【5/11】激突!日VS米、為替をめぐる対立
GWは10連休だったのですが、後半にウィルス性胃腸炎にかかってしまい、いまに至ります。。
日本はお休みの中、為替はすさまじい攻防を見せていました。
■先行:米 日本を監視リスト指定
米財務省が為替報告書を発表。
この為替報告書で不公平な為替慣行を行っているとして監視リストに上げられたのです。
不正な外国為替の慣行の規準としては今年になって成立した「貿易促進法2015」でデータに基づいた客観性・公正性を重視し、貿易収支・経常収支・為替介入という3つの項目に絞って枠を設定しました。
それぞれの査定でオーバーすれば該当国の為替政策が不公平と判断するという、数値化による各国の為替政策の分析方法を採用しています。
3項目の具体的な査定基準は以下となります。
①貿易収支:対米貿易黒字が200億ドル
(1ドル107円換算で2兆1400億円)を超えた場合。
ちなみに200億ドルは米国のGDPの0.1%に相当。
②経常収支:経常黒字額が各国の国内総生産(GDP)の
3%を超えた場合
③為替介入:各国のGDP2%以上の一方的な外貨購入を
繰り返し行うような介入を実施した場合
日本の2015年の状況ですが、
①対米貿易黒字は686億ドルでオーバー
②経常黒字(暦年)は16.4兆円、
日本のGDP(暦年)は実質で528.6兆円、
名目で499.1兆円。実質3.1%、
名目3.3%と換算されますので、
いずれにしてもオーバー
(報告書では3.3%でオーバーとしていますので
名目GDPを使っている模様)。
③為替介入の実績なし
以上、3項目のうち2項目が相当したため監視リスト入りしました。
この報を受けて円高が加速、一時は105円台まで進みました。
さすがにこの状況を日本政府は黙っていませんでした。
■後攻:日本 政府高官の円高けん制発言
第一陣:安倍首相
5日に安倍首相はロンドンでの記者会見で、
「為替の急激な変動は貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくない」
「足元の為替市場では急激で投機的な動きが見られている」
「為替の動向を注意深く良く見て必要に応じて対応したい」
との見解を示しました。
この円高をけん制する発言を受けて円高は一段落し、徐々に円安に向かっていきました。
第二陣:麻生財務・金融相
麻生財務・金融相は9日の参院決算委員会で、外国為替市場での円高・ドル安について「急激な変動が起きると貿易政策上も、財政政策上もいろんな意味で影響が出るため、望ましくないという立場だ。こういったことがあれば我々としては当然介入の用意がある」と語りました。
米財務省が為替報告書で日本を「為替監視リスト」に含めたことについては「米国が日本の為替政策を不当だと考えていることはないし、米国が日本に対して何らかの行動をとるということも考えられない」と述べました。
その上で、監視リスト入りによって「日本の為替政策が制約を受けるということもない」と強調しました。
以上の政府高官二人の発言により、11日現在、109円台まで円安になりました。
■G7でも強気に出られるか
円安を許さない米国と円安にしたい日本。
二国の対立が鮮明になりました。
今年2月のG20閉幕後の黒田日銀総裁の会見では「日本の金融政策には理解が得られている」としていましたが、どうもこれは違ったようです。
というのも、現在の米大統領選で有力候補であるヒラリー氏もトランプ氏も日本の為替対策には名指しで批判して票を集めているからです。
票を集められるということは米国民が実は良く思っていないことを暗に示しています。
最大のパートナーである米国と為替に対する対立をどう埋めていくか。
そのカギは5月末に開催されるG7です。
安倍首相も麻生財務・金融相も国内に向けて発言しただけで、これを米国にも強気に発言できるかが重要です。
対外的な牽制発言こそ、真の口先介入と言えるでしょう。
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