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夢で知った“成長経営”事業の基軸改革(マークシング)





まえがき


10年もまえの話です。つかの間の夢に現れた天の声が長い物語となって、脳裏を駆け巡りました。目を覚まし、余韻にひたりながらその趣意をたどると、うなずける一つの経営論が造形されていったのです。

当時、
ラテン語の「商品(財やサービス)」に当たる「merx(マークス)」ということばに、なぜか惹かれるもの「x」がありました。夢を見たのは、そのせいかもしれません。


そのマークスを見守る神マークリィは、しばしばタナ(店・棚)に化身し、事業を自身の目で見つめ、ときに、繁栄のためのシグナルを発信しているといいます。


事業はさまざまな要因に左右されますが、生産分野で見るかぎり、おおむね広い意味での「生産技術」の課題が大きくかかわっている——と見て、狂いはないようです。


事業の成果はマークスのよさで決まる」のは事実です。複数企業で同一種の製品をタナに並べていても、一人の顧客の手に飛び移って行けるのは、一社のみ…。

機会を得られないでいる、ある企業は対策を考えました。


事業の基軸:しゅ)と、そのバリエーションを改めるのです。

そのために組織を再編成し、事業企画のプログラムを再整備しました。それによって「事業の基軸改革マークシング(造語merxing)」を展開したといいます。


何の変哲もない話のようで、じつは経営の大転換なのです。

事業の基軸(種)を公転軌道にたとえます。他との衝突回避が目的の独自路線です。それを導入することが改革の核心です。そうすることで事業の既成軸から脱出するのです。

根底からの変革ですから、他との差別化レベルではありません。

競争原理という既成観念は無用です。独自路線で独自のパイを可能にするのです。ただし、その様式を尊重して守り合う企業社会(環境)は必要です。よって、マークシングの次元と構図は、業界レベルの配慮と発想を不可欠とします。


付加価値向上の分野を中心に、方法の提案や指導を重ねてきた筆者です。

企業個別に接しながら、同時に業界全体を応援してきました。ですが、競争原理で企業社会全体の「可能性と成長性」が細ることは、見るに忍びないのです。

そろそろ、「成長経営」による新しい時代を迎えませんか。
以降、内需の繁栄を前提に、夢のおはなしをご紹介してまいります。


 

シチュエーションⅠ

【夢のなかで聞こえた天の声】


1.自分本位にマネジメントできない?


企業は、一つの事業を決定すると、あとは潜在的なパイがどれほど成果になるか——を積み上げるのみです。完全受注方式でないかぎり、成果は「未定」「未知数」です。事業のマネジメントは、企画やプロモーションの努力を投入して、死ぬか生きるかの冒険です。


売れる前提で製品を仮定し、生産~供給する。「製品がタナから羽ばたくまで」のマネジメントは現行のままでよいか——が問われます。結果が、長蛇の列で賑わうか、かんこ鳥が鳴くのか。自分本位というより、思うにまかせずの、悲喜こもごもです。


顧客とは「未知数」が売りの未来。過去からの延長線でははかれない。できることなら流行らせたい、流行るかどうかは試すのみ。能動的に自分本位にできることといえば、足しげく営業力を発揮して頑張るしかない——ということでしょうか。



2.事業というのは提案と説得では?


マネジメントの本質といえば「問題解くこと」。事業のばあい、「我が社の商品が売れるようにする」のです。ところが、競争原理のもと、我が社は勝てない——という。

あれ? もうすでに、問題が解けているのではないですか?


障害物競走の最後の網くぐりでは、一番手について走れば、出口で追い抜きやすいという知恵。これ、どうでもいいですね。いずれにせよ、それは全員が勝つのではなく、利するのは一人のみです。他は、競争に巻きこまれているだけなのです。


競争原理は、個別最適の話です。負け組みとか業界全体の話は無視です。全体は最適どころか、現実に多くのロスを発生させます。それが全体の運命です。釣りなら「きょうは坊主だった」で笑っておきますか。でも事業の負け組は、全体は、笑えません。


勝つのは一人」。その輪番制は生きていても、負け組は、困窮な哀しみを累積させるだけです。負け組の多い全体は、景気を低迷させるだけです。

人々の生活にとって、そんな競争原理があっていいはずがありません。


そこは、大きなエラーが、構造的問題が野放し状態です。


そもそも事業というのは、「勝ち志向」でいくものでしょうか。

マジョリティは事業にそれを取り入れているようですが、全体の現実が「負け戦」にしかならないのです。社会的責任のある企業たちは、立ち上がってくださいな。

顧客ニーズ?
トレンド?
競争原理?


顧客は、はじめは未知数です。それを是認したうえでの事業です。

アーティストのばあい、かれはニーズにこたえてアートを創造するのではなく、「これが私の芸術だ!」と、自分の魂を表現して生きるのです。


事業の本質は、本来アーティストなのです。
アーティストなら
美術館は顧客でいっぱいです。疲れてしまうほど混雑しています。



3.事業の産みの苦しみは どんな?


マークシングというのは、事業を好調にするための基軸改革ですから、もちろん、たいへんなことは事実です。ただし、競争によって起きる「自社の可能性と成長性の減速」ひいては「業界全体の可能性と成長性の減速」を避けることができます。

 

事業の大切な条件は「好売上と好対価」です。経済の「好循環」に参加するには、その点を大前提とする「ビジョンモデル」をうけ入れざるをえません。「好売上」があっての「好対価」なのですから、ビジョンモデルは企業の基本使命で生命線といえます。


マークシングは偉大なもので、その導入期~成長期には、「未来との相性をよりよくする」ために、創意工夫の知恵を絞り続けます。その“産みの苦しみ”で顧客を魅了し、「顧客の財布のヒモ」を緩めるきっかけを増やすのです。


独自路線は生命力あってのものです。事業は創意工夫あってのものです。そのために人類は皆、独自の価値観というものを授かっています。労働力は逞しいです。尊敬します。その潜在力を、競争原理でムダにするのは、だれのためにもなりません。


手っ取り早く流行りに便乗すれば、いっけん説得力もあって、顧客の足を勝ち取ることもできるのでしょう。しかし、皆がそれだと、競争の過熱で、結果はビジョンモデルから遠ざかります。そして全体は、低廉仕掛けによって好循環から遠ざかります。


競争行動に巻きこまれる様式は、勝ち組と負け組の相殺で「全体の可能性と成長性」に大きな経済損失と矛盾をもたらすのです。事業の導入期~成長期に育つ「ノウハウ」で独自路線の勢いを重ねていけば、開発人材の層もますます厚くなってくれるでしょう。



4.競争って、ナニを競争するの?


