【アングラネタシリーズ】「さきこ、Vチューバーにハマる」の巻き③


さきこはヒカルの配信にいつもいる、ヒカルと同じライバー事務所、64ライブ所属の野口さんの存在が気になっていた。いつもロムっていて何もコメントしない。

さきこ:いつもいるこの野口さん、まる子のクラスの野口さんよね?ヒカルと同じ事務所なら、何か知ってるかもしれない!

さきこは学校で野口さんに声をかけた。

さきこ:野口さん、あの、いつもヒカルの配信いるよね?なんでいつもロムなの?同じ事務所だよね?会った事あるの!?

野口:クックック、言えやしない。まあ、案外身近な人かもね?

さきこ:え!!やっぱり会った事あるんだ!?ねぇ、ヒカルってどんな顔なの?ヒデキ似?

野口:しーらない。クックック。この前アイス奢ってもらったよ。

さきこは羨ましくて仕方なかった。そこで、同じライバー事務所64ライブに入れば、ヒカルに会えるんじゃないかと思った。

しかし、ガチ恋認定されていたさきこは所属審査に落とされた。

さきこ:こうなったら、お小遣いたくさんためて、☆5特典のディスコの通話をして、一番親しくなるしかないわ!

さきこはついに☆5バッチをとった。ライバルのよしこさんを抜いた。ヒカルもすっかりさきこがお気に入りだ。

ヒカル:「さきこ、ありがとうな!俺、夢見てるんじゃないかと思ったよ。マジでなんでも叶えるよ。干し芋全部買ってやるし、通話もするよ!」
※干し芋=Amazonの欲しいものリスト

さきこは干し芋なんてなかった。何もいらない。ただヒカルに会いたかった。そのためにはまずは野口さんと親しくなる事にした。そこから繋がる作戦だ。

さきこ:野口さん、私ついにヒカルの枠で☆5とったよ!

野口:クックック、凄いね。今日、町内ののど自慢大会あるでしょ?そこに行けばいい事あるかもよ?

さきこ:もしかして、ヒカルが出るのかな?ヒカルの歌枠最高!

公園に行った。

みまつや:町内ののど自慢大会にお越しいただきありがとうございます。エントリーナンバー1、しらす中学1年生の、田中たかし君です。

少しだけかっこいい男子が登場した。

さきこ:もしかして、あの人がヒカルなのかな?少しタイプかも?♡ ねぇ野口さん、あの人なの?

野口:さぁね? クックック。

それから数組他校の男子たちが出演した。結局そこにヒカルがいたのかどうか、さきこはわからないままだった。

すると、その場で見ていたよしこがいきなり泣き出した。

よしこ:うっ、うっ。(泣) そんな…… 辛すぎる。つらみ。私、ヒカルにこの1年で100万も投げていたのに… イケメンだと信じていたのに!!夢が壊れたわ!! 

さきこ:え?よしこさん!?どの人がヒカルだかわかったの?

よしこ:うん、私、声で気付いちゃった… 声が一緒なんだもん!!!


そう、よしこだけはみまつやがヒカルだと気付いてしまったのだ。

よしこ:さくらさんは夢を壊さない方がいいから。それじゃあ、さようなら。

さきこ:よしこさん!!


しかしまださきこは夢を見ていたのだ。

さきこ:あのヒデキ似のヒカルが、ブサイクなわけないわ。私はこれからもヒカルの枠で毎月☆5とるのよ!

野口:クックック…!!(笑)

こうしてさきこは毎晩疑似恋愛を楽しんでいた。いつの日か会える事を信じ、希望に満ちていた。世の中には知らない方がいい事もあるものである。


みどりちゃん編へ続く


〜  さきこ編  完 〜

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