢志摩サミットで発せられるメッセージに注目です。
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