中国

【3/6】全人代開催、その内容まとめ

5日に中国で全国人民代表大会(以下全人代)が開幕されました。

全人代は日本の国会に相当します。

今回は全人代の内容をまとめます。


■成長率目標は6.5%~6.7%

今年の国内総生産(GDP)の成長率目標を6・5~7%と発表しました。

目標に幅を持たせる異例の発表となりました。(一九九五年以来、二十一年ぶり)

政府も先行きが見通せない認識と目標割れを防ぐ苦肉の策といえるでしょう。

李克強首相は年間施政方針を示す政府活動報告で「6・5~7%の成長率であれば、比較的十分な雇用を確保できる」と強調しました。

近平政権で初めて策定し、五日発表した第十三次五カ年計画(二〇一六~二〇年)でも、年平均6・5%以上の成長率を設定し、新規労働者の安定雇用に努めるそうです。


■ゾンビ企業の清算

鉄鋼や石炭産業など国有企業の過剰生産を解消する「供給側改革」に力点が置かれた。

李氏は「『ゾンビ企業』に積極的かつ適切に対処する」と表明。

経営が破綻しながら政府や銀行の支援で存続するゾンビ企業の合併や再編などに果敢に取り組むと訴えました。

国有企業の過剰生産などの抜本改革で数百万人の大量失業が発生すると想定されています。

中国政府は痛みを一時的に伴っても、構造改革を進める覚悟を示しました。


■雇用の強化

構造改革による失業に関しては李氏は政府の財政支援で「過剰生産の解消に取り組む企業の従業員の再配置や再就職支援にあたる」と表明しています。

削減された従業員らに対して1000億元(約1兆7500億円)を投じる考えを表明しています。

また、貧困人口の解消についても重点目標として強調。

海外での“爆買い”に代表されるように中国で富裕層や中間層が拡大する一方、国家統計局によると15年時点で年収2300元(約4万円)以下の貧困層も依然として約5500万人存在します。

貧困解消への具体的な道筋としては、農村地区から都市部への移住促進や、貧困地域が多い内陸部で中小都市を発展させる方針などを列挙しています。

裁定生活保障(生活保護)や年金の支給基準を緩和するなど、社会のセーフティーネットの拡充も強調しました。


■小康社会実現のための課題

ゾンビ企業に対処により発生する大量失業者の新たな雇用の受け皿となる産業が成長していない現状をどう克服していくかも大きな課題です。

今後はハイテクやサービス産業を発展させ、国内消費を拡大する経済構造への転換に迫られています。

中国は2020年の「小康社会」(ややゆとりのある社会)の全面的完成という目標を掲げています。

世界経済において中国の影響力は強大ですし、日本においても重要なマーケットです。

リーマンショック後、世界を牽引した強い中国に舞い戻ってほしいものです。