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ライバーのための確定申告完全ガイド|経費のコツや必要手順をわかりやすく解説

はじめに - ライバーと確定申告の関係

ライバーという仕事は、今や多くの人々にとって収入源の一つとして注目されています。動画配信プラットフォームやライブストリーミングサービスが普及する中、個人が直接ファンと繋がり、リアルタイムで収益を得られるこの職業は魅力的です。しかし、ライバーとして収益を得た場合、避けて通れないのが「確定申告」です。

ライバーとは?

ライバーとは、YouTubeやTwitch、17LIVE、TikTok LIVEなどのプラットフォームでライブ配信を行い、投げ銭や広告収入、スポンサー契約などで収益を得る人々を指します。特に専業ライバーの場合は、自営業者としての働き方に近いと言えるでしょう。一方、副業ライバーも増えており、会社員や学生が空き時間に配信を行い、収入を得るケースも少なくありません。

確定申告が必要な理由

日本の税法では、年間で一定額以上の収入を得た場合、その収入に対して税金を納める義務があります。ライバーの収入は給与所得ではなく、「雑所得」または「事業所得」として扱われることが多く、適切に申告を行わなければなりません。適切な確定申告を怠ると、後々税務署から指摘を受ける可能性があり、場合によっては延滞税や罰則が科されることもあります。

特に、ライバー活動では以下のような特徴があるため、正確な収支管理が重要です:

  • 収益の多様性:投げ銭、スポンサー料、広告収入など、複数の収入源が存在。

  • 経費の発生:配信機材や通信費、イベント参加費など、必要経費が多岐にわたる。

ライバーとして安定して活動を続けるためにも、確定申告は単なる義務ではなく、自身の収入と支出を把握し、適切に節税するための大切なプロセスなのです。

確定申告が必要な条件とは?

ライバーとして活動する中で、どのような場合に確定申告が必要になるのかを正しく理解しておくことは非常に重要です。収入の種類や金額、職業形態によって条件が異なるため、自分が該当するかどうかを確認しましょう。

所得税の仕組み

所得税は、1年間(1月1日~12月31日)の所得に基づいて計算される税金です。「所得」とは、収入から経費を差し引いたものを指します。ライバーの収入は主に「事業所得」または「雑所得」に分類されます。

  • 事業所得: 本業としてライバーをしている場合や、収入が一定額以上あり継続的に活動している場合。

  • 雑所得: 副業としてライバーをしている場合や、収入が少額で継続性が低い場合。

この違いは申告方法や控除の適用範囲に影響するため、どちらに該当するかを明確にしておく必要があります。

副業としてのライバーの場合の基準

会社員や学生が副業としてライバー活動をしている場合、確定申告が必要となる条件は以下の通りです:

  1. 年間の収入が20万円を超える場合(雑所得の場合)

    • 年間で得たライバー収入から経費を差し引いた金額が20万円を超えると、確定申告が必要です。

  2. 住民税申告が必要な場合

    • 20万円未満であっても、住民税の申告が必要になることがあります。自治体によって異なるため、確認が必要です。

専業ライバーの場合のポイント

専業ライバーとして活動している場合、基本的に所得が少額であっても確定申告が必要です。事業所得として申告することで、青色申告が可能となり、最大65万円の特別控除を受けられる場合があります。

また、以下の条件も該当します:

  • 扶養控除を受けている場合: 扶養者として認められる年収は原則48万円以下です。この基準を超えると確定申告が必要になります。

  • 税務署の目に付きやすい: 専業で活動している場合、収入が途切れなく発生するため、税務署が把握しやすい職業とされます。

正確な判断が必要なケース

ライバーの収入が複数のプラットフォームや形態にわたる場合、確定申告が必要な基準を超えているか自己判断が難しいことがあります。以下のような場合は専門家に相談することをおすすめします:

  • 複数年にわたり収入が安定していない

  • 配信以外にスポンサーやイベント収入がある

経費として計上できるもの

ライバーとしての収入に対する税金を抑えるためには、正しい経費の計上が不可欠です。経費として認められるものを理解し、適切に記録・申告することで、節税効果を得られるだけでなく、税務署とのトラブルを回避できます。

