昔話考察2

浦島太郎その2

この物語の主人公は言うまでもなく浦島太郎であるが、乙姫側に視点を変えて物語を見ると、これはこれで味わい深いというか、面白い


もしも乙姫が、あるいは乙姫とその周りの女たちが、物語の主人公ならどうなのであろうか?


ある日竜宮の女たちは話し合う

誰が一番魅力敵な女性であるか

そこで一人が提案をする

「漁師村の若者をそそのかし、だれが一番その若者を竜宮にとどめられるか競いましょう」

そこで、その使いにカメが選ばれる

カメは見事に太郎と接触し、竜宮に招き入れる

さぁ、宴の始まりだ

女たちは競って太郎を誘惑し、ありとあらゆる手段を使って自分の部屋に招き入れる

あるものは舞い、あるものは歌い、あるものは添い寝をし、あるものは激しく・・・

そんなことが幾日も幾日も繰り返された

太郎は女たちに精気を奪い取られ、みるみるうちに老いさらばえていく

女たちは太郎がその異状に気付かないように、術を施して太郎の若さを保った

しかし、そのような行為にいいうわさが立つわけもない

「もし、このまま太郎を村に返したら、竜宮でのあんなことや、こんなことが世間にしれて、竜宮の評判はがた落ちだ」

いよいようわさは、放置できないところまでひろまり、女たちは仕方がなく、太郎を村に返すことにした

しかし、このまま返すわけにはいかない

そこで、一計を案じ、「絶対にあけてはなりません」と言って太郎に玉手箱を渡した

人間、そういわれれば、開けたくなるもの

その玉手箱には仕掛けがしてあった

そんなことにも気づかず、太郎はとうとう玉手箱を開けてしまう

その玉手箱には、竜宮の女たちが施した若さを保つ術を解除する仕掛けがしてあったのだった

太郎はあっという間に老人になってしまったとさ

それを見た村の人たちは、誰も竜宮には近づこうとはしなかったとさ


めでたし、めでたし

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