トランプ大統領への内部告発とその裏で進む米中通商協議

米国株式市場は下落。ダウ平均株価 は79ドル安で取引を終えた。
トランプ米大統領のウクライナ圧力疑惑に関する内部告発 書公表を受け、弾劾を巡る不透明感が高まった。
一方、中国側からの通商面での発言を背景に下値は限定的だった。

ウクライナ圧力疑惑、内部告発

下院情報特別委員会はこの日、トランプ大統領が来年の大統領選再選を視野にウクライナに圧力をかけたとされる疑惑を巡り、当局者による内部告発の内容を公表した。
告発者は、トランプ大統領が職権を乱用し、大統領選を有利に運ぶためにウクライナを選挙に介入させようとしたと指摘。
「米国の国家安全保障への脅威」との懸念を表明し、「緊急を要する懸案」に当たるとした。
ロバートWベアードの投資ストラテジスト、ウィリー・デルウィッチ氏は、状況がさらに進展しない限り個人の反応も乏しく「相場の変動も短期的なものにとどまるだろう」 と述べた。

米中貿易戦争に進展

中国の王毅外相兼国務委員は、同国として米国製品の購入を拡大する用意があり、トランプ政権は多数の中国製品への関税を免除するなど善意が見受けられると述べた。
この発言を受けS&P総合500種指数は一時プラスに転じる場面も見られた。
また米政府が8月に発表した中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する一部米国製品の禁輸措置の執行猶予について、延長される公算は小さいとブル ームバーグが報じたことも材料視された。

中国のコンサルティング会社、上海JCインテリジェンスのチーフアナリスト、Li Qiang氏は26日、10月上旬に予定される次回の米中通商協議が開始されるまでに中国が約600万トンの米国産大豆を購入するとの見方を示した。

同アナリストは業界イベントの合間にロイターに対し、中国当局が今月、購入支援に向け第1弾の関税免除を行った後に中国の輸入業者が100万トン以上の油糧種子を購入したと述べた。
その後、新たな関税免除が実施され、約300万トンが追加購入されたという。次回の閣僚級の米中通商協議が始まる前にさらに100万─200万トンが追加で購入される見通し。

同アナリストは情報源についてはコメントを控えた。

ロイターは25日、中国が複数の輸入業者に対し、来月の閣僚級通商協議を前に購入を促すため、米国産大豆に対する制裁関税の適用を新たに免除したと報じた。
同アナリストはイベントで、10月上旬の協議開始までに中国が計約2000万トンの米国産大豆の購入を完了するとの見方を示した。中国は今年すでに1400万トンの大豆を購入している。

総括

「反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪」で弾劾訴追され、有罪になれば罷免される。

米国議会は、下院が過半数の賛成で訴追し、上院の3分の2が同意すれば有罪になります。ただ上院の過半数を与党・共和党が握るため、仮に下院で訴追しても罷免は失敗する可能性がたかい。

目下の注目は米中通商協議の行方だが、こちらの見通しは明るくなった。

但し、秋はリーマンショックやブラックマンデーといった大規模な経済ショックが発生しやすい時期なので、引き続き注意が必要だ。

出展

ロイター 9/26 UPDATE 1-米国株式市場=ダウ79ドル安、大統領弾劾巡り警戒感 新規上場のペロトン軟調

ロイター 9/26 中国、米国産大豆600万トン追加購入へ 次回協議控え=アナリスト