必要経費の定義

税法上、「収入を得るために直接必要な支出」が必要経費として認められます。ライバー活動においては、配信や収録、ファンとの交流を通じて収益を上げるために必要なものが該当します。ただし、プライベートで使用した費用は経費に含めることができないため、使用目的が明確であることが重要です。

ライバーが計上できる主な経費

  1. 配信機材費

    • カメラ、マイク、パソコン、スマホ、照明機材など、配信に使用する機器の購入費。

    • 機器の修理やメンテナンス費用も対象になります。

  2. 通信費

    • 高速インターネット回線の利用料。

    • スマホの料金プランで、ライバー活動に関連する部分(通話やデータ通信料)。

  3. 撮影場所の家賃や光熱費

    • 自宅の一部を配信スタジオとして使用している場合、その割合に応じて家賃や光熱費を経費として計上可能です。

    • 比率の計算例:部屋全体の使用面積に対するスタジオ使用部分の割合。

  4. ソフトウェア・サービス利用料

    • 動画編集ソフトや配信プラットフォームの有料機能の費用。

    • サブスクリプション型の音楽ライセンスや、BGM素材の購入費も該当します。

  5. 宣伝広告費

    • SNSの広告費や、ファンを増やすためのキャンペーン費用。

    • 配信内容に関連する特別なプロモーション活動の費用。

  6. 衣装や小道具の購入費

    • 配信中に着用する衣装や、演出用の小道具、コスプレ衣装など。

    • 日常で使う服装は対象外ですが、「配信専用」であることを証明できれば経費として認められます。

  7. 交通費

    • オフラインイベントやスポンサーとの打ち合わせに参加するための移動費。

    • 電車やバスの料金、場合によってはタクシー代も対象です。

  8. 勉強やスキルアップのための費用

    • 配信技術を学ぶための講座やオンラインセミナーの受講料。

    • 関連書籍の購入費も含まれます。

節税のコツ

  • 領収書やレシートを必ず保管する
    経費として計上するには、支出の証拠が必要です。電子領収書も有効なので、確実に保管しておきましょう。

  • 事業専用の銀行口座やクレジットカードを使う
    プライベートと事業の支出を分けることで、記帳が楽になり、経費計上のミスを減らせます。

  • 毎月記帳する習慣をつける
    経費を正確に計上するには、定期的に帳簿をつけることが欠かせません。クラウド会計ソフトを使えば、自動で経費を分類してくれる便利な機能もあります。

確定申告の準備手順

確定申告をスムーズに進めるには、事前の準備が鍵です。ライバーとして収入を得ている場合、収支を正確に把握し、必要書類を揃えておくことで、申告の手間やミスを大幅に減らせます。この章では、具体的な準備の手順とポイントについて解説します。


必要な書類の一覧

確定申告で提出が必要な書類は以下の通りです:

  1. 収入を証明する書類

    • プラットフォームから発行される収益レポートや明細書(例:Twitchのパートナー収入、YouTubeのAdSense収益)。

    • スポンサー契約やイベント出演での支払い明細書や契約書。

  2. 経費の証明書類

    • 領収書やレシート(経費として計上するすべての支出)。

    • インターネット料金や光熱費の明細書(家賃や光熱費を経費に含める場合は計算の根拠も必要)。

  3. マイナンバーカードまたは通知カード

    • 確定申告の際に必要になります。

  4. 銀行口座情報

    • 還付を受ける場合は、振込先口座の情報が必要です。

  5. 源泉徴収票(副業ライバーの場合)

    • 本業が会社員の場合、会社から発行される源泉徴収票も準備します。


会計ソフトやクラウドサービスの活用法

手作業で帳簿をつけることも可能ですが、会計ソフトを活用することで確定申告の効率が格段に上がります。以下のようなソフトがライバーにとって役立ちます:

  • 弥生会計オンライン
    個人事業主向けで、青色申告の書類作成が簡単。

  • マネーフォワード クラウド確定申告
    銀行口座やクレジットカードを連携させ、自動で取引データを記録できます。

  • freee(フリー)
    スマホ対応が充実しており、初心者にも使いやすい設計。

これらのツールを利用すれば、収入や経費を効率的に整理でき、提出書類の作成もスムーズになります。


青色申告と白色申告の違い

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。ライバーとして活動する場合、収益の規模や継続性に応じて選択します。

