昔話考察3

かちかち山

僕が物語を書くようになったきっかけは、この物語だったりする。

畑を荒らした狸

それを捕まえたお爺さん

狸にだまされたおばあさん

狸の悪事を成敗するウサギ

最近の絵本ではおばあさんは狸に乱暴をされてけがをし、ウサギは狸を懲らしめはするが殺したりはしない

僕が子供のころに聞いた物語とはだいぶ違っている

まず、狸はおじいさんにつかまって狸汁にされそうになる

殺されかけた狸は起死回生、おばあさんをだまし、逆におばあさんを殺して、おじいさんに「おばあさん汁」を食べさせる

そのショックで寝込んでしまうおじいさん

その話を聞きつけたウサギは狸をだまし、背中に火をつけ、やけどに塩を塗り、最後には泥の船で溺れさせて、櫓で頭をかち割りとどめを刺す


うーん、激しいね

でもさ、なんか引っかかるんだよね

おばあさんを騙せるほどの知恵を持った狸がなぜウサギのウソを簡単に信じてしまうのか


で、僕は考えた

きっと狸はウサギに惚れたのだろうと

そして、実は畑を荒らしたのはウサギの入れ知恵で、狸は実行犯に過ぎなかったのではないのかと


この物語で一番救われないのはおじいさんである

畑を荒らされるはおばあさんは殺されるは、その人肉を食べて寝込んでしまうわ

はたしてどれだけ狸がひどい目にあって殺されようとも、おじいさんの心はきっと壊れたままなんじゃなかろうか?

その心の隙間に入り込んで、ウサギはきっとおじいさんと仲良く暮らし、やがて遺産を相続するに違いないのだ


そう、僕は確信している

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