『ベイマックス』がすごいMakers映画だった

(※映画『ベイマックス』の結末そのものには触れていませんが、序盤の展開をかなり詳細に書いているのでできれば観てから読んだほうがいいです!ぜったい予備知識なしで観たほうが楽しい!!)

おそるおそるnoteを開いてみたら、11月に日記を書くと宣言して3回ほど怒涛の更新をしたあと、キノコナイトやMaker Faire Tokyo2014の日記を書こうとした下書きがダイイングメッセージのように残っていた。恐るべき三日坊主だ。

だがどんな書き散らしでもとりあえず書いておくもので、Maker Faire Tokyoについての下書きを見た瞬間、大みそかのレイトショーで観た映画『ベイマックス』と頭の中のピースがばっちりはまるものがあった。

うちにはテレビがないこともあって、ベイマックスについては正直「モチのようなロボが『私はベイマックス』と言いながら泣かせにくる」という事前情報しかなかったのだが、ツイッターのタイムラインではとにかく絶賛されまくっていた。

14歳の天才少年・ヒロと大学生の兄・タダシは、両親を亡くして叔母といっしょにサンフランソウキョウというサンフランシスコと東京を足して2で割らなかったような街に暮らしている(神戸や長崎のチャイナタウンのような趣もあり)。「ワイは違法のロボットファイトで稼いで生きてくんや、誰からも教わることなんかねーよwww」とうそぶくヒロを、お兄ちゃんは自分が学ぶ大学の研究室に連れていく。「ここが科学オタの巣かよwww」と毒づきながら研究室に足を踏み入れるヒロだったが、そこでそれぞれ最先端の研究にいそしむ4人の変人学生たちを紹介される。さらに自分の作るロボットを動かす技術そのものを産みだした天才教授に出会い、「もうここで学ぶしかない!この大学に入れなかったらどうしよう!」と、いわば最新技術を消費する側から産みだす側に回るための壁にはじめてぶつかるわけです。「あれ?モチロボットなかなか出てこねえな」と思いながらも、お兄ちゃんと研究室の仲間たちのキャラクターを描く線がどんどん太く濃くなっていく。お兄ちゃんはただの血縁者じゃなくて、先を行く研究者で先輩で友達で仲間だから、お兄ちゃんが死んでしまったときのヒロの喪失感もずっしり伝わってくる。

この研究室の「いろんなおかしな人がおかしなままで好きなことやってすごいものを作ってめっちゃ楽しそうにしている」様子がすごい映像とテンポで描かれていて、それはここまで豪華じゃないにせよわたしが確かに知っているもので、何も悲しいことが起こっていないはずの序盤30分でちょっと泣いた。ヒロの「新しい世界がいきなり目の前に開いて、会ったこともないちょっとおかしな魅力的な人たちが現れて、最高に興奮すると同時に自分の小ささと創造性のなさを知って、同じ舞台に上がってはじめて人に全力で作ったものを見てもらって他人にマジでつまんない奴と思われるのが怖くて消え入りそう」な感じも、やっぱり知っているものだった。わたしが個人的にニコニコ学会βやMaker Faire Tokyoやいろんな研究者や生きもの関係者から感じて、自分がやっている昆虫大学のイベントにぶっこみたいなあと思っているエッセンスが最高に楽しそうに表現されていて、「そうだよなー!多様性って言葉にすると陳腐だけどクッソ楽しいんだよなー!しかも個々人が余計なこと考えずに好きなことやってるだけじゃなくて、隣や憧れの人を気にしてあちこちでいろんな花火が上がってる感じだよなー!ちくしょう!まさかディズニー映画にこんなメッセージもらうなんて、なんかもう今まですみませんでした!クッソ教育にいい!全子供と全大人、つまり全人類に見せたい!」と胸がつまっていたのだ。

最後に、実はMaker Faire Tokyo 2014で友達の展示を見に行ったわたしがいちばん楽しんだのは、横のフロアで同時開催されていた「豆腐&大豆食品フェア」であったことを白状しておきたい…。

Maker Faire Tokyoって、やはり電子工作や3Dプリンタやらレーザーカッターやらそういう作品が多くて、見た目やPVみたいなガワの部分もどんどん洗練されてきてるんだけど、工学の基礎の基礎体力がない者(ワイ)にとっては「なんかすごそうだけどどのくらいすごいのかよくわかんない。大体すごい」みたいな感想になってしまう。で、フラフラとSoyer Faire Tokyoのほうに流れていったら、こっちにも大豆食品の魅力に惹かれたMakerがけっこういて、それで大豆食品業界の最新の豆絞り機とかも展示されてて、豆絞り機械作ってる人たちなんかそれはもうバリバリのMakerなわけで、なんか楽しそうに混ざってる。常温パックで長期間保存できる生のお豆腐なんていう商品もあって、あまり考えたことなかった大豆業界の日進月歩ぶりにも気づかされる。「豆腐おいしゅい」的な感想もそうだけど、MakerとSoyerが創意工夫(ソイだけに)のところで意気投合してる瞬間がけっこう見られて、それもなかなか眼福だった。

ここまで書いて「なにか作ってるやつが一番えらい」的な話に取られたらいやだなあと思ったんだけど、順番が逆で「おかしな人がおかしなままでいられて火花が散ってるような場所からは最高に楽しいものが出てくる確率は高まるけど、別に人はおかしさとクリエイティビティがトレードオフの関係で生まれてくるわけではないので、個人レベルではとにかく自由で楽しいほうがいい」という感じだろうか。この辺はまた長くなりそうなので別の機会に。それにしてもベイマックスかわいかった!最高の大みそかをありがとう!!

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ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」http://mereco.hatenadiary.com/ 著書『ときめき昆虫学』(2014年4月/イースト・プレス)