日商簿記範囲外のEX論点【棚卸資産②】~五分法・七分法・九分法~
日商簿記3級から1級の範囲外の論点、および範囲内ではあるものの出題率の極めて低い論点を紹介します。
基本的に、公認会計士・税理士等で紹介されるような論点となります。
なお、論点に対しての適用指針等は紹介しません。
今回は、棚卸資産の論点から「五分法・七分法・九分法」を紹介します。
1.五分法・七分法・九分法
概要
五分法は、三分法同様、仕入、売上、繰越商品を計上しますが、それに加え、仕入および売上の値引・返品を勘定科目を用いて記帳する方法です。
七分法は、五分法の仕入値引・戻し、売上値引・戻りを細分化し、仕入(売上)値引、仕入戻し(売上戻り)として独自の勘定科目を用いて記帳する方法です。
九分法は、五分法、七分法にあった勘定科目のほか、仕入割戻と売上割戻に関しても勘定科目を用いて記帳する方法です。
いずれも、決算時には仕入および売上に振り替えて、純額を表示させます。
仕訳(五分法)
仕入値引・返品時の仕訳
売上値引・返品時の仕訳
五分法を採用している場合、値引や返品を仕入値引・戻し勘定と売上値引・戻り勘定を用いて計上します。
決算時の仕訳
決算整理仕訳として、値引・返品額をそれぞれ仕入・売上に振り替える仕訳を行います。
仕訳(七分法)
仕入値引時の仕訳
売上値引時の仕訳
七分法を採用している場合、値引を仕入値引勘定と売上値引勘定を用いて計上します。
仕入返品時の仕訳
売上返品時の仕訳
七分法を採用している場合、返品を仕入戻し勘定と売上戻り勘定を用いて計上します。
決算時の仕訳
決算整理仕訳として、値引額と返品額をそれぞれ仕入・売上に振り替える仕訳を行います。
仕訳(九分法)
仕入割戻時の仕訳
売上割戻時の仕訳
九分法を採用している場合、割戻を仕入割戻勘定と売上割戻勘定を用いて計上します。
決算時の仕訳
決算整理仕訳として、値引額と返品額および割戻額をそれぞれ仕入・売上に振り替える仕訳を行います。
2.例題
<1>五分法・七分法・九分法の仕入側処理
以下の取引について、五分法・七分法・九分法を使用した場合の仕訳を示しなさい。 (単位:円)
①X1年4月5日に、当社は商品A(原価:@1,500)を70個購入し、代金は掛としていたが、内15個は商品違いだった為、返品した。
≪五分法≫
≪七分法≫
≪九分法≫
②X1年4月10日に、当社は商品B(原価:@2,200)を50個購入し、代金は掛としていたが、内12個に品質の劣化がみられた為、その分は原価:@1,800に値引かれた。
≪五分法≫
≪七分法≫
≪九分法≫
③X1年4月15日に、当社は商品C(原価:@800)を450個購入し、代金は掛とした。
後日、大量購入によるリベートとして、掛代金の1%の控除を受けた。
なお、リベートによる控除は、掛代金から差し引く。
≪五分法≫
≪七分法≫
≪九分法≫
<2>五分法・七分法・九分法の売上側処理
以下の取引について、五分法・七分法・九分法を使用した場合の仕訳を示しなさい。 (単位:円)
①X1年5月1日に、当社は商品D(原価:@1,600)を90個販売し、代金は掛けとしていたが、内20個は商品違いだった為、返品された。
≪五分法≫
≪七分法≫
≪九分法≫
②X1年5月10日に、当社は商品E(原価:@3,100)を70個販売し、代金は掛けとしていたが、内18個に品質の劣化がみられた為、その分の原価を@2,850に値引きした。
≪五分法≫
≪七分法≫
≪九分法≫
③X1年5月20日に、当社は商品F(原価:@600)を550個販売し、代金は掛とした。
後日、大量購入によるリベートとして、掛代金の2%の控除を行った。
なお、リベートによる控除は、掛代金から差し引く。
≪五分法≫
≪七分法≫
≪九分法≫
<3>五分法・七分法・九分法の決算
以下の資料に基づいて、五分法・七分法・九分法を使用した場合の仕訳を示しなさい。 (単位:円)
当社の仕入に係る値引額は68,000円、返品額は256,000円、割戻額は44,000円であった。
当社の売上に係る値引額は55,000円、返品額は157,000円、割戻額は37,500円であった。
≪五分法≫
≪七分法≫
≪九分法≫
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