プレッシャー下での最高のパフォーマンスを引き出す方法

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年10月30日 04:45

プレッシャー

がかかり、何かがかかっているときに、自分らしくプレーすることがより難しくなることは、誰もが経験から知っている。

幸いなことに、この分野の研究から、プレッシャーのもとで良いパフォーマンスを発揮し、練習と本番のギャップを縮める能力はスキルであることがわかっている（例えば、こちらとこちら）。そして、プレッシャーの下でパフォーマンスを発揮する練習をすれば、プレッシャーの下でもパフォーマンスを発揮できるようになるのだ。

というのも、すぐに「プレッシャー」ボタンを押せば、手が冷たくこわばったり、心臓がドキドキしたり、自己批判的な思考が急上昇したりするわけではないからだ。

では...この分野の研究はあるのだろうか？本番のオーディションやパフォーマンスの前に、プレッシャーを感じるシミュレーションをする場合、何が一番効果的なのだろうか？

エリート・コーチたちはどう言っているのだろうか？

研究者チーム（Stoker et al., 2016）は、さまざまなスポーツを代表するオリンピック／国際レベルのコーチ11人にインタビューを行い1、「プレッシャー・トレーニング」を選手の競技準備にどのように組み込んでいるかを調べた。

コーチによって違いはあったが、それでもいくつかのテーマが浮かび上がってきた。具体的には、2つの主要な戦略があり、それぞれ3つの重要な要素があった。

戦略その1：トレーニングを操作する

コーチたちは、大会は通常、アスリートが通常トレーニングで遭遇するものよりも、精神的にも肉体的にも厳しいものだと指摘した。そのため、プレッシャーを高める1つの方法は、トレーニングセッションの難易度を操作することである。

彼らは3つの方法でこれを行ったと報告している：

方法その1：タスク

これは、ドリルやエクササイズ、スキルそのものに手を加えて、難易度を上げるというものです。

音楽で言えば、ピアノのパートを視唱しているピアニストと一緒に演奏するようなもので、自分の思うように演奏することに集中するのが難しくなるかもしれない。あるいは、劣悪なリードを使う。あるいは、タッチがとても軽かったり重かったりするピアノで。あるいは、ステージで弾くよりも速く、あるいは柔らかく弾かなければならない。

方法その2：パフォーマー

トレーニングの要求を高めるもう1つの方法は、身体的または心理的な状態を操作することだ。

かろうじて目が覚めている午前4時に通し練習をするとか。あるいは、激辛の手羽先を食べた直後とか。

方法その3：環境

3つ目の方法は、周囲の環境を変えることだ。

例えば、乾燥した音響の悪い環境で演奏する。あるいは、寒かったり、暑かったり、日当たりが悪かったりする空間で。

結果を操作する

プレッシャーを与えるためのコーチのもうひとつの主な方法は、パフォーマンスに応じて、報酬と罰、あるいは肯定的な結果と否定的な結果を使い分けることだった。あるコーチが言っていたように、これは競技において避けられないことなのだ。

ここでも、コーチがプレッシャーを与える方法は主に3つあった：

没収

これは、あるレベルのパフォーマンスを達成できなかった場合、欲しいものを失ったり、やりたくないことをやらなければならなくなったりするものだ。例えば、シュートを失敗したらスプリントをするようなものだ。これは非常に簡単な方法だが、コーチは非常に慎重であることを勧めている。

報酬を与える

この戦略はもう少し魅力的に聞こえるが、良い成績を収めれば、何かプラスになるものや望ましいものを獲得できるという点である。

例えば、新しく習う曲の次のページに進めるとか。あるいは、来日するゲストアーティストのマスタークラスで演奏することに選ばれるとか。

判断

第3の方法は、あなたの演奏を評価してくれる人の前で演奏することだ。

これは、仲間や先生、尊敬する音楽家たちの前で演奏するようなものだ。あるいは他人や家族。また、スタジオクラス、模擬オーディション、練習演奏、自己録音、数軒先の練習室にいる友人のためにふらっと立ち寄った演奏なども含まれる。

これらはどれも役に立ちそうだが、本当に役に立つのだろうか？

実際のオーディションや本番のプレッシャーに対して、どれが一番準備になるのだろうか？

どれが一番効果的だろうか？要求か結果か？

それを知るために、研究者たち（Stoker et al., 2017）は他の研究者たちとチームを組み、国際レベルのエリートネットボール選手を対象とした研究を行った。

彼らは15人の選手に、さまざまな条件で、投球精度のドリル2を実施した。

DEMANDS条件では、選手たちはターゲットに向かって無作為の順序で投げ、3秒以内にボールをリリースし、6×6の小さなターゲットに当てなければならなかった（課題）。また、片方の目の視界を遮るゴーグルを着用し（パフォーマー）、気が散るほど大きなビープ音に対処しなければならなかった（環境）。