スポーツなら力いっぽうのゲームですから、勝ち抜き戦で最後まで残ったチームには栄冠が輝きます。でも、敗れたチームの数を考えれば、業界は、企業社会全体は負け組を増加させ、好循環環境から遠ざかっていくことは想像に難くないでしょう。

この構造自体、だれもが分かっています。

その競争原理って、ナニを競争しているのでしょうか。
なぜ、「競争原理と全体の発展」が結びつくのでしょうか。独自路線なら競争の理由がないばかりか、自分の顧客(パイ)を自分で創造できるのです。


かくして、皆が成長するには調和力力量×互譲)による企業環境が必要なのです。力量(競争力)と互譲(協調力)は逆の性質ですが、自転車のチェーンの原理(上の方向と下の方向は逆向きでも、じつは1本)によって調和力を生み、自転車を推進させるのです。


(同一企業におけるマイナーチェンジなら効果的でも)流行りに便乗して他社が差別化で参入することで、パイを奪い合い、全体は勝ち負けの相殺現象でマイナスです。ところが、マークシングをはかれば、独自路線の集合体で「個別と全体の成長」を可能にします。



5.個性のみなぎっている事業ですか?

 

太陽系の惑星に「水・金・地・火…」とあって、「公転×自転」で運動しています。まさに、夫々独自路線を守って生きています。どの企業も消費者である太陽を中心にして、何の干渉も不具合もなく、絶えることなく、静かに別行動で安定して生きています。

 

 自分たちでマークスを流行らせることは、それは「主体性と自立性をもつ企業へのご褒美」です。多くの成功例は模倣ではなく、新規事業の独自路線プログラムをもって知恵を重ね、そこから消費者を惹きつける企画が生まれているのです。

 

 いうまでもなく、GDP国内総生産)を成長させるのに、流行りや勝ち組だけで牽引するには力不足です。各業界とも全体を成長させるには、各企業の独自路線が不可欠なのです。勝ち負け思考は個別企業のものにすぎず、全体に奏功するのではないと考えるのです。



6. 「勝ち基準」と「価値基準」の違いは?


勝ちの基準」は「1」か「0」を生みます。「価値の基準」は「1」と「1」を生むことになります。つまり、価値志向のマネジメントはプラス思考です。事業企画に余裕と冷静ささえあれば、それは文句なしに可能な様式です。ビジョンモデルに挑む堅実な様式です。


ビジョンモデルをめざす企業社会は、生活社会とのシンメトリ(対称性)をめざす社会です。つまり、「好売上と好対価」の「好循環」に向かう社会なのです。それは「勝ち」ではなく「価値で繁栄する社会、「価値観の多様性」で生まれる社会なのです。



言い換えれば、片寄った傾向の製品を流行らせる過熱社会は、競争できる条件に心血を注ぎ、舞台裏では好対価に反する条件(人員削減や低賃金維持)に心血を注ぎがちです。こうして好循環のシンメトリ環境はかなわずに、景気は低空飛行するわけです。


もし、企業社会の生態系構図(独自路線)と生活社会の多様性需要がともに実現するなら、シンメトリ社会への前進は容易であり、加速可能なのです。つまり、流行りと過当競争の実体経済のままでは、経済構造は大きなゆがみを起こし、理を見失いかねません。


マークシングは多様性需要を創造するもの。メディアとともに育つものです。
ワットの「ヤカンの事故」がイギリスの産業革命を牽引したように、はじめ批判を浴びたテイラーの「科学的管理法」が結局産業界に定着したように、一歩ずつ前進です。




シチュエーションⅡ

【夢での天の声を編集してみた】
——アベールを渇望する時代——



プロローグ



生産に参加するために、私たちは「知識」や「知恵」を活用し、物を作る知力を発揮します。その力量には、上には上があって、その凄さを現実・現場・現物で感じます。
 

また、生産技術においては、より良いもの、より適正な価格、よりウケるものを開発することになりますが、そこでは、より高度な知恵が求められます。


マネジメントの領域では、「創造性工学」「IE」「機能設計」「組織の機能設計」「行動科学」「システム工学」「生産管理」「原理・原則」「技法・手法」「論理思考」「プロジェクト管理」「哲学」「こころの知性」など、ソフトで広い生産技術は日進月歩しています。

 

いっぽうで私たちは、生産と生活の大切なつながりを、あらためて見つめ直すべき――ことを痛感させられます。その一つに、働き甲斐という課題があります。

 

働き甲斐を生むのが「好対価」なら、そのためのみちは、経済の好循環を生み出す課題へと発展します。結局、それを救うのはソフトで広い生産技術なのです。

 

企業がビジョンモデルに挑むには、「生産技術と好売上と好対価」の切っても切れない三者の仲が必要です。それによって大切な実体経済を盛り上げなくてはなりません。

 

なくてはならないのが「付加価値と産業のつながり(Added Value and Industrial Linkage)=AVAIL(以下、アベール)」という「価値を付加するつなぎの論理」です。

 

