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米ぎらい

この前、はじめて土鍋で米を炊いてみた。無印良品の1〜2人前用の軽量土鍋を買ったのだ。無印はおこげをおいしく炊けるのがウリの高さのある土鍋も売り出しているが、米研ぎから吸水、そして炊飯までネットの情報を見ながらおっかなびっくりやってみたところ、二合のお米がそれなりに美味しく炊けた。
米に対する意識が高いわけではなく、むしろその逆である。実はあまり白飯が好きでない。なんだかむっとするあのにおい。あと保温や冷凍に失敗したとき!あの輪郭を失ったぐじゃぐじゃした米は泣きたいほどまずい。あと、お弁当箱によく冷まされないまま入って、フタの内側に滝汗をかいたお米。小学校や中学校のとき、あのステンレスの四角い箱に入ったじっとりした給食のお米がどれだけ苦痛だったか。パックの牛乳との相性も最高に最悪だ。
稲全体が嫌いなわけではない。まず、田んぼは大好きだ。米の進化形としての餅やおせんべい。愛してる。塩むすび、焼きおにぎり、卵ごはん、炊きこみごはん、カレーライスなど、何かと共演しているときの米からは目が離せない。明太子がメレデミー主演女優賞で、米はメレデミー助演女優賞である。
そんなわけで米自体は家に必要な存在だが、炊飯器。これがよくない。あまりかわいくない。かわいくないのにコンセントをひと口使うし、週に一度くらいしか出番がないのにけっこうなお値段である。高級炊飯器は釜にダイヤモンドなどが練りこんであったり赤外線がいろいろしたりして、10万くらいするやつもある。長くなったが、要するに「米を重要視していないのに炊飯器を買うのはモトがとれない」というネガティブな理由で土鍋に走ったのだった。うまく炊けなかったらあきらめて鍋をつつきまくるしかないと思っていたがひと安心である。
米が苦手な人ってあまり見たことないけど少ないのだろうか、と思って検索したらこんなのが出てきた。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2009/0408/233733.htm?g=01
「味のついてないお米が苦手」という人が多く、勇気づけられる。と思いつつ読んでいくと、やはりそこここに「日本人なのにお米が嫌いだなんて悲しい」みたいなことを書いている人が現れる。単なる食物の好き嫌いを超えて、お米を神聖視している人がやはり一定数いるようだ。そりゃ何でもおいしく食べられたほうがいいし、育ちも良さそうな感じがするけれど「日本人は米でしょ!」みたいな物言いには違和感を覚える。精米の手間やそれによって削られる栄養価を考えると、保存性の高さなどはともかく、米って主食としてそんなに優秀か?とも思うし。
世界各地の主食が苦手な人たちも、必要以上に憐れまれることはあるのだろうか。タロイモが苦手なために家族に迫害されるフィジー人に思いを馳せながらそろそろ眠る。でもわたしはタロイモ好きだと思うので、今度ちゃんと食べてみたい。

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