「まる子のR-1」の巻。第4話

ライブ会場にて。

はまじ:さくら、俺の分まで頑張ってくれよ。

まる子:はまじ、ありがとう。(はまじはウケてたなんて簡単に言えないよ。あたしだって落ちた翌日受かった藤木がいて、あたしの方がウケてたのに落とされたんだ。でも藤木は何も卑怯な手なんて使ってないから、藤木は悪くない。でも何も触れてほしくなかったもんだよ)

大野:おいはまじ、俺も落ちたぜ!

まる子:ちょっと!大野君は杉山君とコンビだからR-1で落ちても何もダメージないじゃん!はまじとは訳が違うでしょ!?

山田:アハハ!おいらなんてピンだけど、10年連続1回戦落ちだじょー!

まる子:山田、アンタは、落ちたじょー!って悲しい顔した写真載せて、気持ちに余裕がある証拠だよ!はまじなんかね、あれからまる2日何もツイートしてなかったよ!

そんな中はまじがやっと口を開いた。

はまじ:なぁさくら、俺が落ちたのは、作家の野口の兄貴の意見聞かなかったからじゃないぜ?

まる子:アンタそりゃそうだよ。誰になんて言われようと、自分が面白いと思った事信じないと後悔するよ。
はまじ:おう、俺は野口の兄貴のためにお笑いやってるんじゃない。あいつの操りマシーンになるために、お笑いやってるんじゃないんだよ。 

(回想シーン)
野口兄:君はネタに恋愛の要素が足りないんだよ。俺だったら柿絵へのラブソングのネタにするぜ?お前もラブソング作ればいいさ!そんなわけわからないショートコント辞めてさ。
はまじ:あの、俺、このショートコント、ライブでウケて自信があるんです!これが俺のやりたい事です!
野口兄:は?それはどうせ君のホームのライブで、お客が身内だからウケたんでしょ?じゃあ全員が大爆笑したわけ?(笑) 審査員がそんなネタ上げるわけないよ?

はまじ:(ダメだ、コイツは何を言っても話にならない)
は、はい!わかりました!ネタ変えます!

(回想シーン終わり)

はまじ:んなわけねーだろ。言われた通りに変えてウケなかったら無責任に、「ネタの中身は君自身が考えなきゃ」とか他人事の言葉を投げるだけさ。こっちは人生かけてるのによ、冗談じゃないぜ。

そして、あっという間に準々決勝の日が来た。
まる子は全力で臨んだ。ネタは変えなかった。しかし、これまでと比べて若干ウケが足りてないと自覚した。そして案の定、準決勝には進めなかった。

はまじ:でもさくらは準々決勝、十分すげーよ。
まる子:アンタ、そんな慰めはいらないよ。せめて決勝行かなきゃどこで落ちたって一緒だよ。
そしてからかってくる親戚。

ひろあき:やーい!バカまる子!

まる子:ひろあき、アンタにはまだわかんないだろうけどさ、何かに一生懸命になる事は、決してカッコ悪い事じゃないんだよ?他人に何か言われたってさ、自分を信じて結果が出れば、その経験がこれからの長い人生を強く生きる糧になるって事をさ。

ま、あたしだって、ちょっとダサいかなと思ってるけどね。でもなんだろうねぇ、これが全てだと洗脳されてしまうかのようなさ。あたしも、みんなも。ちょっぴりダサくて、すごくカッコいいこの季節は…。

そして準決勝の日。決勝進出者の発表が。その中には、まる子と同じクラスの野口さんが入っていたのだ!!!

野口さんは決勝進出は3回目。いつも惜しいところで優勝を逃している。

まる子:いやぁ、野口さんまた決勝。本当に凄いよね。

はまじ:おう、野口は決勝いける強いネタを、毎年毎年パッケージごと変えて、よく弾切れしねーよ。こればかりは才能だよな。

まる子:そうだよ。普通みんな毎年賞レース用に勝負ネタをこすってさ、一度ある程度勝ち上がったネタだと、再び勝ち上がる事はないからね。
はまじ:余程ブラッシュアップできてたら別だけどよ、何十回とこすって、もうどこをどう直していいのかわかんねーよな。

まる子:もっとウケる方法はいくらでも存在するんだろうけど、それが思いついてたら優勝してるよ。限界あるよね。

はまじ:でも野口はその限界を超えて毎回すげーもん作り出してる。

まる子:努力と才能、この両方が大切なんだねぇ。

そしてR-1決勝当日。みまつや主催の町内会で、みんなで集会所に集まってR-1観戦。そりゃあ同じ町内の野口さんが出るもんだからみんなの期待値が高まる。野口さんのおじいちゃんも張り切っている。

そして、MCの戸川先生が発表する。

「優勝は……!! ポーカーフェイス野口!!」


まる子:野口さんだ!!やったね!野口さんがついに優勝したよ!

はまじ:野口すげーな!明日学校で祝杯あげよーぜ!


最終章へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?