原料や粗製品を加工して使用価値を創造し付加価値を産み出すという経済行為と方法は、むろん「無限」にあります。その「無限」に大きな意義があるのです。

 

他方、労働者協力企業のこころは一つ。企業社会に参加するかぎりは、すなわち働き甲斐ある公正な「対価」を求める——のです。これは深刻な時代の命題です。

 

「アベール(avail):利益甲斐」の論理が脳裏をよぎるとき、同時に「労働者ないし協力企業の渇望を疎外してはならない」という天啓が聞こえています。

 

事業そのものが、先の読めない未知数に依存する特性をもつかぎり、それ以上、企業は労働者ないし協力企業に心配をかけてはならない——ということになります。 

 


1.アベールが成長の証


 

⑴ 人件費の何倍 売上がほしいのか



好循環にベクトルを向けた企業行動を、ここではマクロ行動とよびます。

マクロ行動なら、アベールの論理に忠実なビジョンモデルを前提とします。それを生み出す付加価値創造の基本動作を充実させなくてはなりません。

 

アベールを実感できる「好対価」を前提にするなら、「人件費の何倍の売上高が必要か」という心算は必須の指標です。それが、どこでどう曖昧なかたちになっていくのかは不思議ですが、おそらく、事業の大変さがそこでざわついているのです。

 

たとえば、本来公知の「人件費対売上倍数(≠売上高対人件費率。好対価水準に見合う売上高)」があります。失われた30年は、労働者ないし協力企業の弱者層にとって、「不自然な処遇事情の惰性に流された期間」ということにもなるでしょう。

 

2024年の春闘で、33年ぶりに高い水準の回答を勝ち取ったものの、実質賃金水準や中小企業への波及度を鑑みるなら、今後どこまで改善できるか――でしょう。希望的に見るなら、企業の姿勢が、ようやくスタートラインに立ってくれたといえるのです。

 

 

⑵ シンメトリの中心にあるもの

 

シンメトリ社会は、企業社会と生活社会がシンメトリの図式を形成します。

もちろん、絵に描いた餅は食えません。でも、企業社会がビジョンモデルに向けてマークシングを展開することで、それは現実のものになります。

 

好循環を生み出す「好売上と好対価」を「アートウェア(造語 artware)」とよびます。シンメトリの中心点となるこれは芸術作品です。労働者ないし協力企業が「アベールを実感できる核心」に当たります。トリクルダウン現象もそれがあってかなうのです。(【fig.1】シンメトリ社会 参照 )

 

生産性向上の課題解決における改善技術の一つ、「購入価格の設定手法」を、かつてはよく活用したものです。発注元に供給される原材料の価格適正化を目的とするもので、発注元と供給元双方合意のもと、生産工学等を取り入れながら、公正な基準で設定します。

 

このように、企業の課題解決が、対象企業単独で完結できないのは、受発注の構造上からも察し得ることです。とりわけマークシングともなれば、個別最適と全体最適の関係性を改革できてこそ成立します。業界が立ち上がれば——と願うばかりです。

 

 

⑶ アルトリーブン様式の確立

 

マークシングには、基本要件として基軸改革があります。

基軸(公転軌道)は、生態系でいえば「種の生き方(造語 アルトリーブン(Art-Leben(独))」をさします。マークシングとはいわば「種の創造」なのです。

 

アルトは「種類、方法、本性・性質、生物の種」。リーブンは、英語のlifeに対応する生命、生涯、人生、暮らし。二つ合わせて「種の生き方」と表現します。「art」と「Art」の意味は異なりますが、「芸術技術」と「性質」には何らかの共通点を感じます。

 

同一種の企業間で、同一パイ(総顧客)を取り合えば、結果的には、全体の可能性と成長性を半減させます。よって業界内における各事業の基軸は、それぞれが独自路線優先の様式を原則とするしかないのです。動植物の生態は、そうして進化をつづけています。

 

ダーウィンの「進化論」は、そこに「突然変異」の仮説をおいています。つまり、「開発の成功」によって、企業は進化するのだ――と。

 

種は生態系において尊い存在です。自然の生命は、種は、極力「独自の糧(かて:パイ)」で生きようとします。すなわちアルトリーブンは、独自路線の原則を貫き、「みずから創造した顧客」によって(進化しながら)生きようと努めるのです。

 

マークシングは独占ではなく、独自志向です。ビジョンモデルを指標として、自分の軌道を自分で切り開く様式です。種としての繁栄を選ぶ様式です。むろん、高い創造性が求められます。その能力開発は、これからの経営のメイン課題となるのです。

 


⑷ 個性よ、花を咲かせて栄えよ


業界においては「力量(競争)」と「互譲(協調)」のマリアージュをもって調和力をつくり、チェーンは業界全体の推進を容易にします。一般社会も同様で、全体の調和力が生きていれば、「暮らしやすい社会」が形成されます。

すべての個性が、調和力(譲り合い)をもって生きる時代です。
生け花のように、個性は調和によって生かされるのです。
調和力あってのマークシング——それを生かさぬ理由はないのです。


また、独自路線の尊重は民主主義の原点でもあります。
業界内の各々が、個性で存在感・存在性を示せば、業界全体が栄えます。
それでこそ、栄える事業、企業、業界に成長する——といえるでしょう。


調和できるマークスが、神マークリィのタナに並ぶのです。
企業よ、業界よ、そのタナで花を咲かせ、繁栄のみこしをかつごう!
それが町のお祭りなのだから——と考えていきましょうよ。



2.マークシングの大観と体系

 

⑴ マークシング構図 

 




言い換えるなら、マークシングとは「競争原理で負う大きな機会損失をなくすために、互いが、自社の可能性と成長性を効果的に生かして生きる生き方」です。その技術力を育てることは必須課題です。

