日商簿記範囲外のEX論点【債権・債務②】~譲渡性預金~

日商簿記3級から1級の範囲外の論点、および範囲内ではあるものの出題率の極めて低い論点を紹介します。
基本的に、公認会計士・税理士等で紹介されるような論点となります。
なお、論点に対しての適用指針等は紹介しません。

今回は、債権・債務の論点から「譲渡性預金」を紹介します。




1.譲渡性預金

概要

定期預金のうち、他人に譲渡可能な定期預金を譲渡性預金(通称CDCertificate of Deposit)といいます。
この譲渡性預金は、現金同等物として扱われます。

取引期間が1年未満の市場(短期金融市場)で取引されるので、資金の短期運用に向いています。


仕訳

預け入れ時の仕訳

有価証券  XXX / 当座預金  XXX

譲渡性預金を預け入れた際、貸借対照表上では有価証券勘定として処理します。
金融商品取引法上の有価証券には該当しませんが、活発な市場がある為、有価証券として表示することとなります。

譲渡時の仕訳

当座預金  XXX / 有価証券    XXX
         / 有価証券利息  XXX

償還期日前に預金を譲渡する場合は、譲渡性預金の価額は帳簿価格にて計上し、当座預金の価額は譲渡時の時価で計上します。
差額分は、有価証券利息勘定で処理します。


償還時の仕訳

当座預金  XXX / 有価証券    XXX
         / 有価証券利息  XXX

償還時も同様に、譲渡性預金の価額は帳簿価格にて計上し、当座預金の価額は譲渡時の時価で計上します。
差額分は、有価証券利息勘定で処理します。

また、問題文に所得税及び復興特別所得税の金額の記載がある場合は、その金額分を仮払法人税等勘定で計上します。


2.例題

(1)譲渡性預金の譲渡

以下の資料に基づき、仕訳を示しなさい。

  • A社は、X1年4月1日に譲渡性預金30,000円を預け入れている。

  • 償還日は7月31日、約定利子率は3%である。

①預け入れ時の仕訳を示しなさい。

有価証券  30,000 / 当座預金  30,000

②6月30日に、預金の全額を32,000円にて譲渡した。
 譲渡時の仕訳を示しなさい。

当座預金  35,000 / 有価証券    30,000
          / 有価証券利息  2,000

(2)譲渡性預金の償還

以下の資料に基づき、仕訳を示しなさい。

  • A社は、X1年4月1日に譲渡性預金40,000円を預け入れている。

  • 償還日は12月31日、約定利子率は3%である。

①預け入れ時の仕訳を示しなさい。

有価証券  40,000 / 当座預金  40,000

②満期日が到来したため、当該預金の全額を償還した。
 なお、所得税及び復興特別所得税225円が利息から差し引かれている。

当座預金    40,675 / 有価証券    40,000
仮払法人税等   225 / 有価証券利息  900

①有価証券利息900 = 40,000 × 3% × 9ヵ月 / 12ヵ月
②当座預金40,675 = 40,000 + 利息900 - 所得税等225


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