「まる子と城ヶ崎さんの地下ライブ」の巻き。

【登場人物】
まる子:地下芸人10年目。地上波の番組に出た回数は1回。出ているライブの大半はエントリーライブや知り合いの芸人主催の小さなライブ。すなわち地下ライブ。

城ヶ崎さん:昔アイドル芸人としてすぐに売れた元エリート。しかし引退、その後再活動を試みた時には仕事がなく、まる子から地下ライブの世界を紹介される。
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城ヶ崎:私また、芸人始める事にしたの。さくらさんっていつも色々ライブ出てるわよね?私に紹介してくれない?
まる子:いやぁ、でもあたしが出てるのは地下ライブだよ?そんなに甘い世界ではないよ?

城ヶ崎:もちろんいいわよ。さくらさんがよく出てる、ゲラゲラ山田ライブっていうやつ、私も出てみたいな。
まる子:あぁ、山田が主催してるやつね。

城ヶ崎:え?もしかしてうちのクラスの山田?

まる子:そうだよ。山田って芸人とか主催とか色々やってるからさ。

城ヶ崎:え?山田って芸人なの?

まる子:うーん、なんていうか、自称芸人?地下芸人ってのはそういう文化なんだよ。誰でも名乗ったら芸人だよ。

城ヶ崎:そうなのね。じゃあ出てみるわ。

まる子:山田に言えば出れるよ。エントリー費は二千円だよ。 

城ヶ崎:え?出るのにお金がかかるの?

まる子:そりゃそうだね、地下ライブってさ、箱を借りるわけじゃん。借りてそこに出させてもらえるからね。箱代を出演者で割って出すのがエントリー費、チケットノルマだね。

城ヶ崎:え、でもさくらさん、戸川先生主催のライブはノルマ払ってないわよね?

まる子:あぁ、あれは戸川先生がボーナスを基金にしてやってくれてるね。そういうパターンのもあるけど、戸川先生が選んだ人が出てるって感じかな?
城ヶ崎:いきなり誰でも出られるわけじゃないのね?
まる子:まずはエントリーライブにノルマを払ってエントリーして、色々出るんだよ。そのうちに人脈が広がって、いろんなライブから声がかかるようになったらラッキーって感じかな? ライブ色々やってるみまつやのおじさんに気に入られるのも早いかもね。

城ヶ崎:なるほど、まずはエントリーからが基本なのね。私、昔の売れてた時そういうライブに出た事がなかったわ。全部オファーだったわ。

まる子:城ヶ崎さんみたいなエリートなパターンは凄いよ。デビューしてすぐおもくろ荘出て、そっからのブレイク凄かったもんね。 

城ヶ崎:過去の話よ。また活動するなら私、一から頑張りたいわ。


ライブ当日

まる子:ここが会場だよ!

城ヶ崎:え、なにここ?

まる子:主催の山田がみまつやさんの店の奥を貸切りにしてくれたんだ

山田:あははは!ここなら箱代も安くてコスパがいいじょー!みまつやさん、貸してくれてありがとう。
みまつや:なんのなんの。狭いとこだけどこんなスペースで良かったら使ってね。

まる子:あ、はまじおはよう!

はまじ:よぉさくら。

まる子:藤木おはよう。

藤木:おはよう。あ、城ヶ崎もエントリーしたのかい?珍しいね。

城ヶ崎:あ、あはは。みんな、おはよう。

ねぇ、さくらさん、ライブって男子ばっかりじゃない?

まる子:そうだね、女芸人ライブでもない限り、女子って少ないんだよ。

(急に目の前でズボンを脱ぐはまじ)

城ヶ崎:えっ、ちょっとはまじ、いきなり女子の前でパンツにならないでよ!

はまじ:だって着替える場所ねーからよー

城ヶ崎:あの、さくらさん、楽屋はどっち?

まる子:え?ないよ。あたしゃここで着替えるよ。 そうだ、城ヶ崎さん、トイレの中で着替えられるよ!

みまつや:狭いトイレですが、どうぞこちらで着替えて下さい。

城ヶ崎:は、はい…。(え、ありえないんだけど)  

まる子:この辺の通路でメイクとかする感じかな。
城ヶ崎:え、通路で!?まぁ、楽屋がないって事は、そうなるのかしら? 手鏡を持って、ここに座り込んでメイクするしかないのかしら?えぇ… やりづらいわねぇ。  

まる子:地下ライブではよくある事だから、楽屋があるライブは贅沢だねぇ。あ、みどりちゃん!
みどり:こんにちは。私も今日エントリーしてみました。ライブ出るの初めてなんです。私、お笑いが好きで。

城ヶ崎:(え、絶対この子、芸人さんじゃないわよね?単なるお笑い好きの人よね?)

みどり:あら!あなたはもしかして、おもくろ荘でブレイクされた、城ヶ崎姫子さん!?私、ファンなんです!!サイン下さい!!

城ヶ崎:え、あ、サインね…。いいわよ。はい、みどりちゃんへ。

みどり:わぁ!光栄です。同じ舞台に立てるなんて、芸人になって良かったなぁって思いました!

まる子:地下ライブってのはね、楽屋で有名な人と一般の人が混在する事もある、カオス極まりない世界なんだよ。


後半へ続く

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