それが個別最適解であり、互いが幸せになる全体最適解のみちです。企業の社会的責任を、マークシングで果たすのは魅力的です。

 自社が、先行して流行る他社のみちを模倣するのは、もはや自社のみちというにはきびしいものがあります。
企業は「自社独自のノウハウ」を育て、「責任あるマネジメント」を用いる立場にあります。「他社へならえ」のポリシィはないはずです。

何がその点を難しくしているのか。刺激的な「トレンド」という響き、独自風な「差別化」という響きに乗じて、じつは真の独自路線の行動をゆるめる、結果として「類似化」による競争原理に巻きこまれているのです。

流行りはユニークな/レアな独自路線で創造するものです。
既成の流行りをニーズというのは、創造的かどうか。
神マークリィは、全体の繁栄のために、そう指摘します。
 

さて、マークシングの第一の枠組は「大観(たいかん)」です

大観は、
「事業を成功させるために、業界全体をよく見渡し(業界内での情報交換をできるだけ可能にし、公開し合い)、「自社の事業企画が他社と干渉を起こさぬよう、独自路線を追求する」のが真のねらいです。

それによって、社内ではマークスを考えやすくするための「こころの準備provision)」を共有する、そんな意義ある枠組です。

「provide」の派生語が「provision」。その語義には「用意・備え・規定・供給・条項・対策・約款など」があります。それらの総合がここでいう「大観(意訳 プロビジョン)」です。

 あるいは「大きなこころをもった価値観」ともいえるし、他社の迷惑にならない「新しい運命共同体様式」ともいえるでしょう。
その象徴は、ゆずり合いの精神です。

ヨソさまで流行らせているものは、ヨソさまが繁昌すればよし。
自社は自社独自のマークスを流行らせればいいのです。

ニーズは、みずから発掘してこそ、ニーズの真価があります。
それができなくて二番煎じともなれば、マークシングとはよべないものになりかねません。

 「ヨソ」という字は「余所他所」です。広辞苑によると「直接関係のない物事や人または場所。また、かかわりないこと。疎遠なこと」とあります。

流行りは流行り、他社は他社。
新規に流行らせるのは、自社でありたいのです。
 

大観には、二つの枠組があります。

一つがおもむき「意志(will:ウィル)」で、事業のプロビジョンについて、業界内で表明し共有するのです。共同声明です。

二つ目が「意思(意訳thought:ソート)」によるもので、ウィルをもとに、具体的にマークスを生み出す研究体制をそなえます。
 大きな課題は循環律(衝突回避策)の探索となります。

そのうちの意志(ウィル)は、好循環・全体最適化への参加表明――

一つは納得基準(criterion)としての全体最適解(独自路線)のあり方(好循環への理解と参加)、もう一つが存立基準(existence)としての個別最適解のあり方(循環律の起こし方と「好売上と好対価」の設定)です。したがって、「全体最適と個別最適の調和をきわめる議論」が大切です。

他方の意思(ソート)は、全体最適解に準じる個別最適解の意思表示――

そのかなめが、基軸改革に必要な「循環律(造語。circular chord)」です。
いわば交差点の信号機能のような効果をもつもので、他との衝突回避のために「基軸の方向づけ」が必要なのです。交差点では、互いが確認し合うのです。
 
つまり交差点というのは、自他ともに重要な通過点なのです。互いに円滑な通行を守るうえで、事前にアピール/公開すべきであり、少なくとも「業界ニュース」等のかたちで相互発信します。理想の景色は業界におけるスクランブル交差点です。
 
衝突しない基本動作で、まえを見て歩きましょう――という循環律です。

ただし、

 循環律で決めるのはピボット(pivot:公転軌道・旋回軸・衝突回避策)です。それをもとに、アクシス(axis:自転軸・自由軸・知性軸)を自由に発想します。

以上によって、マークスの基本要件がデザインされます。

 

マークシングの第二の枠組は「体系」です

 体系は、大観を基調とする実践体制です。

具体的な「事業管理(個別最適化と全体最適化の調和システムで動く)」です。
事業の「効果と効率」を上げる「事業企画⇄開発体制」は、創造的なプロジェクト化を必要とします。

 一つは基軸(アルトリーブン)を確立して事業力(好売上:独自路線と独自パイの創造力)の向上をめざします。
二つ目が企業力(好対価:好賃金と協力企業にたいする好支払の創造力)の向上をめざします。成功すると、トリクルダウンがその景色となります。

ただし、この体系を習熟させることによって、組織の「創発×相乗効果」を生み、新規経営ノウハウが蓄積します。

これらによって
企業が栄え、社員にも協力企業にもアベールが波及すれば、万々歳です。


それにしても、企業社会が栄えるということは、どれだけ大変かが分かります。よって、そこに参加する人々の総合力が必要になることは、いうまでもありません。 

だからこそのマークシング。実体経済成長の秘訣があるのです。

 

 

⑵ ミッションキーパー

 

ミッションキーパーは、事業のミッションを守るための「門番機能と総合機能」をもちます。
注:【fig.4】ミッションキーパー 参照。

事業の「可能性と成長性」のメルクマール(指標)を守るのです。
(マークシングには多機能が求められます)

 

 

ミッション Ⅰ.事業編:等化価値の創出


需要と供給」といわれます。いっけんそれでよさそうですが、じっさいは、供給あっての需要です。事業は直接には供給しかできません。プロモーションだって供給機能です。事業が難しいのは、だからなのです。つまり「供給と需要」なのです。
 
仮に顧客が並んでいようと最後部を知らせ、残りはお引き取りいただきます。と、こうして供給が需要を決める——のです。「能動的に化成し得る価値」、「供給がすなわち需要に等化する価値」が必要なのです。これが「等化価値」であり、マークスというものです。
注:等価ではありません。等化するのです。
 
供給すれば流行る——マークスなら流れるように売れて行くのです。
その大前提が、「循環律を設定/仮定済みのマークス」だから——です。
「それなら大丈夫」というおすみつきがあるのです。
 