  1. 白色申告

    • 特に事前手続きは不要。帳簿の記帳義務が軽い。

    • 控除額は少ないが、収入が少ない場合に簡単に申告できる。

  2. 青色申告

    • 税務署に事前申請が必要(開業から2か月以内、または翌年の3月15日まで)。

    • 最大65万円の控除が受けられる(複式簿記の記帳が必要)。

    • 家族への給与を経費に計上できるなど、節税効果が高い。


定期的な準備の重要性

確定申告の準備は、年末や申告直前に焦って行うのではなく、日々の収支管理を通じて進めていくことが理想的です。以下の習慣を取り入れることで、準備が格段に楽になります:

  • 月次の収支チェック
    毎月、収入と経費を確認し、帳簿を記録する。

  • 電子保存の活用
    領収書やレシートをスキャンしてクラウドに保存する。

実際の申告方法

確定申告の手続きにはさまざまな方法がありますが、ライバーにとって重要なのは、手間をかけず正確に行うことです。この章では、e-Taxを活用したオンライン申告を中心に、申告書類の作成や提出の注意点について解説します。


確定申告の方法は主に2つ

  1. 税務署での窓口申告

    • 必要書類を準備し、直接税務署に提出する方法。

    • 書類に不備がある場合、その場で確認・修正が可能。

    • 繁忙期には混雑するため、時間に余裕を持つ必要がある。

  2. e-Taxを使ったオンライン申告

    • インターネット上で申告書類を作成し、オンラインで送信する方法。

    • 自宅から手続きが可能で、時間を問わず対応できる。

    • 還付金の処理が早いというメリットもある。


e-Taxを使ったオンライン申告の手順

1. e-Taxの環境を準備する

  • マイナンバーカードカードリーダーが必要。
    ※最近では、スマートフォンをカードリーダー代わりに使える機能も提供されています。

  • e-Taxソフトウェアまたはウェブ版にアクセスし、必要情報を登録。

2. 必要書類を準備する

  • プラットフォームからの収益明細(収入証明)。

  • 経費として計上するための領収書やレシートの記録。

3. 確定申告書を作成する

  • 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス。

  • 画面の指示に従い、収入と経費を入力。

  • 青色申告の場合、貸借対照表や損益計算書も入力する必要がある。

4. 書類を送信する

  • 作成した申告書類をe-Taxにアップロードし、電子署名を付けて送信。

  • 送信完了後、控えをPDFなどで保存しておく。

5. 税金の支払いや還付の確認

  • 申告した結果、納税が必要な場合は指定された方法で支払いを行う(銀行振込やクレジットカードなど)。

  • 還付がある場合、申告後1~2か月程度で振り込まれる。


書類作成と提出の注意点

  1. ミスのない入力

    • 金額を記載する際、小数点の桁や計算ミスに注意。

    • 収益明細と帳簿の金額が一致していることを確認する。

  2. 必要書類の漏れ

    • 経費に関する領収書や計算根拠が不十分だと、後日税務署から問い合わせを受ける可能性があります。

  3. 提出期限を守る

    • 確定申告の提出期限は、原則として毎年3月15日です(休日の場合は翌営業日)。

    • 遅れると延滞税や加算税が課される可能性があります。

  4. 控えを保存する

    • 申告後の控えは5年間保存する義務があります。電子データで保管しておくと便利です。


オフラインでのサポートも利用しよう

e-Taxの操作が難しい場合や、申告内容に不安がある場合は、税務署や地域の無料相談会を活用しましょう。税理士に依頼するのも選択肢の一つです。

トラブルを避けるための注意点

確定申告は、正確に行えばスムーズに進みますが、誤りや見落としがあると、税務署からの指摘やペナルティにつながることがあります。ライバーとして活動する中で起こりがちなトラブルを防ぐための注意点を以下にまとめました。


税務署から指摘されやすいポイント

  1. 収入の申告漏れ

    • 複数の配信プラットフォームを利用している場合、すべての収入を正確に記録する必要があります。たとえば、YouTube、Twitch、17LIVEなど複数の収益源があると、それぞれの明細を確認する手間が増えますが、漏れがないように注意しましょう。

  2. 経費の過大計上

    • 経費として認められる範囲を超えた支出を計上してしまうケースがあります。特に、プライベートと事業の兼用アイテム(スマホや自宅家賃など)は、事業利用分だけを計上する必要があります。

