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「TSUNAMI」の心配

※2011年6月の日記再掲

「1位をとった名曲歌合戦」というテレビ番組をやっていた。

新旧いろいろ、懐かしい歌も多く聴けた。

 

もちろん、我らがサザンも登場。

「いとしのエリー」のライブ映像が流れた。

そして、もう一曲は桑田さんのソロ曲「祭りのあと」が取り上げられていた。

 

「1位をとった名曲」として、サザンナンバーで「いとしのエリー」が挙げられるのは納得だ。

(他のアーティストの曲もオリコンチャートに固執していない選曲のようだった)

 

しかし、もう一曲を選んで、「祭りのあと」を持ってくるのは…これはサザンファンの選曲。

テロップで、桑田さんのソロベストアルバム「TOP OF THE POPS」が1位と出ていたので、その絡みでの選曲だったのかもしれない。

 

「祭りのあと」はライブでも毎回のように演奏される桑田さんの名曲。

しかし……

エリーと対になるサザンの「1位をとった名曲」は…

「TSUNAMI」じゃないのか?

 

まさかとは思いながら、「TSUNAMI」がかかるのか?!とドキドキしながらテレビを見たよ…。

しかし、やっぱり「TSUNAMI」はかからない。当然かもなぁ、、、

 

たぶん、きっと……

まだまだしばらくはメディアで流れることはない自粛ソングになってしまうだろう。

 

それほど、今回の大震災は多くの人の心に深い痛みを与えたのだ。

多くの犠牲者を出した津波が、そのままタイトルなんだものなぁ…。

 

以前、カラオケに行った時、友人に聞かれた。

『TSUNAMI』は、なんで津波なの?」

 

………津波だから、だよ。

この歌で歌われているのは、
何年経っても消えることのない傷を心に持った人の心象風景。

 

今はもう、当時とは違う生活を送っているのに

ふとした瞬間に、よみがえる感覚、記憶、あの日の光景、

張り裂けそうな感情……

 

あの日、全てを唐突に失ってしまった。

予測できなかった。

何が起こったのかさえわからぬまま、

ただ…呆然と、なすすべもなく、圧倒的な強大な力の前に、震えながら立ち尽くしていた。

気付いた時には、既に全てが姿を変え、

永遠と信じていたものは、見事に破壊され、

一番大切だと思っていたものを奪われた。

 

…そう、まるで「津波」に襲われたかのように。

 

♪津波のような侘しさに

という一節も、今なら意味がわかりやすいだろう。

津波に襲われた後の、あの無残な町の風景。

人は居らず、家々は壊れ、

一瞬前までは大事な家財だったものは、瓦礫となり……

あの空虚さ。

深い悲しみ。

その心象風景が歌われているのだ。

 

今では、もう決して取り戻せないとわかっていても

何度も夢見てしまう。

あの人に、もう一度会いたいと願ってしまう。

もう一度、愛されたい。愛し合いたい。

 

決して叶わない夢だと、わかっている。

想うたび、余計つらくなるだけなのに

それでも何度でも願ってしまう。

 

そういう曲だから、

きっと…震災の被害者の方が今、聴くと…

この曲は、ものすごく痛いんじゃないかと思う。

 

実際、私はこの曲が痛くてたまらなかった。

聴くと、フラッシュバックがきて…

当時、大ヒットして、テレビでもラジオでもよく流れていたので、本当に参った。

 

でも、なんでこの曲でこんなにつらいんだろう?

他の人は「TSUNAMI」を聴いて、なんとも思わないんだろうか?と考えて

そこを糸口に、自分の悲しみを整理できたし、

みんな、それぞれに悲しみを胸に持っていることを知った。

 

♪本当は見た目以上 打たれ強い僕がいる

 

この歌詞のように、

癒えない悲しみを胸に隠して、それでも人は生きていく。

思い出しては…やっぱり、泣いてしまうのだけどね。

 

…今は、まだ聴けない「TSUNAMI」だと思うけど

この曲はそれでも残る名曲だから、

いずれ……街中で流れる日も来ると思う。

 

大きな悲しみを抱える人には、聴くとつらい曲かもしれない。

だけど…気持ちに寄り添って、心の奥に溜まった涙を流させてくれる曲だから。

そうして、

♪深い闇に夜明けが来る

ことも、

♪きっと世は情け

ってことも教えてくれる前向きな曲だから。

 

たぶん、きっと……

ずいぶん後になるかもしれないけど、

再び人々に歌われる曲になると思う…。


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