人気のコンサートも、祝祭日の乗り物の座席指定も、高速道路もそうです。供給力を超えれば、供給はそこまで(供給が目標需要に化ける)です。かんこ鳥の声を聞いて店じまいするのは、需要がないからというより、マークスの供給ができないからなのです。
 
マークスとは、たんなる製品ではなく、「財でありサービス」なのです。
したがって、売れなくては、マークスとはよべないのです。
 
マークスは売れるのです。神マークリィ(タナ)のお陰で需要に早変わりです。たんなる製品なら、タナでじっとしているしかないのです。それが実像として自然化成できるのは、マークリィのお陰なのです。それに挑むのが「ミッションⅠ」なのです。
 
芸術は表現するのであって、鑑賞者のニーズに対応するのではありません。
 
ここでの強調点は、「供給力」です。
マークシングに挑む以上、流行らせたいと考える以上、「好売上と好対価」を守る以上は「ミッションⅠ」の機能を緩めるわけにはいかないのです。

 

ミッション Ⅱ.経営編:トータル価値の創出
 

ⅰ トータル価値とはナニをさすか
 
マークシングの本来の目的は、実体経済を押し上げることです。
そのためにビジョンモデルの指標に応えるマークスによって「好売上と好対価」をクリアし、アベールを創出するのです。
 
商取引を「B to C(企業と消費者間)モデル」で見るとき、インプットの①外部購入価格価値(purchasing cost value)をもって、生産ははじまるのです。
注:一般的価値表現ではありませんが、以降もここでの表現を用います。
 
 
生産する価値には、概ね四つあります。
まずは①があります。これを起点とする②スマート価値(smart value)、つくれば売れる③等化価値(equalization value)、あえて加える④報奨価値(reward value)。それらの価値を合わせてトータル価値とよぶことにします。
 
売上高となる③から「①+④」を差し引いた「②」が、付加価値(「固定費+営業利益」)となります。そのためには「①+②」が適正価格に転嫁されて「好売上」となり、その結果「②+④」によって「好対価」に反映されるのです。

注:【fig.5】アベールと四つの価値 参照
 
 
ⅱ 生産は健全性で支えるもの
 
①②は、マークスの生産で発生する加工費(労務費、設備費、職場共通費)ないし供給先・販売先までに要する運搬費(サプライチェーンコスト)などの価値をさします。企業の生産をこころから尊敬できるときは、それらの価値が公正に評価されるときです。
 
物の値段に見える①も、実際は「原材料費+加工費+運搬費」なのです。
労働者ないし協力企業が、コツコツと汗水垂らして働いてできる価値なのです。
 
スマート(smart)には、利口な、気の利いた、しゃれた、きちんとしたなど、親しみある意味もあれば、厳しい、肉体的な痛み、苦悩などの意味も伴っています。それらの労苦で支えられたものが、ここでいうスマート価値です。産みの苦しみを伴うのです。
 
経営はマークスに、どれだけのイデア(理念)と公正さを盛りこめるか。労務費・人件費、あるいは外部購入価格などには、客観的科学的思慮で、優しくしてほしいのです。
生産を大切にできてこそ、神マークリィも微笑んでくれるのです。
 
③は、究極は完全受注生産、あるいは、店頭は長蛇の列のプル型対応で、常におおわらわの稼働を要するものです。好むと好まざるとにかかわらず、だれもが想い描くフル回転の生産状態です。アベールの成長は、事業の好調さがあってかなうのです。
 
④報奨価値の考え方は、正規と非正規の双方に公正平等です。勤労・努力に報い、奨励することを目的とします。一つの方法としては、自己管理の重点課題を上長と約束し、その条件と姿勢の評価によって、モチベーションの昂揚につなぐのです。
 
そこには、ハーツバーグの「動機づけ‐衛生理論」があります。
 

 


ミッション Ⅲ.総合編:好循環への参加
 

ここは間接的な総合編で、好循環への参加をミッションとします。
 
ビジョンモデルの指標である「好売上と好対価」に対応できたアートウェアのつくり出す好循環社会。
元をたどれば、アルトリーブンを備えたマークスの実効が、経営環境をよくしてくれるのです。
 
マークシングはアルトリーブンで育ちます。
アートウェアはアルトリーブンで育ちます。
そのアルトリーブンはSHIPリーダーから生まれます。
 
こうして見つめるとき、成長への段階は一つずつ踏むしかありませんが、好循環へのみちは、必然的に繋がります。すなわち、マークシングによる企業社会のみちは、生活社会の求める豊かな環境に繋がるのです。
 
企業社会にはさまざま、「成長のきっかけ」が潜んでいるといえます。
企業という創造の場は、私たちに考える機会を無限に与えているともいえます。人は生まれて、それぞれが自立のきっかけをつかみ、それぞれが成長して行くように。
 
企業とは元来、優れた人材を集約した経済活動のプラットホームです。就職も就社も、あるいは起業も、創造力が人材の成長をあとおししてくれます。そのためにも、企業は、アベールを渇望する労働にこたえなくてはならない——といえるでしょう。

 

 

⑶ SHIPリーダーの展開

 

 

 

ちなみに、「」という漢字のつくり「八ロ」は、穿(せん)の意に通じ、木の「」をうがってつくった意味を表わしているそうです。それは「沿」の意にも通じ、川の流れに沿って上下する乗り物だといいます。

 

幹は主要部・中心を意味し、旗竿、柱をも表すそうです。

つづめれば船とは、うがったその幹、基幹に人を乗せて目的地へ運ぶ乗り物であり、人類はその船をよく知っています。
 

またshipの語源も同様に、木の幹をくり抜いたもので、成功、富、希望などの象徴とされるところから、遥かいにしえより頼られ親しまれ、実生活に密着してきたのがshipというものである、と。
 