CONSEQUENCES条件では、選手たちは2-3人の仲間とヘッドコーチの前でドリルを行わなければならず、ヘッドコーチはプレッシャーに対処する能力とタスクに集中し続ける能力を評価した。また、彼らのパフォーマンスはビデオに撮られ、後日、有名なナショナルコーチが評価できるようになっていた（判定）。

さらに、最低得点を獲得した者は、1分間のプレゼンテーション（コメディ・スケッチを披露する、チーム内で最も尊敬する選手とその理由を話す、なぜ自分のスキルが世界一になれるのかを話す、1013から17の位を逆算する、など）をカメラの前で行わなければならず、その様子は人気のソーシャルメディア・サイトにアップロードされ、2週間さらに、チームメイトの中から1人を選び、そのチームメイトもこの4つのタスクのいずれかをクリアしなければならなかった（没収）。

一方、勝者には50ポンドと、恥ずかしいビデオタスクからの免除（報酬）が与えられた。

では、どちらが効果的だったのか？要求か結果か？

自己申告によるプレッシャー、不安、自信、心拍数の測定によると、研究者たちは、結果に直面したほうが、より一貫して選手たちにプレッシャー感を与えるようであることを発見した。

自分自身（あるいは生徒）のためにプレッシャー・トレーニング・プログラムを設計する際には、結果について創造的であることが望ましいようだ！

私たちは皆、同じことから同じ量のプレッシャーを感じるわけではないことに注意することが重要です。ある人にとってはプレッシャーに感じる状況でも、別の人にとってはまったくストレスに感じないかもしれない。ですから、もしあなたが教えているのであれば、意味のあるストレス要因のリストを作成する際に、生徒に意見を求めるとよいでしょう。実際、研究者たちが創造的なストレッサーを考え出す際に行ったのは、このようなことだった。上記の創造的な没収は、研究者、アスリート、コーチが共同でブレインストーミングを行った結果である。

また、シミュレーションや再現ができないことがあることを認めることも重要だ。王立音楽大学でアーロン・ウィリアモンと彼の同僚が開発したような（アーロンのポッドキャストでのエピソードはこちら）、オーディションやパフォーマンスのシミュレーターを利用できたとしてもだ。しかし、最初の研究で何人かのコーチが示唆したように、実はこれでもいいのだ！なぜなら、目標は可能な限り現実的な方法で、あらゆる可能性の100％を想定した練習をすることではないからだ。むしろ、"プレッシャー・マネジメント "を練習できる環境を作ることなのだ。

プレッシャー・マネジメントの目的は、不意を突かれてその場しのぎで物事を解決するのではなく、実際のプレッシャーのかかる状況に陥ったときに使える一連のスキルを特定し、試し、開発することだ。

また、結果を操作するにしても、要求を操作するにしても、プレッシャー・トレーニングに楽しみの要素を取り入れることを忘れてはならない。結局のところ、プレッシャー・トレーニングの目的は、個人を評価することではない。あなたのプレッシャー・マネージメント・スキルをテストにかけ、そのチャレンジに耐えられるか、（この記事のように）もう少し努力が必要かどうかを確認するためなのだ。

では...プレッシャートレーニングとはどのようなものだろうか？どのようなスキルが必要なのでしょうか？

プレッシャー・マネジメント・スキル

脳と筋肉があるレベルでプレーできるようになるだけでなく、最初の反復練習でそのレベルでプレーできるようになるような練習方法を理解することだ。

そしてもうひとつは、もちろん自分自身を録音したり、他の人のために演奏したりすることだ。

でも本当の秘訣は、こうしたレコーディング・セッションや練習の通し打ちで何をすべきかを理解することにある。

一流のアスリートやパフォーマーは、本番中に練習中とはまったく異なることを考えていたり、集中したりしていることが多いようだ。具体的には、心の中の批判や自己評価の部分が静まり、技術的な細部やメカニックを超えて、音楽の全体像に集中できるようになるのだ。

もちろん、指使いやボウイングと同じように、このようなアテンション・コントロールも事前に練習しておく必要がある。

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笠原彰プロフィール：

プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
ライフバランスアーティスト
作新学院大学メンタルトレーニング教授

アスリート、指導者、ビジネスマン、音楽家など、人生をより豊かにしたい全ての方の挑戦をサポートします。

専門的な知識を習得したプロメンタルコーチとメンタルアスリートを養成しています。完全個別指導でプロメンタルコーチとアスリートを養成します。

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