夜風に当たりながら、ふらふらと散歩をしていると、自分が機械になったような気分になる。
足を回してエネルギーを生んで、生んだエネルギーで前に進んで、残りで頭を回す。ただそれだけが目的の機械。
だから、歩き出したら止まらずに済むから、考え事にはとても向いている。

毎日生きる為に働いているはずなんだけど、
働いている時間が1番生きているような感覚がある。
それ以外の時間はただ時間が過ぎるように生きているような。
目的がなきゃ生きていけないし、果たしてしまえばそれまでの命。
絶望がベースで、毎日紡いだ希望に寄り縋っている。
天国と地獄なんて上手い言葉を、昔の人は良く作ったなと思う。
地獄が地面で、天国が空なら、地に足着けて生きる事は地獄で、浮き足立っているならそれは天国にいるんだから。

兎にも角にも、毎日希望の蜘蛛の糸がどこにあるのかを探しては、引っ張って、引っ張って、千切ってしまって、また探してを繰り返している。

ずっと掴んでいるけれど、引っ張るのが怖い糸が手の中に一本だけある。
とんでもなく太くて、先の見えない程長い糸。
どこに繋がっているのかなんて分からないし、とんでもなく高い所から垂れてきている様に見えて、もしかしたら今よりも更に深い地の底に繋がっていて、辿っていけばもう戻れない程絶望してしまうかもしれないような。

そんな糸が、手の中に、ある。

昔は、そんな先が見えないものなんて引っ張れないって諦めていたけど、
今は先が見えない事がこんなにも輝かしく見える。
少なくとも、先が見えている糸を千切り続けている今よりは、そいつに全てをかけてしまう方が良いと、思っている。その、はず。

自分はもう少しだけ器用に生きられるんじゃないかって、そう思っていたし、そう思いたいんだけど、その自信はもう無い。
怖くなったり、飽きたり、色んな糸にまた手を出してしまうのかもしれないし、途中で力尽きてしまうかもしれないけど、この太く長い糸に、いつか全ての糸を繶ねてやりたいと思う。
これまでの全部が無駄じゃなかったと思えるように。

そろそろ家が見えてきたから、これでおしまい。
また止まって、明日から。

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