大型船ともなれば、さながらシンメトリ社会になぞらえることができます。雇用モデル(乗組員)と需要モデル(乗客)を抱え、安心・安全に目的地へと航行するミッション(アベールの創造役(SHIPリーダー)を果たします。
 

SHIPリーダーの概念は、そこにも通じます。
 

船の安全航行においては航海術が必要です。それは、航路の方向性、安全性、安定性、安心性、安息性、操縦性など、洋上から接岸までの操縦頭脳は、多くを求められます。


マークシングにおいては、それが「SHIPリーダー」なのです。
 

SHIPリーダーとは言っても、個人ではなくシステムです。

航路の方向性、安全性、安定性、安心性、安息性、操縦性などとまったく同様、業界全体・全局を判断しながらの独自路線を航行します。

 

      —— S・H・I・Pのブレーン ——

 
ブレーンS:ストーリー …success story:「循環律の方向探索」
(いわば、トライアルの入り口)
 起点はこのSですが、SHIPリーダーは「S→H→I→P→S→…」のサイクルを遂行します。独自路線として、なぜその/基軸/循環律がいいのか、「成功の物語(受け身のニーズというよりマークスの魅力コンセプト)」をここで表明します。
 
 ニーズはあとからついてくる——それがマークスのプレゼンスです。

 
ブレーンH:いける前提 …hypothesis:「仮定のリセット≡チューニング」
(チューニング/hit-hertz の設定) 
 未知数が売りの未来にアピールするマークスは、常に「仮定/仮説と試行/検証」の繰り返しを基本動作とし、志向性を高めます。基本は「売りの発信」です。組織においては、常に引き出しの優先順位を明確にし、当面の「生販構想」を共有します。
 
常に「テイスティング/リサーチ」あり——未来との交信とを重視。

 
ブレーンIつくる組織…indispensability:「柔軟な生産態勢」
(IEの理念/真の価値を探す。ムダはだれのためにもならない)
生産に必要不可欠な様式が三つあります。①UGA様式、②カートリッジ様式、③リンケージ様式です。それらによって、生産プロセスのリプレース、他社との連携・統合・合併等を含む「生産技術のオープン展開」が求められるでしょう。
 
注①:UGA様式とは
U(universal):目的にかなう自在・万能性をいい、固定観念の解消によって柔軟に「基軸」を刷新する。
G(grazing):生草を与える放牧様式をいい、生きた魅力を追求・導入するために、基軸改革にもとづいて「新機軸デザイン」を柔軟に刷新する。
A(active):マネジメントの本質である「問題を解く能動性」によって、ビジョンモデルに照らした機会損失を絶えず追求・解消する。
 
注②:カートリッジ様式とは
マークスの要件に呼応するために、生産プロセスの構成要素を、差し替え可能なカートリッジ様式を含め、柔軟な工程設計を可能にする。
注③:リンケージ様式とは
社内におけるカートリッジ様式にたいし、社外の生産プロセスをも活用して「効果と効率」を究める様式(業務提携の類に展開)。

 
ブレーンPさがす組織…perspective:「ダイナミックな研究開発」
(いわば、チューニング担当/pioneer for Art-Leben)
ここでは「S」へのフィードバックを重点とします。
管理の本質とは「企業のリスク(エラー)を最小にして収益を最適にすること(ビジョンモデル)。そのために、企業のなかのあらゆる機会損失をなくすこと」です。
 
このブレーンは、「基軸(公転)×機軸(自転)」の創造力を有します。
 
まさに、「パースペクティブperspective」です。
展望、相関関係、総体的な見方、大局観、遠近に応じた見方、客観性、透視図法など、マークシングに求められる見方・考え方は、これに凝縮されています。
 
「さがす組織」とはたんなる研究開発組織ではなく、パースペクティブなマクロ行動(全体最適と個別最適の双方向性)が要求されます。具体的な作業には、綿密なプログラムを必要とし、そこでは、広くて深い発想法を駆使しなくてはなりません。

 

 

⑷ 実効のマネジメントで組織づくり


 

 

 SHIPリーダーで「基軸×機軸」の志向展開がなされますが、いっぽうで、その「実効のマネジメント」も欠かしてはなりません。むろん、これはSHIPリーダー機能の一環ですが、そこには、成果管理の「履行力」が求められます。
 

ここでいうマネジメントは、大きく二つの要素で構成されます。それが「中枢機能(コントロール)」と「実践機能(オペレーション)」です。前者は「ユニバーサル性」、後者は「パフォーマンス性」が求められます。
 

全体は「(循環律)」「(労働生産性)」「(好循環)」をもって前進します。(現実・現物・現場)によって、(アベール:甲斐)が創造され、最終的に「好売上と好対価」の「」を達成するのです。その実効の状況は、インジケーターのとおりです。
 

航行には道標が必要で、北半球には北極星、南半球には南十字座(crux:クラックス)が煌めきます。この船は、大陸から離れた南半球を航行します。独自路線を案内する後者の星座は天の指極星(ポインター)であり、正しい方向を指しています。
 

クラックスはサザンクロスとよばれて親しみ深いです。が、皮肉にもその星座の近くにニセの十字星も見えていて、本物に比べ、どことなく存在感は薄く、方向性も怪しく、偽の光でちゃっかり居座っているから要注意です。

 

 

3.マークス優先化の意思決定(decision-making)

 

⑴ 基軸改革の鍵 循環律を見きわめる

 

太陽を消費者/生活社会とします。任意の地域単位において、各々の惑星たちは、自身の公転軌道(基軸)上で生きるしか、パイの独自性はありません。
 

そこで、各々が共有すべき“循環律”によって、棲み分けを方向づけるのです。「積極的かつ能動的な居場所の探索」です。
 

いかなるアルゴリズムでその方向づけを探求するかは、

おおむね、七つ「A・I・C・H・O・R・D(アイコード)」の発想視点を生かし、そこから最終的に、基軸(ピボットいわばジャンル)を探求し「マークスの方向候補」をピックアップするのです。
 

