このところ、メインの仕事は小学英語である。ふだんは高校英語が多く、ときどき大人(一般)向けや中学英語が入る程度。たまにしかやらない小学英語は新鮮そのものだ。
 小学英語は独自の要素が多くてわたしにとってはかなり負荷が高い。というのは、見なければならない「英語以外」の要素が盛りだくさんなのだ。
 まず音声。例文は簡単だがファイル数が異様に多く、それがすべて正しい箇所に入っているかを確かめねばならない。
 小学生の興味を引いて学習させるため、体裁や場面設定も頻繁に変わる。ビジュアル(イラスト)がその設定にきちんと合っているかどうか、特にキャラクターが正しく入っているかどうかを一場面ごとに見る必要もある。
 説明や和訳文など日本語の箇所も、学年配当漢字に沿っているかも要確認だ。つまり国語教材校正の要素も入ってくるというわけである。
 そう、ここで驚いたことがある。教材界の人なら頷いてくれると思うが、「こども」の表記問題。つまり「子ども」か「子供」のどちらなのかということだ。
 教材執筆者としてのわたしは、中高生教材や模試はずっと「子ども」と書いてきた。「子供」と書くと「『供』は差別的な語なので使うべきではない」と、以前どこかで誰かに吹き込まれたので、それを守ってきたのである。
 もちろん文化科学省では「子供」は差別的ではないとしているが、いまだに根強く「子ども」と書かねばならない空気があると感じていた。何せ衆議院で「質問主意書」が上がってくるくらいなのだから。

 というわけで、「子ども」と書いて何か指摘されたことはないし、校正で朱が入ったこともない。
 では、校正者としてはどうだろうと考えてみたが、おそらく同じ考えの人が多いのだろう。中高生向け教材や模試では、わたしに回ってきたものはほとんど「子ども」と書いてあった。
 「子供」は5%くらいだったと思う。もちろんスルー(ノーコメントと)したが。
 さて、これまで無難にそうしてきたのであるが、今回渡されたリストに「5年生は『子ども』、6年生は『子供』+ルビ」とあった。
 「子供」を使うと明記されたのは初めてである。自分のなかでは「ほーーーなるほど。ついにこういう動きがでてきたか」という感じである。
 そんなこんなで、慣れない小学英語に悪銭苦闘中である。noteの投稿もしばらくは「日記」のみになると思うので、「校閲」関連記事が読みたい方はマガジンのみをフォローしてくださいませm(_.._)m。

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