  3. 帳簿や領収書の不備

    • 青色申告を選んでいる場合、帳簿が複式簿記で正確に記載されていなければ特別控除を受けられません。また、領収書の未保存や不明瞭な記録はトラブルの元です。


記帳ミスや申告漏れを防ぐ方法

  1. 収入と支出を日々記録する

    • 配信ごと、または月ごとに収支を記録する習慣をつけましょう。手作業が苦手な場合は、会計ソフトやエクセルを活用するのがおすすめです。

  2. 明確な分類を心がける

    • 経費の分類は「通信費」「機材費」「宣伝費」など具体的に分けて記録します。これにより、後から確認しやすくなります。

  3. 証拠資料を確実に保管する

    • 紙の領収書はスキャンして電子保存し、クラウドストレージにまとめると管理が楽になります。税法上、データの改ざん防止が求められるため、保存先のセキュリティにも配慮しましょう。


税務調査に備える心構え

税務署が疑問を持った場合、税務調査が行われることがあります。調査では主に以下の点が確認されます:

  • 収入の全体像:収益の入金記録が帳簿と一致しているか。

  • 経費の妥当性:必要経費として計上された支出が業務に直接関連しているか。

税務調査に備えるためのポイント:

  1. 帳簿を整理しておく

    • 数年間分の帳簿を提出できる状態にしておきましょう。

  2. 支出の根拠を説明できるようにする

    • 経費に関する領収書や支出の理由を具体的に述べられるよう準備しておくと安心です。


ミスを防ぐための相談先

  1. 税理士に依頼する

    • 複雑な申告や高額な収入がある場合は、税理士に申告を依頼することで安心して手続きを進められます。

    • 特に青色申告を行う場合は、専門家のサポートが大きな助けになります。

  2. 税務署の相談窓口を利用する

    • 税務署では無料で申告のアドバイスを受けられる窓口があります。事前に予約して訪問するのがおすすめです。

おわりに - 確定申告をスムーズに行うために

ライバーとしての活動は、クリエイティブで自由な一方、確定申告という責任が伴います。適切な手続きを行うことは、税金を適切に支払い、法的トラブルを避けるだけでなく、自分のビジネスの健全な成長を支える基盤でもあります。この章では、確定申告をスムーズに進めるための最後のポイントをまとめます。


専門家に相談するメリット

確定申告が複雑に感じられる場合、税理士や会計の専門家に相談することを検討しましょう。

  • 節税アドバイスが受けられる
    税法に詳しい専門家は、経費の適切な計上や青色申告の活用を通じて節税効果を最大限に引き出す方法を提案してくれます。

  • ミスを防ぐことができる
    経験豊富な専門家に依頼することで、記帳や申告内容のミスを防ぎ、税務調査のリスクを軽減できます。

  • 時間を節約できる
    経理や申告にかかる手間を減らし、配信やファンとのコミュニケーションに集中する時間を確保できます。


定期的な記帳の重要性

日々の収支管理を行うことで、申告の際に慌てることがなくなります。特にライバーのような多様な収入源を持つ職業では、収入と経費の正確な記録が欠かせません。

  • 帳簿作成を習慣化する
    毎月の配信活動にかかる収支を記帳しておくことで、1年分をまとめる手間が省けます。

  • ツールを活用して効率化
    クラウド型会計ソフトは、自動で経費を分類し、収支を可視化する機能が充実しています。たとえば、マネーフォワードやfreeeなどのソフトは初心者にも使いやすい設計です。


確定申告を通じて得られること

確定申告を通じて、自分の収入と支出を詳細に把握できるようになります。これは、単なる義務ではなく、ビジネスとしてのライバー活動を振り返り、戦略を立てる良い機会です。

  • 収益の傾向を把握できる
    どのプラットフォームや時間帯が収益を上げやすいかを分析する材料になります。

  • 経費の最適化が図れる
    不要な支出を見直すことで、より効率的に活動資金を使えるようになります。


ライバーとして成功を続けるために

確定申告は一見難しく感じられますが、適切な準備と知識があれば決して難しいものではありません。毎年の確定申告をルーチン化し、ミスなく行うことで、ライバーとしての信頼性を高め、安心して活動を続けることができます。

あなたのライバー活動がさらに成功することを願っています!

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