   —— A・I・C・H・O・R・D について ——
 
 A:aim area(一般社会にありがちな問題意識より)…分野の転換
 
 分野探索による… 例一:ユース価値…使用価値を求める分野探索
         例二:キープ価値…機会価値を求める分野探索
         例三:ピース価値…共生価値を求める分野探索
  I:inevitability(技術的な制約事情より)…自己管理機能の転換
 知財事情による…例一:知的財産の蓄積にて衝突回避
           例二:業務提携の活用にて衝突回避
           例三:OEMや事業の合併で衝突回避 
  C:concept(内包/外延の関係性の活用より)…高次価値の追求
 価値探索による…例一:vertical(垂直移動)で思考展開
           例二:horizontal(水平移動)で思考展開
                   例三:merger(合併/統合構想)で思考展開
 ここまでは「AとI」、「CとI」がセットのプロジェクトによる。
   H:high mode(衝突・干渉のない空間回避策で)…神化性の創造
   高度様式による…例一:ハイ(高 high)で深化論
          例二:ホン(本 real)で真価論
          例三:ヘン(変 mutation)で進化論
   O:only(the first only:以下のような各種発想法より)…関心軸の転換
 空席確保による…例一:連想展開から
           例二:自動詞発想・他動詞発想から
           例三:ウォンツ発想(例:衣・食・住・移動)から
   R:revitalization(cultivation of regional worth)…地域性の転換
 地方創生による…例一:anti-shutter(商店街の景色)を重視
           例二:regional worth(資源価値で町おこし)を重視
           例三:event/festival(祭り・コミュニティ)を重視
  D:dimension(changing dimension & transformation)…未来性の転換
 次元価値による…例一:vertical shift(垂直「上位/下位」概念に移動)
           例二:horizontal shift(水平移動/垂直概念に移動)
           例三:dimension of earth crisis(地球危機次元に移動)

以上、七つの枠組のいずれかの枠組から基軸候補(マークスの方向候補)が誕生すれば、すなわち循環律の選択肢が用意(provision)されたことになります。

その候補にたいして、具現化の検討を行うプログラムが、後述の「CONCEPT」です。

 


⑵ マークスのデザイン「CONCEPTプログラム」

 

 

ⅰ CONCEPTプログラム

 

ミッションキーパーのかなめは「SHIPリーダー」、「SHIPリーダー」のかなめは「P」、「P」のかなめが、この「CONCEPTプログラム」です。これで「基軸の方向づけ」がなされれば、新たな「SHIPリーダー」へとインプットされます。

 

      —— CONCEPT 四つの大枠 ——
Consolidation by Communication Engineering for Project Team
      (プロジェクト活動の発想統合)
 
クォーターⅠ基軸候補のモチーフ発想(マークスのイメージづくり)
アウトプット:モチーフ(マークスへの希望点)
〈概要〉
インプットはAICHORDによって発想された「基軸候補(マークスの方向候補)」、つまり棲み分けの様式候補(=循環律の選択肢)です。発想、発想、発想…です。
一個や二個ではありません。AICHORDからは、ザクザクと着想が生まれてきます。
 それを材料に、プロジェクトで集中して、発想拡大をします。
そこで、体系図が育って行きます。
 
CONSEPTプログラムは、事業の独自路線を具象化するプログラムです。なかでも本クォーターは、マークスの「可能性と成長性を育てる重要なキー」を見つける第一歩です。
 
アリストテレスのいう可能的状態(ディナミス)を見極める段階です。そのために、まずは「可能性と成長性に資するモチーフ」を抽出します。それには「循環律としての条件〇〇な独自性をもつこと)」が表現/表象されていることが重要です。

 発想されたモチーフは、AICHORDの枠組ごとに、整理/体系化されます。
 
クォーターⅡモチーフの有効化と発想拡大(マークスの機能開発)
アウトプット:デッサン(基軸候補×モチーフによる下絵)
〈概要〉
インプットは「断片的なままのモチーフ(=マークスへの思いつき希望点)」と「そのこころ」です。それをもとに、「モチーフの構成分析機能追加」によって「デッサン(下絵)」を積み上げます。またも発想、発想です。

 構成分析は、発想者の説明をもとに行います。それをもとに機能追加を行います。また、その作業中に、「新たなモチーフ」が発想されることは多分にあり得ます。そのばあいは、一旦クォーターⅠの作業にフィードバックします。

モチーフをもとに、抽象を具象へ、具象を抽象へと、双方向を繰り返す発想を拡大することにもなります。かくして、本クォーターを忠実に進めることで、創造活動の醍醐味を楽しめます。そこではプロジェクト効果が生きているのです。
 
創発」は、このような環境で起きやすいのです。
先行する条件からは予測や説明のできない新しい特性が生み出されるのです。
 
こうして、デッサンは「モチーフ×複数」のかたちで膨らみます。
その流れにしたがって、「モチーフレベル→デッサンレベル」に体系図は拡大します。そのうえで、デッサンを優先化しておきます。 
 
クォーターⅢデッサンの手直しと情報収集(マークスの魅力強制抽出)
アウトプット:ピース(実行可能デッサン)
〈概要〉
インプットは「断片的なままのデッサン(基軸候補×モチーフの下絵)です。
本クォーターの目的は、「基軸にふさわしいピース(実行可能デッサン=実行性が整備されたデッサン=適合素材)を積み上げる」ことにあります。

 デッサンの不具合(不足点など)を見つけ、魅力を強化します。
デッサンの否定ではなく、改良の目で育て合うことが重要です。
 
ここでの発想の主役はプロジェクトの外の目です。
その目的は、プロジェクト自体の固定観念を防ぐ意味と、第三者視点による希望点を収集する意味があります。ただし、流行りに釣られないことです。
 
