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【れぽ】エゴン・シーレ ウィーンが生んだ若き天才

▷エゴン・シーレ展  ウィーンが生んだ若き天才

だいぶ前のことになってしまいましたが、4月9日まで東京都美術館で開催されていた「エゴン・シーレ展」に行ってきました。
週末に行ったので会場は老若男女問わず多くの人でいっぱいでした。
シーレの他にもほぼ同時期に活躍していたクリムトやココシュカなど互いに影響しあった画家たちの作品も含めた数多くの作品を見ることができました。

▷エゴン・シーレ

エゴン・シーレは1900年代前半に活躍したウィーンの画家です。常識に囚われない作風で若くして才能を認められましたが、スペイン風邪の流行により、1918年に命を落としました。

▷作風と自画像

彼の作風は当時としては前衛的でかつクリムトの影響を受けた独特なものでしたが、前述のとおり多くの人や当時中心であった画家たちに認められてきました。
クリムトの影響を受けた豪華な配色で描いたものがある一方で、青白い色や血管を思わせるような色を人物画に用いました。
また、彼は自画像を多く描いておりそれらを通して、自らを分析し、死生観や不安感、孤独感などを表現しました。若くしてこれらを彼なりにうまく表現している点でも人生を達観した優れた画家と言えると思います。
最も有名な「ほおずきの実のある自画像」は散見される歪さにより、不安定さを感じさせる一方でその見下ろすような視線から挑発的とも取れるなんとも言い難い不思議な感覚を覚えました。

▷むすび

実は今回訪れるまで、彼のことはほとんど知りませんでした。
しかし、この企画展を通して彼の人となりや絵の実力を感じることができました。彼は、前述のような自画像や人物画の他にも風景画を描いていました。そこでも彼らしさを感じる物悲しい色使いや筆致での表現が散見されました。
しかし、自画像で自己の内なる部分を表現する彼の大きな特徴と言える表現主義的な描き方は晩年になるにつれ少しずつ薄れ自然主義的な描き方へと変化しています。ただ、若くして認められた彼だからこそ、その心のうちが表現された彼の絵に人々は心を揺さぶられるのだろうと思います。

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