【4/12】離れつつある精神、EUの現状
現在の為替の動きの主流は米利上げ、中国経済、原油価格の動向ですが、実は影で影響しているものがあります。
それが欧州の政治混乱です。
今回は欧州の状況についてまとめます。
■英国EU離脱問題
今年6月に欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票が英国で実施される予定です。
英国がEUを離脱した場合の影響としては、まず英国自身の貿易収支が悪化します。
英国の輸出はEU諸国が大半であるため、EU加盟時に適用されていた関税撤廃がなくなってしまい、コストが増大します。
EU側も無傷ではすみません。
英国は世界有数の金融大国です。
その英国からEUの運用費が支払われなくなってしまい、EUの運営の在り方を見直さなければなりません。
また、欧州を代表する英国が離脱するとEU事態の威厳もなくなってしまいます。
このような影響が出るとの見方が強いですが、金融市場や経済にどのような変化を及ぼすか正確に予測することはできません。
これにより欧州経済の不透明感を強めているのです。
■欧州金融システムの陰り
今年2月初頭に地域の銀行部門の健全性に対する懸念が持ち上がりました。
緩和的な金融環境下で利ザヤが減り、銀行の利益生や資本力が不安視されています。
欧州の金融システム崩壊の懸念が拡がり、リーマンショックの再来とまで言われました。
当時は銀行株が大幅に下落するほどでしたが現在は過度は懸念は解消されています。
しかし、問題がすべて解決したわけではありません。
■ギリシャの債務問題
昨年ギリシャの債務問題が勃発し、ユーロ圏離脱の国民投票が実施されました。
結局離脱はならず、EU諸国が支援することにより債務デフォルトの危機は逃れましたが実はこの債務問題はいまだに解決していません。
ギリシャ国内の改革を進めてはいますが、デフォルトの可能性はなくなったわけではありません。
■ギリシャだけでない債務問題
表面化していないが債務問題を抱えているEU諸国は他にもあります。
まずはポルトガルです。
ポルトガルの債務問題は深刻化しており、改革に取り組まざるを得ませんでしたが、昨年10月の総選挙で連立与党は勝利したものの、過半数には届きませんでした。
また、スペインやアイスランドはそれぞれ昨年12月と今年2月に総選挙が行われたが、政権樹立交渉がいまだ難航しています。
このように政治的対立が解消せず、問題解決できていない状況です。
■精神が離れつつあるEU
フランスやベルギーでのテロ後、EUの在り方に対してEU諸国の考えが離れつつあります。
英国のEU離脱理由の一つに難民受け入れによる治安悪化があります。
実際に中東からの難民に乗じて過激派が欧州に侵入したことによりフランスとベルギーのテロが勃発したことからこの考えは間違いではありません。
また、オランダが4月6日に実施した国民投票で、EUとウクライナの連合協定について「ノー」という態度を示しました。
これも統合を進めるうえで不可欠である寛容の精神が損なわれつつあることを示しています。
EUは人、物の移動を自由にするという経済統合が目立ちますが、そもそもは戦争をなくすために結成されました。
欧州の歴史は戦争の歴史と言っても過言ではないくらい戦争を繰り返してきました。
戦争をこれ以上繰り返さないためにもEU諸国の気持ちを一つにしてもらいたいところです。
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