この段階でも、まだモチーフ単位(断片的)で発想中です。
マークスを構成するピース(素材)のすべてが優先化されます。
以上をとおして、マークスデザインの準備はできました。

本クォーターにおけるアウトプットのかたちは、「モチーフレベル→デッサンレベル」に拡大した体系図に、さらにピースの体系を加えて成長します。
 
 
クォーターⅣマークスのデザインと提案(種の生き方の優先化)
アウトプット:ストーリー(生きる適性をもったピースの結合案)
〈概要〉
インプットは「ピース(実行可能デッサン)」です。
本クォーターの目的は、「トップへのストーリーの提案」です。優先化されたピースを、「新しい考え方(循環律)に結合し組み立てる」のです。

ピース(素材)を、どのような考え方で結合し組み立てるのか——

一つは、部門代表の枠組で「基軸×機軸」の考え方を準備してみます。
二つは、プロジェクトの「推奨案」としての考え方を準備してみます。
三つは、トップの意向を伺い、それにもとづいてピースの結合案を作成します。

 プロジェクトは、以上の結合案を新規事業企画の選択肢として用意します。提案をうけたトップは、それらを優先化(意思決定)し、ミッションキーパーへの移管を指示します。 
以降は、SHIPリーダーが回転します。

 

 

ⅱ 絶対価値を志向する


 

モノやコトには「よりよいもの」もあれば、「掛け替えのないもの」もあります。

「value:相対価値」のよさもあれば「wants:必要な価値」のよさもあります。あるいは「worth:絶対価値的な非相対性種の属性」のよさもあります。

 

その内の二つ目、三つ目になると、「独特性」「絶対性」「精神性」「本質性」「道徳性」など、絶対性寄りの価値を感じます。

そこに「種として生かせるよさ」がありそうです。

 

そんな見方をする世界に溶けこんでみるのです。

連想に決まりはなく、暗中模索、未経験で未開発な時空でさ迷うだけが近道なのです。

どこにきっかけがあるかは、考える人だけが知り得ることです。

 みんなで一斉にスマホを置いて、まずは無になるところから、ひたすらさ迷い、互いが絶対価値志向の空気を醸成するのです。発想を楽しむのです。

発想のプログラムは、実際にそれを実践し、状況によって工夫します。

 
AICHORDによる循環律探索も、CONCEPTによるモチーフ探索も、いずれも発想しやすい空気を必要とします。情報とは別格の、考える環境づくりからはじまって、目的に忠実に思考します。夢幻も含んで、無限に追求できる集中力だけが頼りです。

 

仏教用語にある事理(じり)には、世の中を現象と本体で見る考え方があります。すなわち、は因縁によって生じた差別的なすべての現象で、は因縁の造作を離れた絶対の真理をさすものです。そこにも、発想を助ける鍵はあります。
 

フッサールの現象学にも通じます。
現象(現れ・見かけ)を認識することと、絶対の真理を認識することはべつであるとする考え方。真理の認識を誤ると、多くの企画はみちに迷い、空回りします。
 

常に発想は多いほど、思考のシフトも、行動修正もしやすくなります。
プラン-ドゥ」×「チェック-アクション」は発想の原理原則に忠実なプログラム——それが志向性というものなのです。
 

マークシングは発想力を求めるのです。

発想は深いところに答えを探しにいくのです。それを発掘するエネルギーは相当なものです。

そのエネルギーで、創造指標に等化できるマークスを追求するのです。

 

 

4.ライフダイナミクス

 

生産の活動過程において、企業は他企業とのリンケージが欠かせません。各々の系の集合で形成される総和の枠組を企業社会とよび、そこでの労働の対価を糧に生活する総和の枠組を生活社会とよんできました。
 

正規・非正規の賃金算定基準を公正にできてこそ、従業員や協力企業は当該企業の徳行に安心できます。それらの精神面をも充たしてかなえられる連鎖的な活力を、ここでは「ライフダイナミクス(life dynamics:生活の原動力)」とよびます。 

 

 
人類の誕生より以前の、太古のむかしから進化・形成を重ねてきた生物の社会には、文字による法律はありませんが、自然の摂理のこしらえる進化はあります。

そろそろ人類の文明も、それに学ぶみちを構築すべきです。

 
ちからこころ調和すべきです。それを壊せば生活環境が壊れます。

事業力と企業力でアベールを守る——これは喫緊の課題だといえるでしょう。

ここまできた以上、だれの責任ではなく、皆で改革しようではありませんか。

こころあれば豊饒(ほうじょう:作物がよく実るほどに土地が肥える状態)が広がり、ちからあれば豊穣(ほうじょう:作物の出来がよい様子。五穀豊穣)が実現します。
それには、組織の「育成」もはからなくてはならないでしょう。
 

経営者単独で、マークシングができるわけではありません。
それは組織がやるのです。
経営は「好売上と好対価」の環境づくりをめざしてほしいのです。

 

 

エピローグ

 

企業は元来、シンメトリ社会の均衡で生きる活動体——です。 

その構造の是非は、神マークリィに見こまれてこそのもので、しかるべき成長経営なら、循環・繁栄に恵まれること、うけ合いです。

アベール(利益・働き甲斐)の創造は、神マークリィの熱望です。

 
神マークリィからみて、市場の競争原理は無用の長物といいます。
積極的・能動的に改革を進め、生活社会の困窮を救うべきです。
政府に求めても、国家予算の財源は企業社会が生むしかありません。
 

競争原理の惰性を止める力が必要です。
個別最適と全体最適の調和力も必要です。
実体経済成長の復原力は、マークシングに委ねるしかありません。
 

ソフトランディングしませんか。
内需繁栄の枠組で、マークシングのみちへと。 

 

令和6年note丸3カ月の吉日 

             現役を離れているスピアーレでした。

 

 

 

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